Webデザイナーの理想のキャリアはどれ?
近頃Web業界で、デザイナーたちのキャリアデザインについて様々な議論が起こっています。
大きく分けると「制作会社」、「フリーランス」、そして、一般企業などで活躍する「インハウス」という3つの選択肢があります。
これまでWebデザイナーと言えば、制作会社に就職し、その後、制作会社で働き続けるか、フリーランスとして独立するかの2択が一般的でした。
しかし近年、3つ目のキャリアとしてインハウスWebデザイナーに俄然注目が集まっています。ちなみにインハウスWebデザイナーとは、一般企業や事業会社のWeb制作チームなどに所属し、自社のサービスや事業を担当するWebデザイナーのことです。
さらにARCHETYP Staffingでは、この「インハウス」の枠組みを拡げ、一般企業や事業会社に派遣社員という形で携わり、フルタイム、時短勤務、テレワーク、週3勤務など柔軟な働き方を実現させる「ニュートラルスタッフ(派遣社員)」、「常駐フリーランス(業務委託)」というキャリアデザインを提唱しています。
今なぜ、インハウスというキャリアが注目されているのか。その変わりゆくキャリアデザインの実態に迫ってみました。
インハウスWebデザイナーとは?
インハウスを英語で言うと「in-house」。つまり「組織内・内勤」のという意味で、自社の事業や仕事を外部に委託するのではなく、社内で行うときに使います。
つまりインハウスWebデザイナーは、「企業に属するWebデザイナー」ということ。所属する企業が提供している商品・サービスの、主にWeb領域のデザインを担当することになります。
制作会社との違いは?
ではインハウスWebデザイナーと、制作会社で働くWebデザイナーとでは、どこが違うのでしょうか?
一般的に制作会社の場合、Web制作を依頼するクライアントがいてプロジェクトが成り立ちます。事業の立ち上げや新しいサービスのリリース、既存サービスの改善などのタイミングに合わせて仕事を受注し、複数のクライアントの制作を同時に担当することも多くあるでしょう。
一方、インハウスWebデザイナーの場合は、自社のプロダクトやサービスの運用や改善がメインの仕事になります。もちろん、新たなサービス立ち上げから携わったり、複数のプロジェクトに同時に携わる場合もありますが、制作会社に比べると少なく、ひとつのプロダクトやサービスとじっくり向き合う仕事が多いと言えます。
さらには社内の制作チームが小規模である場合などは、「Webデザイナー」という肩書きでありながら、様々な業務も遂行することも。
ある時はグラフィックデザイナー、ある時はプロジェクトマネージャー、またある時はマーケターといったように、広い領域で製品・サービスに関わっていくケースもあるようです。
業種問わず、Web領域への対応が必須の時代に
近年、あらゆる事業やサービスがインターネットなしには成立しない状況になってきました。
すると、これまでWeb領域の業務を外部の制作会社に依頼していた企業の中には、外注ではスケジュールが間に合わなかったり、予算が逼迫するケースが頻出。
その結果、外部に依頼していたWeb領域の業務を社内で行う方針に転換する会社が増えてきたのです。
例えば、日本でも多くの企業が自社でメディアやSNSの運営を行っていることも、インハウスの需要が高まってきた裏付けの一つ。
今や業種を問わず、インターネットの重要性を理解していない企業はありません。企業にとってもWeb全般の業務を社内で行うことで、コストの削減や社内チームの強化につながります。ある意味、制作会社やフリーランスにとっては厳しい次代がやってきたとも言えるかもしれません。
インハウスWebデザイナーのメリットとは?
職業が同じ「Webデザイナー」でも、インハウスと専業では、様々な違いがあります。
インハウスで一般的に挙げられるのが、部署内での人数の少なさ。そのため一人が、Webデザインに関する業務を広く担当することが多いようです。
Webサイトの制作・運営はもちろん、オンラインマーケティングやSNS運用、SEO施策、サーバーまわりの管理など。時には制作の前段階の企画や事業立ち上げからWebデザイナーとしての知見が求められることもありますし、Web以外にも名刺やパンフレットの作成といった印刷物のデザイン、ロゴデザイン、ディスプレイデザインなど、「デザイン」に関する広い領域を任されることもあるかもしれません。
キャリアデザイン的に見ると、「デザイナー」としてのスキルの領域を広げるチャンスがあるのが、インハウスWebデザイナーのメリットの一つだと言えます。
日々の業務を自分事として、リアルに実感
制作会社で働く場合は、複数のプロジェクトに関わることが多いですが、インハウスの場合は、担当のプロダクトやサービスに集中して取り掛かれる傾向にあります。
また、単に「作って終わり」ではなく、事業やサービス、企業の成長に長期的に関わることができるのも魅力的なポイント。
もちろん、昨今は制作会社でもクライアントと一丸となって、リリース後も成果の確認や分析、改善に力を入れているところも増えてきていますが、インハウスの場合、自分が所属する企業そのものであるがゆえに、プロダクトやサービスに対する熱意や愛情もより強いものになっていくでしょう。
好きな分野、興味のあることに「デザイン」で貢献できる
たとえば、自分が好きなWebサービス、アパレルブランド、車、スポーツ、食品、お酒などを手がける企業のインハウスWebデザイナーになった場合、大好きなものに毎日携わり、自らより良いものに改善していくことができます。
好きなものに「デザイン」で貢献し、世の中に評価された時の喜びはとても大きく、日々のモチベーションも高く保てるのではないでしょうか。
まとめ
インハウスの場合、事業やプロジェクトがどういった経過を辿り、現在どんなフェーズなのか、今後の展望などについて、Web領域を越えて常に話し合える仲間がそばにいるという環境にあります。
一つの目標に向かって、様々な領域のプロフェッショナルたちと一緒に成長していけることも大きなメリットでしょう。
その分、制作会社やフリーランス時代には求められてこなかったスキルが必要になる場面も増えるはず。企業側もその課題を理解しているところは多く、様々なサポート体制や研修制度などを設けているところもあります。
Webデザイナーの皆さん、新たなキャリアステップとして、「インハウス」での活躍も視野に入れてみてはいかがでしょう?