カスタマーサクセス担当者の必読書籍5選

近年、サブスクリプション型ビジネスの増加にともなって注目が高まっているカスタマーサクセス(CS)。シリコンバレーのSalesforce社が2000年初頭に概念を提唱し、日本でもカスタマーサクセス部門を立ち上げる企業が増えています。

しかし、その知見はまだあまり広がっていないのが実情です。そこで今回は、カスタマーサクセスの仕事に携わるなら読んでおきたい、必読本をご紹介します。


CS担当必読本①|『カスタマーサクセス」

副題は「サブスクリプション時代に求められる『顧客の成功』10の原則」とつけられています。

サブスクリプションビジネスが生まれ、企業からみた顧客は「売る相手」から「長く使ってもらう相手」に変わりつつあります。データを駆使して顧客を支援し、顧客の成功体験を高めるという発想なしには、企業の成長が見込めない。このようなカスタマーサクセスの概念が生まれた背景から実践方法までを教えてくれる書籍です。

三部構成になっていて、第二部でカスタマーサクセスの実践的内容を扱っています。ここに書かれている「10の原則」を通じて、カスタマーサクセスの考え方は「従来の企業と顧客の関係を大きくアップデートするものだ」ということが具体的にわかるでしょう。

「カスタマーヘルス」といった耳慣れない言葉も出てきます。しかし蓋を開けるとこれは、製品定着率やカスタマーサポートの利用頻度といったデータをどのようにとらえて活用するかに関わる話題なのです。

これまで顧客へのアプローチについて考えてきた経験があれば、このとらえ直しはさほど難しくないでしょう。


CS担当必読本②|『CRM 顧客はそこにいる』

CRMとは、「顧客との関係性管理(Customer Relationship Management)」のことです。

著者らが所属する大手IT経営戦略コンサルティング企業、アクセンチュアは「顧客の捉え方」に光をあて、さまざまな部門がもつデータをいち早く活用しています。

眠ってしまっている「顧客との関係」を活性化して、本当の顧客第一主義にもとづくサービスの提供、経営資源の配分を説くこの書籍。

顧客の考え、行動をデータ越しに可視化するカスタマーサクセスの源流を学べるでしょう。

定評のあるロングセラーであり、増補改訂版では銀行や製薬業界など、事例も充実しています。

また、読者で自社のCRM度を測れるテストも用意されています。「市場全体の顧客数は?自社の顧客数は?」といった市場理解の設問から、「他社に逃げた顧客はどれだけか?機会損失額は?理由は?」といった深く分析を要するものまで、10問のテストです。

単にデータを見るだけでなく、そこから個別の顧客に対してどのようなアプローチが必要かという施策に落とし込むための、効果的なチェックになるでしょう。


CS担当必読本③|『売上につながる「顧客ロイヤルティ戦略」入門』

アクセンチュアの前身、アンダーセンコンサルティング出身で、UXインテリジェンス事業会社を立ち上げた遠藤氏と武井氏による共著です。

本書のテーマである「顧客ロイヤルティ戦略」とは、顧客満足を高めて売上に直結させる戦略のこと。顧客の行動や心理を定量・定性データで分析して、それに応じて施策に落とし込んでいくプロセスが語られています。

実践内容は「顧客満足が高いのに競合に勝てないワケ」から始まり、「顧客志向文化を形成する」で結ぶ7つのステップに分かれています。

人口が減少している環境においては、中長期的に顧客ロイヤルティを創出することが企業の生き残りにつながります。カスタマーサクセスの大前提とも言えるこの部分に対して、納得感をもって読み進められるでしょう。


CS担当必読本④|『サブスクリプション・マーケティング モノが売れない時代の顧客との関わり方』

カスタマーサクセスの概念が提唱されるきっかけを生んだ、サブスクリプション型ビジネス。いち早くカスタマーサクセスの考え方を世に広めたSalesforce社をはじめ、NetflixやAmazonプライムといった定額制サービスを展開する企業は増えています。

消費者からすれば「一度モノを買って終わり」ではなく、継続的にお金を払い続けるという形式のこのビジネス。「一度売って終わり」というこれまでの考え方では、企業が選ばれ続けることはできません。

この書籍は大きく三部構成となっており、サブスクリプション型ビジネスを理解する入門書といえる内容です。見込み客や新規顧客と同じくらい顧客へのマーケティングが重要であるとして、サポートを超えるカスタマーサクセスの重要性をうたっています。


CS担当必読本⑤|『THE MODEL』

副題は、「マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス」となっています。「THE MODEL」とはSalesforce社が活用してきたモデルで、サブスクリプション型ビジネスやSaaSが台頭してきたことによって、一般的に知られるようになりました。

一言でいえば「顧客の成功とともに、売上を拡大する仕組み」のことです。部門間が連携して、マーケティングから商談・クロージング、定着化支援すべてを一貫して行う顧客対応といえます。

インサイドセールス、カスタマーサクセスといった比較的新しい部門をただ稼働させるのではなく、顧客との関係を深めて売上につなげるために必要な取り組みの全体像を俯瞰できる書籍でしょう。

かつ、理論上のフレームワークではなく、実践的なプレイブックとなっています。


カスタマーサクセスで重要なのは、学びと実践の往復

まだまだその背景や知見が広まっていない、カスタマーサクセスの世界。担当者になったからには、先駆的な企業の事例なども含めて、頭に入れておきたいものです。

しかし本当に重要なのは、本から得られる知識と自社での実践の往復です。実践なくして、知識は生きません。

顧客の成功を高めるには、目の前の顧客が聞かせてくれる声に耳を傾け、全社で対応していくこと。そのくり返しによって、ご紹介した書籍の内容も意味をもつようになるでしょう。

ライター
青柳わかこ