キャリアの棚卸しや、キャリアの掛け算というコトバを知っていますか?これは誰もが当たり前のように転職をする時代に、注目されている新しい手法・トレンドを指しています。日常の業務を洗い出し、自分ができること、会社が求めていること、市場が求めていることを分析する作業がキャリアの棚卸しです。
キャリアの掛け算は、将来にわたって必要とされる人材であるために、経験値やスキルをコレクションし自分の希少性を高める戦略のこと。今回は、WEBサイトの企画やコンテンツ制作を監督するWEBディレクションのキャリアの掛け算について解説します。キャリアの棚卸しをしながら、今後のキャリア設計にぜひ当記事を役立ててください。
WEBディレクションのキャリアパス
WEBディレクションは比較的新しい職種なので、具体的なキャリアパスのイメージをつかみにくいかもしれません。WEBディレクターには、スタッフ層とリーダー層があり、昇進や転職を経てマネージャー職のWEBプロデューサー・WEBプランナーという展開が考えられます。
スピード感のあるWEB業界では、思いがけない抜擢(ばってき)人事もあり得ます。役員・経営者としての道へ向かう可能性があることも想定しておきましょう。
デジタルマーケティングスキルと掛け算し、共感を呼び起こすプロになる
ここからは、WEBディレクションとキャリアの掛け算を具体的にみていきましょう。例えば、デジタルマーケティングのスキルを身につけることです。デジタルマーケティングとは誰もがスマホを持つ時代にマッチしたマーケティング手法のこと。検索エンジン・SNS・Eメール・WEBサイトなど、インターネット上のあらゆるチャンネルを活用し、既存・潜在顧客とつながることを目的にしています。
なかでも注目は、消費者の共感を呼び起こすデジタルマーケティングです。商品・ブランドの理念やコンセプトを消費者に伝え、ファンクラブのようにその活動に共感し、応援・参加してくれる層を増やすというもの。共感してくれる人たちとつながり、会話をして関係性を深めることでセールスを達成することが可能になるのです。
この共感を呼び起こす手法は、多くの読者を開拓したいWEBメディアのディレクションでも活用できます。共感を呼びおこし、共感してくれた人と関係性を築くデジタルマーケティングの経験やスキルがあれば、クライアントへの提案力も自ずと上がり希少性の高い人材として重宝されるでしょう。
サブスクリプション時代を見据えた対策を行う
近年、私たちの生活の中で定着しつつあるサブスクリプションサービス。日本でも動画定額サービスのAmazonプライム・ビデオ、音楽定額制サービスのSpotifyなどが広く知られています。
新商品を販売し顧客が商品を所有する時代から、顧客と良好な関係を築き永続的にサービスを利用してもらう時代が到来したといえるでしょう。実際にサブスクリプション・エコノミーは急速に拡大傾向にあります。
けれども、課金を継続してくれる優良な顧客をどう開拓すればいいのか、サブスクリプションをどう売ればいいのか、多くの人たちが模索しているのが現状です。急速に拡大中なのに、サブスクリプションに最適なマーケティング手法がまだ確立していない状況は、まさにキャリアアップのチャンス。
WEBディレクションのかたわら、サブスクリプションビジネスを研究し、果敢に実践して、これからの時代にマッチしたマーケティングのキャリアやスキルを身につけることもぜひ検討してください。
チームマネジメントスキルを徹底的に磨く
WEBディレクションでは、チームのマネジメントは必須のスキルです。すでに実践しており、円滑なコミュニケーションやチームをまとめる能力に自信があるという人もいるでしょう。ここでは、さらに一歩踏み込んでWEBプロデューサーなど管理職を目指してチームマネジメントスキルを高める必要性についてご紹介します。
WEBプロデューサーは、市場分析、予算・収益計画、人員配置・計画など、WEBディレクターよりも上流工程を担当しています。この工程を、WEBディレクターとして担当しているチームで実際に実践してみるといいでしょう。例えば採用や教育のプランを提案し、チームメンバーの採用や教育にかかわりたいと提案してみるのです。予算・収益計画を自分なりにシミュレーションしたり、市場分析も自分なりに分析をしたりして、いつでも経営陣と意見を交わす準備をしておくのもおすすめです。
かかわりたいビジネス領域があれば、社内で積極的に提案することでキャリアアップのための経験値やスキルを増やすことができます。スキルの棚卸しをしたときに「自分ができること」をひとつでも多く書き出せるように、チャンスを自ら作ることも大切です。
キャリアの掛け算を意識してチャンスをつかもう
WEBディレクションにかかわるなかで、市場での自分の希少性を高める努力は自分でしかできません。ほかの誰かがキャリアの方向性を指し示してくれる機会は非常にまれです。自分で常にアンテナをはって積極的に提案し、キャリアの掛け算に役立つスキルや経験値を伸ばすチャンスを作りましょう。
今回はマーケティング力や管理能力を強化する方向性について解説しました。定期的に自分のできることとキャリアプランを、ぜひ俯瞰的に整理してみてください。