【体験談】オーストラリアでワーケーションを実践したクリエイターが感じたメリット

働きながら休暇を取るワーケーションは、どのような効果をもたらすのでしょうか?

筆者はフリーランスのライターです。数年に及ぶワーケーションへの取り組みから、今回はオーストラリアでの体験談をご紹介します。

安倍内閣に引き続き菅内閣でも、GoToキャンペーンやワーケーションを「観光需要を回復させるために必要となる政策プラン」として推進中です。一方、休暇中に仕事では休まらない、定着するはずがないと不支持の意見も見受けられます。

ここでは、筆者の個人的なワーケーション体験から、クリエイターにとっての「働く」と「バケーション」の兼ね合いについて考えてみます。


ワーケーションのメリット

ここ数年は日本在住ですが、筆者はもともとオーストラリアやシンガポールに在住していました。結婚を機にオーストラリアに移住した経緯もあって、ワーケーションのデスティネーションは必然的に家族のいるオーストラリアです。オーストラリアでは、ヴィクトリア州を拠点としながらさまざまな国立公園へ出かけます。

自然界のエレメントに触れて雑念フリーを体感する

画像はヴィクトリア州の観光地、グレートオーシャンロード沿いの12使徒です。南極から吹きつける風や偏西風を感じながら、ダイナミックな海岸線を見ていると日常の些細な悩みは吹き飛ばされてしまいます。この辺りは難破船の歴史もあるほど、吹きつける強い風はなかなか手強い存在なのです。

実際に、何度も絶景スポットに立ち寄っていますが、風景はあまり記憶に残っていません。ときにはまともに歩けないほどの強い風ばかり記憶に残っています。この激しく強い風は、まるで筆者を無我の境地に連れていくかのようです。

もともと筆者はリラックスしづらく、休暇をとっても十分に休んだり楽しんだりできません。穏やかな気候のリゾート地にのんびり滞在すると、かえって雑念が次々とわいてきます。しかし強い風に身体の芯を揺さぶられると「かなわない存在にまた出会った」という境地になり、そのあとはイライラせず落ち着いた気持ちで仕事に臨めるのです。

ワーケーションではストレスをストレスとして感じなくなる

悪天候にみまわれると、ビーチに滞在するのが食傷気味になることも。そんなときに目指すのは北です。ガラッと気候が変わり、乾燥した赤土のアウトバックへアクセスできます。トップ画像はアウトバックの玄関口、南オーストラリア州のポートオーガスタです。アウトバックを訪れるときは、夏を選ぶようにしています。砂漠地帯の夏は「快適」とはいえず、ツーリストがほとんどいないからです。

気温が上昇すると、日陰でもまるでコンベクションオーブンのなかにいるような熱風がふく日もあります。カンガルーたちも少ない日陰を探してじっとしており、筆者も真似してじっとしていると、大地と一体化するようで飽きないから不思議です。わずかな人間しか会わない、どちらかといえば過酷な自然環境の中にいると、なぜかエネルギーがわいてきます。オフィスや都会だと、適温でなければストレスを感じそうですが、ワーケーションの環境だと苦にならないから不思議です。

時差を利用してテレワークにいかせる

テレワークする場所は、カフェや図書館、キャラバンパークのサイトやキャビンを利用します。大容量のモバイルバッテリーと一緒に旅行するため、ときには大自然の中で仕事することも。

ヴィクトリア州と日本の時差は、夏は2時間、冬は1時間です。夏(日本は冬)の2時間の時差は有益で、筆者は6時から日が暮れる20時までメールやチャットに対応します。これは日本時間だと4時から18時です。夜間のメッセージは日本時間の早朝に対応できるため、相手を待たせることはありません。大自然のなかだと、コンピューターを使ったり、仕事関係者とチャットしたりといった日常の作業さえ新鮮で楽しみでさえあります。


オーストラリアにおける生活インフラ事情

ヴィクトリア州は人種のるつぼです。世界中の食品やオーガニック認定食品も簡単に入手でき、ファーマーズマーケットなども利用できます。州都メルボルンは「オーストラリアにおけるコーヒーの首都」と呼ばれるほどで、おいしいコーヒーをいただける素敵なカフェばかりです。

ワーケーションの醍醐味は、その土地ならではの美味しい食べ物や雰囲気を満喫できる点です。ダイナミックな風景はもちろん、食事や文化の違いに触れると、まるで転地療法のように心も身体もリフレッシュできると感じています。ビーチやアウトバックに滞在していると豊富な食材とは無縁なので、都会に戻ってくるのはまさに食べるため、といえるでしょう。

それから通信環境についてご紹介します。オーストラリアナンバーワンの電話会社といえばTelstra(テルストラ)です。アウトバックなど僻地に旅行する場合に重要な、広大な通信エリアを誇ります。田舎町でも今では携帯電話の通信エリアですが、重要なのは幹線道路で携帯が使えるかどうかです。

Telstra以外の電話会社を使うと、町の外に出たらすぐに圏外になることが多く筆者は利用しません。アウトバックでは300~500kmガソリンスタンドがない場合があるので、必ず通信エリアの広いTelstraを使います。SIMカードを家族が用意してくれる点はとても恵まれている環境です。

月額75豪ドルには、80GBのデータ通信と無制限の日本への国際電話通話・テキストメッセージ送信が含まれていました。筆者がオーストラリアにいるときだけ該当プランを利用し、日本に帰国してしばらくしたら、電話番号は維持しながらプリペイド方式に転換したようです。Telstraのおかげでテレワークを継続できるといっても過言ではありません。


クリエイターが「働く」と「バケーション」を両立する意義

筆者は、家族と一緒に過ごす時間をできるだけ確保するために、フリーランスのライターという職業を選んだ経緯があります。以前はゼネコンの広報、そして航空会社のカスタマーコンサルタントとして働いていました。

なぜ「働く」と「バケーション」を両立するのか?

年齢を重ねるうちに自分の資質にあっているのは、家族との時間を最大化できるテレワークだとの結論に達したことがひとつあります。もともと神経を張り詰めやすく、組織人として安定感のあるパフォーマンスを発揮しづらかったことも要因です。しかも休暇中でも休暇そのものをうまく楽しめず、十分な休息を取りづらいのが悩みでした。であれば、いつも休暇中のような環境をつくって仕事すればいいのでは?と考えたのがきっかけです。

オーストラリアへ移住した当時、めまいがするほど驚いたのはオーストラリア人は家族との時間をとても大切にする国民性で、公私の区別をはっきりさせることでした。めいっぱい競争社会で働いたら、オフ時間は家族と語らないながらゆったりと過ごします。仕事を家に持ち込むことに、誰も価値を見出しません。

筆者はパートナーの子どもたちともよく会いますし、休暇のタイミングを合わせて一緒に旅行することも。その深くつながる関係性から学んだことは、誰かのために使う時間を確保する必要性やその優先順位の高さでした。学校や仕事で誰もが忙しいのは、オーストラリアでも日本でも同じです。一緒に過ごす時間を意識的に、しかも相手に気を遣わせずにつくることは、相手への気遣いや思いやりなのだと気づかされました。

ワーケーションを定期的に実践する

子どもたちがそれぞれ家庭を持つようになったため、ワーケーションを日本とオーストラリアで実践することを思い描いていた頃に見つけたのが、日本での住まいです。標高600mの山の中にあり、富士山や箱根へすぐにアクセスできます。新型コロナウィルスで移動が制限されるまで、子どもたちもそれぞれ休暇をとって、1~3週間の単位で日本へ遊びにきていました。

筆者は日本を拠点に、オーストラリアへ機会をみてはフライトし、子どもたちの元を訪れたらビーチやアウトバックを訪れるというワーケーション生活を定期的に実践しています。時差がほとんどないこともあり、フリーランスのライターとしての仕事から長期間離脱したことはありません。いつも仕事とともに、大自然の中で過ごすようにして心身のバランスをとっています。

画像はオーストラリアのエキドナです。オーストラリアで出会う、独自の進化を遂げたウォンバット、エミュー、コアラやカンガルーなどを見ているとホンワカした気分になり、急がずに立ち止まって考えようという気持ちにさせられます。


人生の優先順位が明確であればワーケーションは使える

今回はフリーランス・ライターのワーケーションの体験談をご紹介しました。ワーケーションは、クリエイターにとって検討する価値のある働き方だと実体験から感じています。

人生に何が大切で何がいらないか、優先順位が明確になったらワーケーションをぜひ検討してみてください。転地療法のように、クリエイターの心身や仕事の質にポジティブな影響を与えてくれることでしょう。

ライター
Mistyrose
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