海外デザイン事務所に学ぶキャリアの描き方。事例や取り組みを紹介

クリエイティブ職であるデザイナーにはさまざまなキャリアパスがあります。テクノロジーを使った新たなツールの登場や市場の変化により、デザイナーとして求められるスキルも変化します。変化の過程で、全体管理を行う役割や指導者など、職種を変えていくデザイナーもいるでしょう。

海外と日本のデザイン事務所におけるキャリアにも違いがあります。海外志向のデザイナーではなくとも、キャリアの参考として海外の事例を知っておくことは重要です。

本記事では、海外のデザイン事務所で実現できるキャリデザインをご紹介します。先進的な事例やユニークな取り組みを参考に、自身に適したキャリアパスを描きましょう。

海外と日本のデザイン事務所のキャリアの違い

海外と日本のデザイン事務所の違いは、デザイナーのキャリアにおける離職への反応です。デザイン事務所に限らず、終身雇用の崩壊により、日本でも離職へのマイナスイメージは少なくなりつつあります。

しかし海外のデザイン事務所は、日本以上に離職へのマイナスイメージがありません。デザイン事務所とデザイナーにとって、得する形を作れずに時間が過ぎてしまうことは、両者にメリットがないためです。合わない場合は早めに離職して、次の職場や違う道へ進むことに、抵抗がありません。適材適所の考え方で、あるデザイン事務所では全く仕事ができない扱いを受けていたデザイナーが、別のデザイン事務所で活躍する場合もあります。

海外のデザイン事務所は、離職という表面的な履歴書の職歴の完璧さを見るのではなく、内面的な個性や能力、実績を見て判断します。日本では、デザイン事務所に数年勤めることが「修行」という側面もありますが、海外のデザイン事務所ではそのような考え方はほとんどありません。まずは経験し、合わなければ辞めるスタイルです。

海外のデザイン事務所では横断的な能力が求められる

デザインスキルはもちろんですが、その他の横断的なスキルや知識も歓迎されます。日本のデザイン事務所とは違い、デザイン事務所を渡り歩くだけではなく、違う業界や職種をすることで身に付けた能力も評価されるのです。

日本では指定された完璧なデザインを作り上げるような職人気質のデザイナーが多い傾向にあります。ビジュアル面は完璧でも、テクノロジーやビジネス視点を取り入れたデザインにおいては苦手なのです。一方、海外のデザイナーはコンセプトやターゲットを明確に設定します。外見を重視する日本、内側を重視する海外とデザインへの考え方自体も異なります。

海外デザイン事務所のキャリアの事例

海外のデザイン事務所から他業界へのキャリアチェンジは、既に述べた通り、デザイナーに与えられた道のひとつです。海外では、一般的にデザイナーとしてキャリアを進めていくならば、デザイン事務所、インハウス、フリーランスと3つの選択肢があります。

3つのキャリアの事例をご紹介します。

■デザイン事務所

デザイン事務所から別のデザイン事務所に転職すれば、ビジネスで使われるデザインの仕組みについて、実践しながら深く学べます。デザインの発注から納品、成果物が世に出て与える影響まで、一連の流れを把握しながらデザインスキルを付けられます。

また、社内にはデザイナーとして複数の競争相手がいるため、よりスキルを磨くことにも役に立ちます。ときには、キャリアの相談相手として助けてくれるでしょう。ディレクターや上司を通じて、デザインのフィードバックやビジネス目線のデザインを学べば、デザインに関わる人数が周りに少ないキャリアよりも、実践的なスキルが身に付くことがデザイン事務所の良さです。

■インハウス

インハウスデザイナーは、勤務する企業の商品やサービスのデザインを担当するデザイナーです。給料や待遇の面が安定しているメリットがあります。さらに企業のデザインを担当するため、ブランディングやビジネスの面でも得られる学びが大きくなります。

ブランディングについて実践的に学びが得られると、さらに先のキャリアで独立を考えている場合にも役に立ちます。クライアントのニーズを引き出し、ブランドの一貫性を持たせるデザインをヒアリングで引き出すには、ブランディング能力が欠かせません。

ただしデザイナーが主流の企業ではないため、デザイン以外の業務やデザイナー向きではない社内制度により、デザイナーのキャリアに相乗効果を出さない環境になる場合もあります。

■フリーランス

フリーランスデザイナーは、自身のクリエイティブへの決定権を持ち、時間のコントロールができます。個人事業主としてクライアントから仕事を受注する、週の決められた時間を企業と契約して安定した仕事をする方法など、選択肢も広がるのがメリットです。

さまざまな仕事を、自分の名前を使ったデザインで行えるため、ポートフォリオが充実し、さらに良い仕事が来る循環を作れます。

一方で、最初は細かく実績になりにくい仕事しかできず、自身で営業や事務作業をこなさなくてはなりません。デザイン事務所である程度独立してやっていけるだけのスキルとビジネスの視点を身に付けておくと良いでしょう。

海外デザイン事務所を参考に理想のキャリアを探そう

海外のデザイン事務所では、離職は悪いことではありません。求める環境がない、経営者と考えが合わない、予想と違う内容だったなど、海外のデザイナーは自分のキャリアの重要さを理解して、時間を無駄にしないように行動します。

移り変わりの激しいデザイン業界において、意思決定のスピードは重要です。横断的なスキルに対する評価も高く、さまざまなスキルや経験を自分が納得するまで身に付ければ、新たな場所へ移っていきます。

海外デザイン事務所におけるキャリアを参考に、理想のキャリアを改めて考えてみましょう。

ライター
蓮池ヒロ
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