売り手市場といわれるITエンジニアの求人市場。政府の試算ではIT人材は2025年には36万人、2030年には45万人不足する見込みです。2017年の通商白書ではIT・データ人材の不足を補うために、国を挙げて人材を育成する政策を示しています。
ITエンジニアのニーズが高まるなか、「未経験でも就職できるのかな」、「自分でもITエンジニアになれるのかな」と漠然と考えていませんか? ここでは未経験からITエンジニアとして就職する方法について紹介します。
IT業界の分類について
まずIT業界とは何なのか、ここでおさらいしましょう。ITとはInformation Technology、つまり「情報技術」のことです。スマートフォンやインターネット、電子マネーなどに使われていて、公的機関や企業の業務、私たちの日常生活に活用されている技術といえるでしょう。
IT業界はビジネスの種類によって大きく5つに分けられます。まずハードウェアメーカー、ソフトウェア会社、プログラミング会社、ネットワーク通信キャリアがあります。そして、これらと共同しながら、社会に必要な仕組みをつくる役割を担うシステムインテグレーターです。
ITエンジニア未経験者を募集している職種とは?
IT業界で働くITエンジニアには、幅広い職種があります。ITエンジニアを目指す際はそれぞれの職種の特徴を知り、自分に適性があるかよく考えることが大切です。ここでは、ITエンジニア未経験者でも受け入れる傾向のある職種について、その特徴を解説します。
■システムエンジニア(SE)
システムエンジニアは、クライアントのニーズに沿ったシステムの設計と開発をする職種です。プログラミングの知識があり、自らプログラミングすることもあれば、プログラマーに業務を依頼するリーダーとしての役割もあります。
クライアントのニーズを聞きとるヒアリング能力に加えて、的確に指示を出せるコミュニケーション能力も必要です。またプロジェクトごとに人員や予算を組み、クライアント納期に合わせて進行管理をするディレクター的な役割も担います。
■プログラマー(PG)
プログラマーはプログラミング言語を駆使してシステムの一部をつくる職種です。ITエンジニアのキャリアパスのスタート地点にある職種なので、未経験者が就職しやすいと言えるでしょう。
プログラミングとは、コンピュータを動かす命令文(コード)を書く作業のこと。メンテナンスしやすく、わかりやすいコードを書けるようになるには研鑽が必要です。
IT業界ではスキルのあるプログラマーが常に求められています。多くの活躍の場があり、スキルが認められれば高年収も狙えます。動きの激しいIT業界ではプログラミング技術のトレンドを敏感にキャッチすることが大切です。仕事のかたわら情報収集や勉強は欠かせません。
未経験でもITエンジニアとして就職するためには
ここでは、未経験からITエンジニアとして就職するための方法をまとめました。ぜひ参考にして、自分がIT業界に適性があるかどうか検討してみてください。
■意欲を形にするポートフォリオの作成
IT業界では次々と新しい技術が生まれるため、トレンドを敏感に察知して意欲的に勉強を続ける必要があります。このことを考えると、ITエンジニアを募集している企業が「将来性が見込めて、初心者だけど何となくITエンジニアに応募した人」を採用することはありえません。
未経験者は実績をアピールできないため、前のめりになっているくらいの意欲をみせる必要があります。この意欲をみせるプレゼンツールが、「ポートフォリオ」です。何かをつくる、生み出す力をみせるために、まずは自分なりに勉強したコードを採用担当者に見せる準備はしておいて損はないでしょう。
■「未経験者歓迎」の求人を探す
実際に仕事探しを始めたら、求人サイトでリサーチをする人も多いことでしょう。一般的に「未経験者歓迎」と掲げている企業をターゲットに就職活動をすることになります。
「未経験者歓迎」の意味は、IT業界での就業経験はないけれど、プログラミング言語の知識は持っていると解釈しておくのが成功への近道です。
なかには、プログラミング言語についてまったく知識のない人でも採用対象としている企業もあるかもしれないので、まずは問い合わせましょう。
■ITエンジニア関連のバイトや派遣から就職を目指す
IT業界のトレンドを肌で感じるためにも、ITエンジニア関連のバイトや派遣の就業機会を探しましょう。IT業界で実際に自分が何をしたいのか見つける手がかりにもなります。また、どのプログラミング言語をメインで習得すれば自分のやりたいことに繋げられるのか、生の情報を得られるからです。
ネットワーキングの場として、バイト先や派遣先を生かしてみましょう。将来的に頼れる先輩、同僚エンジニアを見つけるきっかけになるかもしれません。働く姿勢が認められれば、社員として声がかかることも考えられます。まずは業界に食い込むことから始めてみるのもひとつの方法です。
■転職サポート付きのプログラミングスクールで学ぶ
未経験からITエンジニアとして就職するには、いずれ必要になるプログラミング言語について学びながら転職を目指す方法もあります。自己投資をする必要があるので、ITエンジニアになる覚悟や心がまえが生まれるほか、転職が成功するまで細やかな指導を受けられるのが特徴です。
学習システムが整備されていて、手厚いサポートで実力を伸ばしたい人にぴったりな方法です。
未経験からITエンジニアになる道はひとつじゃない
本記事では、IT業界の基礎知識と、未経験からITエンジニアとして就職する方法について紹介しました。人材不足の解消に政府も力を入れているので、未経験者がIT業界へ転職するのは情報技術への情熱や姿勢さえ認められれば決して困難ではありません。
オンラインでプログラミング言語を学んだり、SNSで他のエンジニアの動きをチェックするのも勉強になります。変化のスピードが早い業界なので、勉強をしながらチャンスをつかむことです。ITエンジニアになるチャンスはあちこちに転がっていることを忘れないようにしましょう。