今注目のUXデザインとは?
事例&UX向上の6ステップを解説!

近年、UXデザインの有用性が声高に叫ばれています。

しかし、具体的に何をデザインするのがUXデザインなのか定義が曖昧で抽象的なため、何をどうすればよいのかよく分からないという人も多いようです。

そこで、この記事ではUXデザインとはそもそも何なのか、具体的な事例を用いて分かりやすく解説、UXデザイン作成のプロセスについても説明します。


UXデザインとは?身近な事例で分かりやすく解説

UX(ユーエックス)とは、User Experience(ユーザーエクスペリエンス)の略で、日本語に訳すと「ユーザー体験」です。したがってUXデザインとは「ユーザー体験をデザインすること」となり、言葉面だけでは広い意味を持つため、分かりにくい印象を持ちます。

しかし、UXデザインは身近な事例を見ると、ぐっと分かりやすくなります。

たとえば、スターバックスはカフェチェーンの営業スタイルをとっていますが、UXデザインは「The third place」であるとCEOのハワード・シュルツ氏が明言しています。スタバは顧客に対し家庭とも職場とも違う心地よい第三の居場所を提供することで、コーヒーやフラペチーノの売上を伸ばしているのです。

ネットの世界でUXデザインを当てはめると、顧客に楽しい、面白い体験をしてもらうために「顧客満足度の高いサイトやアプリを設計する」ことを指します。

モノからコトへ人々の消費志向が変化した今、いかに楽しく面白いユーザー体験を創出できるかが、サイトやアプリの生命線となり、デザインも時代に合わせた変化が求められています。


優れたUXデザイン4つの具体的事例

具体的にUXデザインが優れていることで有名なサービスやアプリを4つ紹介します。

◇UXデザインが優れている具体的事例1・Netflix

2020年のアカデミー賞はNetflix作品が合計24件のノミネーションを受け、配給会社最多となり映画界に革新をもたらしたことを証明しました。

Netflixは2つの点でUXデザインに優れています。1つめは、これまで映画館での鑑賞がメインだった映画作品を、家庭に居ながらにして鑑賞できるようにした点です。

映画といえば、映画館の大型スクリーンで鑑賞したいと観客に思わせる、迫力あるシーンを持つ映画がメインでした。そのため、たとえ良い脚本であっても興行的に収益が見込めない作品は、製作ができない点が問題でした。

しかし、家庭に直接映画が配信されるNetflixでは、たとえば「アイリッシュマン」や「Roma/ローマ」のような、ハリウッドのどの製作会社からも企画を断られた作品も製作されています。

顧客はアカデミー賞にノミネートされる程の良質な映画作品を、鑑賞体験できます。これが、UXデザインとしてNetflixの優れた点の2つめです。

◇ UXデザインが優れている具体的事例2・mercari

mercariは、これまで地域ごとに行われていたフリーマーケットをアプリ上で行えるようにしたことで、新しいUXを顧客にもたらすことに成功しています。

また、誰でもフリマを気軽にできるようになったことで、これまで捨てていた物に「mercariで売る」選択肢を増やしたことはもちろん、購入を検討する際に「飽きたらmercariで売ればいいか」、「これ、mercariで売れるかな?」という新思考のUXも顧客に与えています。

◇UXデザインが優れている具体的事例3・Coke ON

コカ・コーラが提供している「Coke ON」は、ドリンクを購入するとスタンプが1個もらえるスマホ用アプリです。SuicaやLINE Pay決済でもスタンプがもらえ、スタンプが15個たまるとドリンク1個と交換できます。

顧客はアプリを通じてドリンクを購入することで、お得で楽しい体験ができ、コカ・コーラにも良いイメージを持ちます。

コカ・コーラはアプリを開発することで、UXデザインを設計することができ、ドリンクの売上を拡大し、自社のブランディングにも成功しています。

◇UXデザインが優れている具体的事例4・LINE

LINEが登場するまでのスマホを使ったコミュニケーションといえば、メールが主流でした。メールは送信先ごとではなく受信ボックスと送信ボックスに分かれ、1対1のコミュニケーションで絵文字だけが使用できました。

LINEはチャット形式で送信先との会話が時系列で把握できるだけではなく、スタンプを送ることができます。

また、グループチャットすることで、複数人でもオンライン上でリアルに近い形での会話が可能になり、新しいUXを顧客にもたらしています。


UXデザインのための6ステップを理解する

優れたUXをデザインするためには、6つのステップを1つずつクリアしていく必要があります。

UXデザインのための6ステップ

  1. 目的の設定
  2. リサーチの実施
  3. ペルソナ・シナリオの設定
  4. カスタマージャーニーマップの作成
  5. プロトタイプの作成
  6. ユーザビリティテスト

詳しく順に説明します。

◇UXデザインのためのステップ1 目的の設定

UXデザインするためにはまず、目的を設定する必要があります。目的とは最終的に「顧客にどんな感想を持ってもらいたいか」ということです。LINEを例にすると、「顧客にリアルタイムで会話をするようにスマホを使ってもらいたい」となります。

目的の設定には具体的な新規KPIと最終のKGIが必要です。KPIはKey Performance Indicator(キー・パフォーマンス・インディケーター)の略で、日本語では重要経営指標と訳されます。LINEを例にとると月間新規登録者数や検索エンジンからのPV数のことです。

KGIはKey Goal Indicator(キー・ゴール・インディケーター)の略称で、重要目標達成指標となり具体的には年次売上などがあたります。

◇UXデザインのためのステップ2 リサーチの実施

目的が決まったら、ユーザーのリサーチを行います。ユーザーリサーチにはインタビュー調査やエスノグラフィー調査がよく用いられます。

◇UXデザインのためのステップ3 ペルソナ・シナリオの設定

ユーザーリサーチをもとに、ペルソナを設定します。ペルソナとはターゲットとなるユーザーを具体的に細かく描き出すことです。ユーザーの暮らしぶりを家族構成や年齢、趣味、趣向などもふくめ、明確に描き出します。

ペルソナが出来上がったら、サービスやアプリを利用する際にとる行動をシナリオとして細かく想定するのが、ペルソナ・シナリオです。

◇UXデザインのためのステップ4 カスタマージャーニーマップの作成

ペルソナ・シナリオに基づいて、カスタマージャーニーマップを作成します。カスタマージャーニーとは、ユーザーが体験するサービスを可視化したもので、これをマップにしたものがカスタマージャーニーマップです。

◇UXデザインのためのステップ5 プロダクト

カスタマージャーニーマップをたたき台として、プロダクトしていきますが、おすすめしたいのがプロトタイプ(原型、試作品)の作成です。プロトタイプに改良を加えながら、完成を目指しましょう。

◇UXデザインのためのステップ6 ユーザビリティテスト

プロダクトが完成したら、ユーザビリティテストを受けましょう。ユーザビリティテストを繰り返し修正を行い、最終的に高評価を得てUXデザインが完成します。


UXデザインを実践しよう

最近注目を集めているUXデザインですが、言葉だけが一人歩きしていつの間にか目先の数字にばかり目を奪われがちです。

もっとも大切なことは顧客の満足いく体験だと、忘れずにプロジェクトを進めたいものですね。

ライター
ひいづる堂
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