日本最大級のデザイン&アートの祭典
『DESIGNART TOKYO 2019』レポート

東京の街全体をメイン会場とした革新的なデザイン&アートフェスティバル『DESIGNART TOKYO 2019』。

日本最大級の規模を誇るデザイン&アートの祭典、今年は“1% for Art”というコンセプトのもと、国内外のクリエイターや企業による素晴らしいプレゼンテーションが行われました。

銀座と新宿を加えた都内11エリアにて、104会場、390のブランドとクリエイターが参加。会期中の10月18日〜27日の10日間に、のべ約22万人が来場したそうです。

当イベントを主催するDESIGNART委員会より、今年のハイライトを伝えるイベントレポートが届きましたので、その一部を紹介いたします!

Main Exhibition:1% for Art Exhibition

香港をベースにグローバルで活躍するDesign Pierのキュレーションの元、アジアを中心に18名のクリエイターによる約30点の作品が、ワールド北青山ビルの真っ白な大理石と2面の巨大なガラス面に囲まれた光溢れる空間に、クリエイティビティ溢れる世界を創り上げました。

展覧会タイトルでもある“1% for Art”とは、欧米や韓国、台湾で導入されている「公共建築費の1%をパブリックアートの制作費に充てる文化制度」で、日本における制度実現の後押しとしてメインテーマに設定。

中央に設置されたメインアートは、香港とメルボルンに拠点を置く新鋭アーティストのライアン・L・フッテにより、“1% for Art”のある未来をイメージし、高さ3メートルにもなる真直なポールが空高く輝きを放ちました。

その周りには、ベルリンを拠点に活躍する山本滋巳氏が日本初展示として、日本の高知県にしか生息しない竹虎を使用した仕掛け扉が施されたキャビネットを初披露。

このキャビネット(大サイズ)はじめ、3作品が会期中、販売につながっています。

タイのKitt.Ta.Khon Design Studio はボーダレスな工芸の世界を目指し、アフリカ・イスラム・タイ等の文化的工芸を融合したデザインを発表するなど、それは正にDESIGNART TOKYOが目指す、ジャンルを超えたミックスカルチャーが出会い、新しい感動を生み出す場となりました。

Partner Country ISRAEL:Garden of Eden

太古から人類を支える資源である小麦を使ったシャンデリアと死海の塩の舞台を中心に、エルサレム・デザイン・ウィーク より12の作品が青山スパイラルに展示されました。

人類が創生されたエデンの園をデザインの起源の園に見立てた同展示では、自然・文化・科学・歴史の側面からデザインされた作品がずらりと。

それらはプロダクトだけに留まらず、古来からのレシピの1つである塩漬けという食そのものも死海の塩の舞台デザインに加えるなど、斬新に伝統技術とテクノロジーを融合させた、新しくも人間に寄り添ったイスラエル独自の文化や精神を知り、触れる機会となりました。

これまでの物の価値を問い、次の未来を考える展示の数々


GRAND SEIKO

今年のミラノサローネでも好評を得たグランドセイコー「THE NATURE OF TIME」の東京凱旋展示。静寂の中、クリエイターのwe+、阿部伸吾氏とプロデューサー桐山登士樹氏らにより、精密で美しいグランドセイコーのスプリングドライブのパーツが光の波紋とダイナミックな映像に浮かびます。

これはまさに、贅沢な時間を味わいながら日本のクラフトマンシップの素晴らしさを体感できる空間そのもの。昨年に引き続いてこの様な展示の参加に今後も期待が高まります。

THE GINZA

「THE GINZA COSMETICS GINZA」の1周年を記念し、地下2階のギャラリー「THE GINZA SPACE」にて空間デザインを担当したODS /鬼木デザインスタジオによる個展「CORD / CODE」と題したインスタレーションと椅子が発表されました。

インスタレーションは高さ約4mの空間を約400本のワイヤーがダイナミックにそして優美に張り巡らされ、そのシンプルな美しさは安らぎの空間を生み出し、多くの来場者を魅了しました。

Wakabayashi Butsugu Mfg.

変わりゆく現代のライフスタイルの中、“仏壇の存在意義を問い直した”若林佛具製作所の挑戦を6名の日本を代表するクリエイターが表現するraison d’être=存在意義。

板坂諭氏は「心臓」(ハート)をイメージした箱に花器、⾹炉、写真⽴て、⼩物⼊れなどを納められる「animus」、倉本仁氏は色や装飾をカスタマイズできる「祈像」、永山祐子氏は故人と生人が触れ合う場として「玉響厨子」(たまゆらのずし)、名和晃平氏は祈りの対象として仏師の手彫りによる「鳳 / 凰」、橋本夕紀夫氏は機能性も兼ね備えたオブジェのような仏壇「magokoro」、眞城成男氏はペット用の仏壇「Perch」をそれぞれ披露し、日本の伝統美とデザイン力の高さを印象付けました。

Google

Googleのハードウェアのデザイン哲学を表現するインスタレーション「comma(カンマ)」が21_21 DESIGN SIGHTギャラリー3で発表されました。

ハードウェアデザインを統括するアイビー・ロス氏(Ivy Ross)とオランダのトレンド予測のパイオニア リドヴィッジ・エデルコート氏(Lidewij Edelkoort)がコラボレートした同展は、テクノロジーが日常に穏やかに溶け込み、間(comma)を共に味わう、それはつまりGoogleのデザインが私たちの生活に寄り添い、共に暮らして行く時間をイメージさせる空間でありました。

TORY BURCH

若手抽象画家として活躍する吉田花子が自身初の試みとなる巨大掛け軸2点をトリー バーチ銀座店で発表。

夢を追う女性たちを応援したいというブランドの思いから「WOMAN」をテーマとし女性の感情や境遇を色彩で表現。

また、2019秋冬コレクションテーマ「ブラック・マウンテン・カレッジ」への敬意より、同じ様に時代を経てきた江戸時代の古布や箔を探し出し、作品に時代を超えた深みや力強さを加えています。

ブランドのサポートにより若手作家が新しいステージに挑戦できた素晴らしい機会となりました。

B&B Italia Tokyo

イタリアンレザーウォールのstudioartと、ファッション、グラフィック、プロダクト、サウンド、映像などカテゴリーにとらわれない様々なヴィジュアルディレクション及びデザイン活動を行うSOMA DESIGNが、モダンファニチャーの最高峰B&B Italia Tokyoにてインテリアとファッションの融合を目指す新作レザーウォールを発表しました。

この展示は会期後も展示が延長しており、展示場所と展示作品のマッチングの成功例の一つとなっています。

トークセッションやアワードも開催!


PechaKucha Night Special

今年の新エリアである銀座のPLUS TOKYOに場所を変え、初日のafter partyとして開催。6名のクリエイターによるプレゼンテーションが行われました。

DESIGNART TOKYOより、ペリエ ジュエ展示コラボレーターのアンドレア・マンクーゾ氏、アートディレクターで「毛髪主義」アーティストの瀧亜沙子氏、イスラエル在住デザイナーのバー・ホロウィッツ氏、また 受賞経験多数の現代装飾家の京森康平氏が参加しました。 

DESIGNART Conference BRIDGE

10月20日、原宿のWeWorkアイスバーグにて、1%から世界を変える可能性について“1% for Future”, “1% for Society”, “1% for Art”の3つのセッションを設け登壇者と参加者が考え、語り合う場を開催。

“1% for Future”では、本田技術研究所の鈴木健之氏とデザインエンジニアの山中俊治氏、電通の尾崎賢司氏による「自動運転」の世界においてクルマとヒトの新しい概念「自由運転」について、“1% for Society”では、NOSIGNER 太刀川英輔氏、Chefs for the Blue 佐々木ひろこ氏、広告 編集長 小野直紀氏、greenz.jp 小野裕之氏による、個人の持つ小さいながらも社会を変える大きなクリエイティビティの可能性について、“1% for Art”では、台湾の建築家ジョニー・チウ氏、DESIGNART Featureのメインアーティスト ライアン・L・フーテ氏、上海のパブリックアート企画制作組織 UAPダン・カリー氏、森美術館の椿玲子氏がそれぞれの実例を挙げ、よりよい社会の実現に向けての考えを深め合いました。

BIG EMOTIONS AWARD

今年から新設されたアワードは、発起人5組が審査員となり最優秀3組を選定し、その授賞式を26日パートナーカントリーのイスラエルの展示会場である青山スパイラルにて行いました。

受賞者は来年の東京オリンピック・パラリンピックのメダルケースをデザインした吉田真也氏が手掛けた最新テクノロジーを駆使したトロフィー、BIG EMOTIONS AWARDを授与されました。

また、授賞式の後はイスラエルの国民的歌手DIKLAのライブが行われ、最終日前夜を盛り上げました。

受賞作品

M&T
今年のUNDER 30にも選出された作品。
受賞理由コメント:小池博史
熱という自然現象によって実現するデザインが固定化されない、見る人によって感じ方が変わる面白さを持っています。昨今、動きのあるプロダクトというとデジタルがトレンドですが、多くの人が知る熱気球の原理を用いて、機械的なしくみでそれを実現しています。この組み合わせ・バランスが綺麗に作品へ落とし込まれている点がBIG EMOTIONS AWARDにふさわしいと感じました。
大人だけでなく子供が見ても幻想的で楽しめる、人を呼び込む力のある作品となっています。

OKURAYAMA STUDIO
受賞理由コメント:青木昭夫
イサムノグチがこよなく愛した伊達冠石を使い、KASHIYAMA DAIKANYAMAで発表した大蔵山スタジオ。2000万年前の火山活動でできた石は手を加えなくてもただあるだけで美しく、プリミティブで強い存在感でした。そして、NYのデザインギャラリー「Philia」の為に制作されたローテーブルはもはや彫刻。さらに柳原照弘氏による無骨な合板製の標本箱のような展示台で構成した展示空間によって、様々な表情をもった石に集中できました。また八木夕菜氏の撮影した、伊達冠石の表情を極厚のアクリルと組合わせたアート作品は、石の持つ異次元の魅力を引き出していました。素材を活かした美食を食べているような展覧会でした。

ISRAEL:Jersalem Design Week

受賞理由コメント:Klein Dytham architecture
豊かな緑と熟れた果実で溢れる本物の庭園のように、JDWの「エデンの園」は、素晴らしい作品の数々で私たちを魅了しました。伝統的な職人と若いアーティストとのコラボレーションが、より特別で魅力的なアートへと昇華させたように感じます。中でも、独自のアルゴリズムを取り入れたCNC工作機械により、オーディエンスの目の前で織りなされる「コモン・スレッド」は圧巻でした。また、小麦による美しい雲と5トンものインパクトある白い塩のインスタレーションは、神話と歴史を直感的に連想させる作品であり、その空間で得た全ての経験が豊かで深みがあり、アートとデザインのあるべき姿や意味をもたらせてくれます。「エデンの園」は、まさに第1回目の受賞に相応しく、その価値を象徴する作品といえるでしょう。



DESIGNART TOKYO 2019 実施実績

来場者数
約227,400人(のべ)

会場数・出展者数
104会場・147

参加クリエイター&ブランド
390

オープニングパーティ来場者数:約1,000人
マッチング数:39組

オフィシャルタブロイド発行部数:50,000部
オフィシャルマップ発行部数:50,000部
オフィシャルガイドブック発行部数:20,000部
オフィシャルタブロイド配布箇所数:265箇所

作品販売総額
約20,000,000円(23会場 11月25日時点)



DESIGNART TOKYO 2019 開催概要
イベント名称:DESIGNART TOKYO 2019(デザイナート・トーキョー 2019)
– 会期:2019 年10 月18 日(金)~ 10 月27 日(日)10 日間
– エリア:表参道・外苑前/原宿・明治神宮前/渋谷・恵比寿/代官山・中目黒/六本木/新宿/銀座
– 主催:DESIGNART 実行委員会
– 助成:公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京
– 会場協力:ワールド

オフィシャルWEB サイト:http://designart.jp/designarttokyo2019/

撮影
Nacása & Partners(イスラエル展示とトロフィーを除く)
撮影
Ryokan Abe(トロフィー)