課題は「人材の雇用」
米国調査に見るインハウスのトレンド

日本でじわじわと広がりつつある、クリエイティブ領域のインハウス化。アメリカでもその流れは一大トレンドとなっているようです。

デジタルマーケティングの戦略情報メディアである米DIGIDAYは、214のブランドマーケターにインハウスについての調査を実施。数多くのブランドがインハウス化を進めていることが明らかになりました

同調査では、5つのリサーチ結果からインハウスの傾向を読み解いています。

(1)インハウス化の最大のベネフィットとは?

この質問に対する最も多かった答えは「支配権の増加」(38%)。次いで「スピードアップ」(21%)、「ブランドポジションの向上」(18%)となっています。

支配権と聞くとピンと来ない方も多いかと思いますが、これは予算のコントロールのことを指しているようです。

つまり、ブランド担当者の多くが、外注先に予算をコントロールされていて、その内訳や妥当性が不透明だと感じているということ。また、スピードも内製化したほうが高まると考えているようです。

(2)2019年にインハウス化したい機能は?

1位は「プログマティック広告購入(ディスプレイ、ビデオ)」(37%)ですが、僅差で「クリエイティブ戦略」「バナー広告などのマーケティング資産の制作」「SEO最適化」「検索連動型広告」「SNS」「メディア戦略」「紙媒体やテレビの広告購入」など多岐にわたります。

ちなみに米DIGIDAYが主催したサミットでは、バイエル社がプログマティック広告購入をインハウス化したところ、年間約1億円もの節約につながったと発表していたそうです。

(3)インハウス化の後も、パートナーに外注していることは?

半数以上が外注を継続していると答えたのは、「クリエイティブ制作」(61%)と「PR」(52%)。

この結果から、クリエイティブ領域も完全にインハウス化するのではなく、外注するものと内製化するものを精査しながら、予算のコントロールやスピード・質の向上を目指していることが窺えます。

(4)インハウス化を進める上で、どんな企業にサポートしてもらっている?

この質問はつまり、インハウス化をスムーズに進めるために、どんな会社にサポートしてもらっているのかということ。これに対する回答は、「どこにも予算を回していない」(71%)が大多数。インハウス化するための予算はまだ捻出されにくいのが実情のよう。

ただ、一部のブランドでは業界のスペシャリストやインハウスに特化したコンサルタント、連携したことのあるエージェンシーを雇ってインハウス化を加速させる動きも起きているそうです。

(5)インハウス化の課題は?

半数以上に当てはまったのが「人材の雇用」(62%)。「必要な技術を構築するのにかかる時間」(47%)、「必要な技術を構築するのにかかる費用」(34%)も高い数値を示しました。

やはり、最大の課題は人材。インハウス化を実現するために優秀な人材を見つけることに苦戦しているようです。そして、優秀な人材を採用できたら、次はチーム体制や技術を整えるための時間や費用がかかります。こうした障壁が解決できれば、インハウス化はさらに加速し、導入する企業も増えてきそうですね。

以上、米DIGIDAYの調査結果をご紹介しました。最後に、今回のレポートから見えてきたインハウス化のトレンドを以下にまとめます。

  • 企業が考えるインハウス化のメリットは「予算のコントロール」や「スピードアップ」
  • インハウス化したい機能は「プログマティック広告購入」「クリエイティブ戦略」SEO最適化」「SNS」など多岐にわたる
  • クリエイティブ制作は、インハウスと外注を両立させる傾向にある
  • インハウス化に向けて大々的に予算を費やす企業はまだ少ない
  • インハウス化に向けた最大の課題は「人材の採用」

参照元:Digiday Research: What marketers are moving in-house in 5 charts

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