一昔前まではデザイナーとしてのキャリアをスタートさせるためには制作会社に入ることが一般的でした。現在も制作会社に入り、経験を積んだ後に独立する…というキャリアプランを思い描いている人も多いのではないでしょうか。
しかし、最近ではデザイナーのキャリアスタートの仕方も多様化しています。事業会社からキャリアをスタートできるなど、必ずしも制作会社に入らなくてもいいのです。特にwebデザイナーは最初からフリーランスとして始めることもできます。
制作会社でキャリアをスタートさせる方法
まずは、デザイナーのキャリアスタートとして一般的な制作会社について解説していきます。
制作会社とは
制作会社とは、受託という形で他の会社からデザイン案件を請け負ってデザインを行う会社です。
企業規模によって請け負う仕事の種類が異なります。
例えば従業員100人規模の会社であれば非常に幅広い種類の案件を扱っています。ファッション関係のデザインに携わったあと、クルマ関係のデザインを担当するということもあります。そのため、さまざまな業界に関連するデザインが経験できるのが特徴です。
従業員数が30人規模の会社だと、強みとするジャンルを持っている場合が多いです。音楽系のデザインが得意な会社もあれば、飲料系のデザインが得意な会社もありあす。会社を選ぶ際にはそれぞれのポートフォリオをチェックしましょう。
メリット
webデザインに必要なスキルを幅広く習得できるのが、制作会社のメリット。最新のweb制作ツールが整っていることも多く、スキルを身につけながらキャリアアップしたいという人に向いています。
デメリット
待遇面に課題が残っている制作会社は少なくありません。どうしても納期がクライアントによって左右されてしまうため、残業が多くなってしまう制作会社もあります。会社によっては給与面や昇給システムが十分でないケースも。
ただ、労働環境や給与といった待遇面の改善に取り組む制作会社は増えているので、今後はもっと条件のいい企業が増えてくることも予想されます。
事業会社でキャリアをスタートさせる方法
近年はwebデザイナーを募集している事業会社も増えているため、事業会社でwebデザイナーとしてのキャリアをスタートすることも可能です。
事業会社とは
事業会社とは、なにかしらの事業で利益をあげている会社のことをさします。最近ではデザインやクリエイティブ業界には属さない事業会社からも、デザイナーとしてのキャリアをスタートできるようになりました。
こうした事業会社がアプリやwebサービスを自社で開発・運営する場合、デザイナーが必要です。そのため事業会社からでもデザイナーとしてのキャリアをスタートできる可能性があります。
事業会社では制作会社よりも長期間1つのプロジェクトに携わることが多いです。運営しているアプリやwebサービスだけでなく、派生商品のデザインを手がけることもあります。
メリット
事業会社でデザイナーとして働くと、顧客との距離が非常に近くなります。「もっと使いやすくしてほしい」といった要望がもらえるだけでなく、「このデザインすてき!」といった反応も得られます。そのため事業会社での現場はやりがいを感じやすい環境です。
ディレクションスキルやマーケティングスキルといった、デザイン以外のスキルが身につくのも事業会社の特徴といえます。こうしたスキルを身につけておくと、転職などのキャリアアップの際にも有利になります。
デメリット
デザインツールがあまり充実していない場合があるのが事業会社の特徴です。最近は制作会社にも劣らない環境を整備している事業会社も増えてきていますが、中にはクリエイティブ職に対する理解や知識が足りず、制作に使用するパソコンやソフトウェア、サーバ環境などが充実していないケースも。デザイン作業を行う上で支障をきたすこともあります。
クリエイティブな作業を思う存分に行いたいという人はものたりないと感じるかもしれません。
また、事業会社では慎重に作業を進めるため、会議が多いケースもあるようです。会議のために制作に携われる時間が限られてしまいストレスを感じてしまう人も少なくありません。
他にも一つのデザインに長く携わるため、デザインの幅が広がりにくいという側面も事業会社にはあります。
フリーランスとして活動を始める方法
以前は企業などで一定以上の経験と実績を積んだ後に独立するのが一般的でした。しかし、最近では最初からフリーランスとして活動を始めるwebデザイナーも増えているのです。
自分で仕事を選び、自分の裁量で仕事ができるため、フリーランスのwebデザイナーは理想の生活を実現する手段の一つともいえます。一方で数々のデメリットがあるのも事実です。
メリット
時間や勤務地を自由に選べるのはフリーランスとして働く上でのメリットです。とくに成果物を納品するタイプの仕事は、インターネット環境さえあれば自宅やカフェなどでも仕事ができます。
育児や介護など、自宅を離れるのが難しいという人にとってフリーランスという働き方は都合がいいです。さらに通勤ラッシュや朝早く起きるのが苦手という人にも向いています。
デメリット
収入が不安定になりやすい側面がフリーランスにはあります。仕事をやればやっただけ収入が増える反面、体調不良などで仕事ができなかった場合の収入は0になってしまうのです。
経理事務や案件獲得のための営業活動を自分で行わなければならないのもフリーランスのデメリットとしてあげられます。意外とデザイン制作以外の仕事が多く、時間もとられてしまいます。
さまざまな形でデザイナーとしてスタートできる
デザイナーとしてのキャリアスタートの方法はたくさんあります。その中でも自分にとって一番いいと感じる方法を選ぶようにしましょう。
上記で解説した通り、制作会社、事業会社、フリーランスの働き方にはそれぞれ特徴があります。それらの特徴を理解することが、最適な選択をする上では重要です。
「デザイナーとして活動するにはこうしなければならない」
という決まりなどは存在しません。幅広い視野で業界全体を見るようにしましょう。
現在デザイナーの活躍の場は増えている
現在、業種を問わず様々な企業等でデザイナーの需要は増えています。
その背景には、企業のマーケティング戦略でデザインが重視されるようになったことがあげられます。今までデザインとは無縁の事業をしていた会社も、製品やサービスのデザインにこだわるようになったのです。
さらに最近では、製品のスペック面で他社製品と競争するのが難しくなってきました。いい商品を作ってもすぐに競合他社に似たような商品を出されてしまうのです。
他社の商品との差別化をするためにはデザインにこだわる必要があります。優れたデザインの製品は顧客に選んでもらえるだけでなく、顧客に製品や会社のファンになってもらえる可能性があります。
多様化するキャリアの始め方
デザイナーとしてのキャリアのスタートの仕方は多様化しています。さまざまな始め方があるので、自分のキャリアプランに適したものを選びましょう。
最高のスタートを切るために、自分が将来どのようになりたいのかを考える必要があります。着地点を見据えた上でキャリアをスタートさせることで、より納得のいく働き方ができるようになるでしょう。