クリエイターの地方移住体験。withコロナ時代の仕事スタイル

新型コロナウイルス感染拡大の影響は、都市部を中心に依然として予断を許さない状況が続いています。人混みの多い都心部に暮らしていると、密を避けるという感染予防策がとても大変なことのように思えてくることでしょう。その点、私は普段、感染の恐怖から少しだけ離れた気持ちで暮らすことができています。というのも、私が現在暮らしている町と生活スタイルでは、極度な密を感じることがほとんどないからです。

私は現在、フリーランスのライター・翻訳家として働きながら、三重県の小さな町で暮らしています。その前は10年以上東京で暮らしていました。そんな私がなぜ地方に移住したのか、地方でどのように暮らしているのか、地方での体験から見えてきたものを紹介します。


地方移住という選択 

学生時代から漠然と憧れていた地方移住という選択肢を、現実的に検討し始めたきっかけは第一子の妊娠でした。当時私は看護師として忙しく働いており、昼夜のバランスはめちゃくちゃ、とにかく熱意とやる気だけで駆け抜けている状態でした。

そんな時に息子の妊娠が発覚。出産の準備を進める中で、ふと一つの不安が頭をよぎりました。「私、こんな忙しい頭の中で本当にいい子育てができるんだろうか」

それからは、自分にとってよい子育てとはなにか、考える日々が続きました。そして出た結論は、次の三つでした。

  • 心に余裕を持って子どもや家族に向き合う
  • 自宅から近くの畑で作られた、自然な食べ物を食べさせる
  • 子どもと一緒に自然を感じながら暮らす

そんな子育てを叶えてくれたのが、地方に移住して古民家に暮らす、今の生活だったのです。


移住前後の仕事とプライベート

地方への移住を決めてからは、さまざまなことが一気に駆け抜けて行きました。まずは当時フルタイムで働いていた看護師の仕事を退職し、副業とし取り組んでいたライター・翻訳家としての仕事をメインにするべく新規受注に向けて動き出しました。引っ越し先を決め、引越しの準備も進めます。引越し後すぐに仕事を再開できるよう、インターネット環境なども事前に手配していました。

息子を出産後1ヶ月程度はそのまま東京で暮らし、1ヶ月検診が終わった翌週、ついに移住の運びとなりました。

その後、一時的に海外移住などを挟みつつ、三重県での生活は2年目に達しています。移住後の生活は、想像していた以上にこれまでの生活とは異なるものでした。特に大きな変化として、次のようなことがあります。

仕事をする上での変化

仕事をする上で最も大きな変化は、案件がすべてフルリモートとなったことです。東京に暮らしていた時の案件はリモートとはいえ、対面での打ち合わせやインタビューなど、人と関わることが多くありました。しかし、地方に移住したことでそれが難しくなり、すべての案件がフルリモートとなりました。打ち合わせが必要な際には、ビデオ通話で行います。最初は戸惑いましたが、徐々にその働き方にも慣れ、今では自分でスケジュールを決められる自由さが気に入っています。

東京にいた頃はインタビュー対象者やクライアントとの連絡の必要性もあり、平日日中働くリズムで仕事をしていました。しかし、すべての案件がフルリモートになり、稼働時間も自分で好きに決められるようになりました。息子が眠った後の夜中や、週末の日中に主人と息子がお散歩に出ている間に仕事をするなど、自由な働き方が実現できています。

プライベートの変化

仕事だけでなく、プライベートの変化もとても大きいものがありました。仕事の全てが自分で決められるようになったことで、時間の融通がとても利きやすくなりました。

「今日は天気がいいからお休みにして、ちょっと遠い公園へ行こう」「3日後から泊まりで出掛けたいから、今日は多めに仕事をしよう」

そんなふうに自分のペースで好きなように暮らすことができる日常なんて、東京にいた頃はイメージしたことすらありませんでした。天気や家族の都合・期限に合わせて仕事を調整することができるため、家族との時間は飛躍的に増えました。また、心の余裕も生まれ、伸び伸びと暮らすことができています。


地方移住のメリット・デメリット

住み慣れた街を離れ、地方に移住するという行動には、メリットだけでなくデメリットもあります。次に、私が移住を通して感じたメリットとデメリットについて紹介します。

地方移住のメリット

  • 自分のリズムで過ごせる
  • 自然を感じ、健康的に生活することができる
  • 近所の人と親しくなれる

私が移住を通して最も大きいと感じたメリットは、自分と家族のペースで生活することができるというポイントです。決まった出勤日や勤務時間はなく自分の裁量で働くことができる案件ばかりを受注しているため、すべてのスケジュールを自分で決めて働くことができます。もちろん、案件を受注するかしないかも自分の選択です。そのため、自分と家族のために使うことができる時間が増え、心の余裕も生まれました。

また、自然に囲まれて暮らし、近くの畑から野菜のお裾分けをいただく生活をしていると、体の中から健康になっていくのを感じます。近所の方の畑で泥んこになって笑っている息子を見ると、移住してきてよかった、と心から思います。

地方移住のデメリット

  • 対面での面接や出社を伴う案件が受注できない
  • 作業できる場所が限られる

メリットと表裏となってしまいますが、地方移住のデメリットとして、フルリモートの案件以外は受注が難しいというポイントがあります。とても面白そうで成長につながりそうな案件があっても、対面での打ち合わせやインタビューが必要となる場合は受注することができないのが歯痒いところです。

また、都内ではフリーwifiや電源を利用できるカフェやフリースペースが数多くあり、どこでも仕事をすることができました。その点、地方ではそのような場所はまだまだ多くはありません。出先で急ぎの対応が必要になった時に備え、モバイルルーターやモバイルバッテリーは自分で用意しておく必要があります。


withコロナ時代の新しい生活スタイルとは

地方に移住し、働き方を見直したことで、私が得たものはたくさんありました。家族との時間、自分らしい過ごし方、自然を感じる暮らし…。しかも、世界中を揺るがすコロナ禍においても、地方ではそこまで強い脅威を感じることがありません。なぜなら、密になる機会があまりないからです。その理由のひとつ目は、地方で元々密になる場が少ないことです。ふたつ目は、人が働かない時間に働くことで、外出は平日の日中など、人が少ない時間にまとめることができるということです。人気の公園やショッピングモールも、密になることなく利用することができています。

子育てをきっかけに実行した地方移住ですが、この暮らしは、withコロナの時代を生き抜くヒントがたくさん隠されているように思います。人と同じ行動をやめ、自分の意思で自分らしい働き方・暮らし方を選択する。私はその結果、心に余裕を持ち、人混みにせかされることのない生活を手に入れることができました。

コロナ禍をきっかけに、リモートワークやフルリモート案件も増えました。対面でないコミュニケーションを可能にするツールもたくさん提供されています。

さまざまなことが目まぐるしく変わるこの時代に、地方でゆっくりと、深呼吸するように暮らしていく生き方は、withコロナの時代の新しいスタイルを考える上で、ひとつのヒントになりそうです。

ライター
Mayu
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