私はライターと研究開発員のパラレルワーカーです。10年以上研究員として研究所に勤務してきました。研究職といえば聞こえはいいですが、今の日本では一部を除き、低賃金・非正規が多い不安定な職種です。ちょうど2年前の冬に資金難からラボ(研究室)の閉鎖を告げられました。
雇われの身ではいつ失業するとも限らないと気づき、理系分野に特化したWebライターになろうと決意。同時に派遣社員として研究開発部門に常駐するパラレルワーク(兼業)のスタイルで働いています。そんな私が感じている「フリーランス×企業常駐」の強力なメリットをお伝えします。
失業リスク分散&収入の安定化
収入源を複数持つことは、安定が約束されない今の時代に大切なリスクヘッジとなります。フリーランスは成果物を納入しないと収入が得られません。クライアントと突然連絡が取れなくなる、報酬未払いのリスクもあります。特にトラブル発生時の交渉にはメンタルを削られます。
一方、企業に雇用されると、少なくとも契約期間中は安定した収入が自動的に口座に振り込まれます。雇用条件にもよりますが、常駐の社員になると健康保険、厚生年金、雇用保険や福利厚生の恩恵も受けることも可能です。フリーランスを経験すると、給与の自動支払いや福利厚生などの手厚さに感動します。
反対にコロナの影響などで雇い止めにあったとしても、フリーランスでの収入があるので、落ち着いて次の仕事を探せます。フリーランスの経験から、雇い止めを失業ではなく、新しい仕事にチャレンジするチャンスと思えるメンタルの強さも身につきました。
派遣契約の更新は3カ月毎の場合が多く、フリーランスの仕事に集中したいときは次の契約を更新しない選択もできます。週に5日のフルタイム常駐だけでなく、週4や短時間勤務など、柔軟な働き方も増えました。工夫次第で自分にピッタリな、自由と安定のちょうどよいバランスで働くことが可能になるのです。
スキルアップ&人脈の広がり
フリーランスは基本的に、一人でコツコツと働くスタイルです。気楽な反面、フィールドの異なる人脈やスキルを得るには、セミナーへの参加など自分から積極的に動く必要があります。一方、企業で勤務すれば、同じ部署の方と自然に知り合えます。仕事で必要なスキルも、日々の業務を通して身につけることができるのです。スキルアップと人脈という点で、企業に常駐するメリットをお伝えします。
スキルアップ
他のフリーランサーとの差別化を狙うなら、人とは違ったスキルを持つことも効果的です。そこで経験の幅を広げるために、企業で働いてみるのはいかがでしょうか。例えば、よく受注するクライアントの業界で勤務してみるのです。その業界の現場の実態を知ることができ、クライアントの求めることがより具体的に理解できるようになります。
また、自分に足りないと感じている経験不足を補う働き方もおすすめです。毎年の確定申告がよくわからない、マーケット感覚がイマイチなのが悩み、という方には経理や営業部署のサポート業務を経験してみるのもよいかと思います。
業務がきっちり分かれている大手企業よりも、小さめのオフィスのほうがいろいろな業務が回ってきます。私は研究をしながら、ラボの経費管理も任されていた期間がありました。当時は面倒だなぁと思っていましたが、フリーランスになってみると「お金の管理に強い」というスキルのありがたみを感じました。
人脈の広がり
派遣で働いている人のなかには、あえて正社員ではなく派遣を選ぶ方も多くいます。私と同じようにフリーランスと掛け持ちしている方、夜間や週末に学校へ通っている方など、「1つの仕事を勤めあげる」従来の社会人のイメージを打ち破る魅力的な方との出会いはとても貴重です。
ある派遣先では、ミュージシャンや漫画家と兼業している同僚がいました。彼らとのなんてことのない雑談から、インスピレーションをもらったことも数知れず。お堅い研究室ではなかった出会いです。交流は今でも楽しく続いています。
働き方の多様化でテレワークが可能に
フリーランスと相性のよいテレワーク
世界をがらりと変えた新型コロナウイルスですが、テレワークが一気に広がり、多様な働き方が認められたことは個人的には嬉しい変化です。
もともとパソコン1つで仕事をしてきたフリーランスにとって、テレワークは大変相性がよいのです。高速のインターネット環境と仕事用デスク・椅子はすでに導入済み、チャットやビデオ会議でのタスク確認・進捗(しんちょく)報告に慣れているなど、テレワークの面では既にエキスパートと言ってもいいほどです。企業側も心強く感じることでしょう。
フリーランスの気楽さにすっかり慣れてしまい、オフィス勤務は難しいと感じていた方でも、テレワークでの勤務なら今までと変わらない環境で働けます。そして通勤時間はゼロ、フリーランスの仕事で使える時間が大きく増えました。これも、フリーランスとの掛け持ちがしやすくなった理由のひとつです。
健康的な生活リズムが手に入る
フリーランスは生活リズムが乱れがちです。私の場合はどんどん夜型になり、寝るのは明け方、起きるのはお昼ごろの生活になってしまいます。納期が迫ると徹夜する方も多いのではないでしょうか。夜型の生活は慢性疾患にかかるリスクが高くなるという研究報告があります。
その点、企業で働くと、強制的に生活リズムを戻せます。朝早く起きるのは今でも苦手ですが、睡眠をしっかりとり、3食規則正しく食べると、心も体も安定すると実感します。
テレワークはフリーランスと相性のよい働き方ですが、気を付けないと1日中ずっと座りっぱなしで仕事を続けてしまいます。私もテレワークを始めた当初はもくもくと仕事し続け、1日の歩数が100歩以下の日々でした。足はむくんで冷え、眼・肩・腰はガチガチ、「このままでは不健康になる」と危機を感じ、意図的に運動を取り入れるように工夫しています。始業前のヨガや、お昼と3時のラジオ体操で、身体をほぐしています。
フリーランスは病気になると、収入源に直結します。健康なら働いて稼ぎ続けることが可能です。健康を保つこともリスクヘッジの1つだと考えています。
リスクヘッジ&相乗効果が期待できる!
フリーランスでありながら、兼業で企業に常駐する働き方のメリットをご紹介しました。安定した収入、福利厚生などの恩恵は精神的な平穏にもつながります。派遣社員としていろいろな企業を渡り歩くと、スキルアップや人脈が広がりました。フリーランス、企業それぞれでの経験がお互いの業務に相乗効果を生みます。
いろいろな仕事を通して、スキルや視野を広げたい私にぴったりの働き方です。テレワーク型常駐も増えているので両立も簡単になりました。収入が不安定な駆け出しのフリーランサーにもおすすめです。あなたの働き方の参考になれば嬉しく思います。