様々な業界に影響を及ぼしているコロナショックですが、このような状況下でも活躍を続けるデザイナーは存在します。彼らは今なぜ必要とされているのでしょうか?アフターコロナで求められるデザイナーのスキルとは?詳しく解説します。
コロナ禍で収入増のデザイナーとは?
デザイナーの収入はコロナ前後でどう変化したのか?
新型コロナウイルスに伴う非常事態宣言の前と後では、デザイナーの収入はどのように変化しているのでしょうか?デジタルハリウッドが卒業生・講師陣に実施した調査によると、Webで活躍するデザイナーに限っていえば、6割ほどが収入に変化がない、2割ほどが減少した一方で、残り2割は増加したそうです。
デザイナーのなかでも収入が変わらなかった6割は、正社員として勤務している人がほとんど。仕事量が減少したとしても雇用が守られているのが現状です。収入に影響があったのはおもにフリーランスとして独立しているデザイナーといえます。
増加した仕事は「コロナウイルス関連」
収入が増加した2割のデザイナーの具体的な仕事内容は、「コロナウイルス関連」、「ECサイト」、「サイト制作が滞っていた企業案件」。いずれもコロナ禍であることが大きく影響しています。
コロナウイルス関連はたとえば、横浜のソーシャルイノベーションのためのデザインファーム、NOSIGNER社が立ち上げたサイト「パンデミックから身を守るために(https://www.pandaid.jp/)」があります。
こちらは企業などから先に依頼を受けるのではなく、新型コロナウイルス対策をテーマに主体的にサイトを立ち上げ、後々のプロジェクトの受注へとつなげていくスタイルです。
ECサイトやサイト制作が滞っていた企業案件は、自宅待機を余儀なくされたユーザーのネットニーズに応えるべく供給に乗り出したECサイトや企業からの発注であると考えられます。いずれもコロナ禍にあるからこその需要の変化を、いち早く捉えたデザイナーの収入が増加している傾向にあります。
デザイナーがウィズコロナで身に付けるべき知見やスキル5選
DXに関する知見と経験
コロナ禍では、社会全体でデジタルトランスフォーメーション(DX)が加速し、テレワークや複数のエリアチームで仕事をするスタイルが形成されると考えられています。今後ますますDXニーズは増加。AIテクノロジーに関する最新の情報をいち早く入手し、企業が抱えるビジネス課題への解決策が求められるでしょう。
デザイナー自身もDXに関する知見を深め、プロダクトを通じてDXでの経験値を上げることで、アフターコロナ時代にも必要とされる存在になることが可能です。
感染症対策に関する知見
先ほど取り上げたNOSIGNER社のように、感染症対策に関するサイトを自ら立ち上げ、情報発信することで新しいビジネスへと繋がる可能性も今後増えると予想されます。海外でのWebデザインやグラフィックデザインの現場でも、感染症対策に関する知見を有していることが、仕事依頼へと繋がるケースも報告されています。
日本ではパンデミックに至らなかったものの、2002年のSARSや2012年のMERSなどのコロナウイルスはアジアで流行した過去があります。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に限らず、感染症対策に関するデザインの知見を蓄えておくことが、新たなビジネスの可能性を拓くでしょう。
テレワークスキル
デジタルハリウッドの調査では、一般的な企業のテレワーク実施率がわずか25.39%だったのに比べ、Web/クリエイティブ系のテレワーク実施率は、2019年11月の30%から、2020年4月には70%と激増しました。Web/クリエイティブ系はテレワークが最も普及している業種の1つでしょう。
企業向けビデオ会議ZoomやSkype Meet Nowなど会議用ツールを実践的に使いこなせるのはもちろん、TrelloやSlack、Asanaなどのプロジェクト・タスク管理ツールを利用した社内外での共同プロジェクトについても、オンライン上でスムーズに行えるようにしておくと、クライアントの仕様に柔軟に対応できます。
クラウドスキル
テレワーク時代のデザイナーに必須ともいえるデザインツールが、Adobe Creative Cloudです。サブスクリプションでIllustratorやPhotoshopを利用するだけでなく、クラウドを使いこなすことで、非接触型のビジネスを確立しておくことが重要です。
プロジェクトの始動から納品、ユーザーテスト、フィードバックまで、全ての業務をオンラインで遂行できる状態にしておきましょう。
セキュリティスキル
テレワークにおいてはクラウドが普及すると同時に、表裏一体のリスクとして懸念されているのが、フリーランスのデザイナーのセキュリティ環境です。デザイナーは未発表商品や極秘プロジェクトに関わる制作を依頼されることも少なくありません。会社組織としては当たり前ですが、フリーのデザイナーも大口の発注を得るにはセキュリティレベルを上げておく必要があります。
セキュリティソフトの導入はもちろんですが、セキュリティに対するインテリジェンスも、アフターコロナ時代のデザイナーなら常識とされます。
「いつでもどこでも仕事が行える」気安さから、つい外出先でもPC画面を開いてしまっていないか、公衆無線LANを使っていないか、カフェなどで仕事をしていないかなど、1度ワークスタイルを見直して、セキュリティ面での改善点がないかチェックしておきましょう。
コロナ禍でもデザイナーとして活躍しよう
コロナ禍にあっても収入が増加しているデザイナーの実態と、アフターコロナ時代に身に付けておきたい、知見やスキルを5つご紹介しました。将来的にコロナウイルスの流行が収束しても、DXやテレワークはますます普及が加速していくことは必定です。この機会に5つの知見やスキルを習得しておくことで、時世の変化に強いデザイナーになりましょう。