アフターコロナ時代の成長に必須!実店舗のUXデザイン

コロナ渦で、対面販売や実店舗の存在意義や問題点が明るみになりました。アフターコロナ時代にはこれまで以上に、オンライン、オフラインならではの体験価値が求められます。今回はこれから必要になる店舗のUXデザインについて紹介します。


コロナ渦で明るみになった実店舗の存在意義とUXデザインの重要性

人口減少やネット社会の進展で、実店舗の存在意義を考えねばならなくなりました。さらにこのコロナ渦で、オフラインからオンラインの流れが加速し、店舗のUXデザインが必要になってきています。そもそもUXとは、ユーザーがサービスや製品を利用したときに得られる「体験」「経験」を指します。特に実店舗では、顧客に向けて「楽しい」「うれしい」「心地よい」に加えて「わざわざ足を運ぶ価値がある」といったプラスの体験を作りだすことが、これから特に求められるUX設計の目的です。


「体験」をデザインしたスターバックスコーヒー

値段だけ見ると、「高い!」と感じてしまうスターバックスコーヒーのドリンク。確かにメインであるコーヒーやフード、スイーツの品質は良く、こだわり抜かれた商品を提供しているので値段が高いのは仕方ないと感じます。しかしながら、高いお金を払ってでも何度もリピートする人が多く人気が絶えない理由は、ただドリンクや食事が美味しいからだけではありません。

スターバックスコーヒーはUXに力を入れており、店内での「特別な体験」を求めて顧客は足を運ぶのです。その体験とは、メインのコーヒーの品質だけでなく、コーヒーカップや店内の内装、インスタ映えする写真スポットの提供、シーズンごとに特別感のあるドリンクや食事、Wifi環境、1人ひとりのスペースを確保、座り心地の良い椅子、店員のホスピタリティなどです。顧客は「スターバックスでコーヒーを飲む」という経験価値を感じて足繁く通うのです。また、「MyStarbucksIdea」というアイデアコミュニティでお客様から広く改善アイディアを募集しており、顧客はサービスの設計に参加している感覚を持つことができます。

今の時代、美味しいコーヒーはコンビニで100円で手に入りますし、コロナ渦でわざわざ店内を利用せず、テイクアウトして家でゆっくりコーヒーを楽しむ人も多いでしょう。このような中でカフェに顧客を来店させるには美味しいコーヒーを提供するということだけでは難しいです。特に実店舗では、商品に加えて顧客を引きつけるような「体験」を提供することが成功の鍵となります。


オンラインからオフラインへ誘導し成功!ユナイテッドアローズ

ネットショッピングが浸透している今の時代でもなお、ユナイテッドアローズは実店舗での売上が全体の9割を占めています。昔から変わらず、あくまで主軸は実店舗というスタンスで、オンラインストアの価値は、店舗への顧客誘導と再来店促進機能にあると考えています。このようなスタンスですので、ユナイテッドアローズではオンラインでのUXデザインに工夫を凝らし、かつオフラインとオンラインを双方に繋げる仕組みを作っています。

例えばオンラインからオフラインへ繋げる取り組みです。公式サイトで商品を見て、試着してから購入したいという要望が合った場合は、指定の店舗で商品を確認できるサービスがあります。衣料品の実店舗ならではの価値は、以下の3点です。

● 商品の実物を手にすることで、素材の質感やサイズ感を知る
● 試着することで自分にフィットするか確認できる
● 販売員によるコーディネート提案のサービスを受ける
(企業側のメリットとしてはオフラインでは難しい、直接の営業をかけることができる)

オンラインで決断できない顧客を逃さず、オフラインへ誘導し売り上げに繋げる取り組みです。

一方で、オフラインで迷って購入を決めきれなかった顧客をオンラインへ繋げる取り組みがあります。

実店舗で実物のサイズ感や質感を確認したけれど購入に至らなかった方には、商品の品番や詳細情報をメモしたものを持って帰って頂くサービスがあります。品番メモがあれればサイト内ですぐに商品を探すことができ、試着した感じも合わせてもう一度じっくり考え直すことができます。実店舗で購入しなかった顧客を逃さない仕組みがここにあります。

コロナ渦では、オンラインで買い物を済ませたい方が増えていますが、実店舗ならではの価値は残しつつ、オンラインとオフラインを融合させることも大事になります。


これから実店舗で求められるUXデザインとは

これからのUXデザインでは例えば実店舗の空間デザインやサイトをおしゃれにデザインし、顧客が使いやすい設計をするということだけでなく、顧客に「心地よい」と言ったプラスの感情を感じさせ、商品以上の「体験を買っている」「体験に特別な価値を感じる」という感覚を持たせることが求められます。もちろんビジネスなので、顧客が「体験を買う」ことによって最終的に企業は利益をあげる必要があります。

そのためにこれからのUXデザインに必要なのは、今まで人間が集めたり分析したりしていた作業を徐々にAIに置き換えるか、またはAIになることを想定したデザインを施し、AIに顧客の行動データを蓄積させ、分析させる仕組みを取り入れることです。

そして、UXデザインは一度行って終了ではなく、時代の変化や顧客の志向の変化に合わせて、常にアップデートができるような仕組みにすることです。AIができる作業についている人員は削減し、アップデート業務に人員を割く体制をとりましょう。

AIが蓄積した行動データを元に、人間にしか感じられない「感覚」「感じ方」をふまえて柔軟に改善やアップデート業務を繰り返し、顧客が「価値を感じる体験」を提供できる商品やサービスを構築していくことがUXデザインに求められます。


アフターコロナ時代に必要なUXデザイン

ただ良い商品やサービスを提供して商売が成り立つ時代は終わりました。これから求められるのは「商品やサービスを通して得られる体験」です。実店舗ではオフラインとオンラインを上手く繋げる仕組みや、品質の高い商品やサービスに加えて、空間の居心地の良さや店員のホスピタリティなど、店舗ならではの「体験」価値提供が大事になります。

これらを実現するために、UXデザインではAIによる行動データの蓄積や分析を取り入れつつ、人間の感覚を取り入れ柔軟にアップデートしていく仕組みや体制を取り入れることが大切です。

実店舗ならではの「価値」はどういったところにあるのか、AIを活用しながら明らかにしていき、他では得られない「体験」を売る商売を考えていく必要があるのです。

ライター
danbo
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