仕事で「プロジェクトマネジメント」という言葉を耳にすることがある方は多いと思います。プロジェクトマネジメントという仕事がどういったものなのか、またシステム開発におけるプロジェクトマネジメントは他のプロジェクトマネジメントとどう違うのでしょうか。
この記事では、システム開発のプロジェクトマネジメントと他のプロジェクトマネジメントを比較しながら、違いや押さえておきたいポイント、特性について紹介します。
プロジェクトマネジメントとは？
プロジェクトマネジメントという仕事は、簡単に言えば「プロジェクトの効率的な進行管理をコントロールする」ことです。
- プロジェクト立ち上げ
- プロジェクトの流れを逆算し、スケジュールや計画を立てる
- 各担当者へ企画・発案の依頼を行い、取り纏める
- 企画と開発の進行状況をチェックし、コントロールする
- プロジェクト終了前の確認とクライアントへの納品
上記5点のポイントは、プロジェクトマネジメントの「QCD＝Quality（品質）・Cost（コスト）・Delivery（納期）の管理のために重要になります。特にQ（クオリティ）の部分に対する意識が欠かせません。なぜなら、品質を向上させることで顧客であるクライアントやその先にいる利用者の満足度を上げられるからです。
プロジェクトマネジメントの必要性
QCDを管理するためにプロジェクトマネジメントが必要とご紹介しましたが、それ以外にもプロジェクトマネジメントが必要な理由があります。それは、プロジェクトを効率的にコントロールし、納期内に成果物を納品する必要があるからです。これをマネジメントできてこそ、QCDを管理することができるのです。
プロジェクトマネジメントは、名前の通り「プロジェクト」を「マネジメント（管理）」する役割を担います。プロジェクトを成功させるためには、企画を発案・提案してスケジュールを立てて進めていかなければなりません。
納期までにクライアントへ品質の高いものを成果物として納品するというプロジェクトの目標達成のために、誰かがプロジェクトの中心となり業務を進めていく必要があります。そこで求められるのがプロジェクトマネジメントです。
プロジェクトメンバーの確保やメンバーの円滑な業務遂行、さらには効率的な仕事の割り振りと費用計上や交渉など、プロジェクトマネジメントはプロジェクトに対してとても重要な役割を担います。
プロジェクトマネジメントの効果は？
プロジェクトマネジメントを行うことで、プロジェクトにはいくつかの効果が期待できます。プロジェクトマネジメントを行う側からの視点でその効果をご紹介します。
- プロジェクトメンバーとの共通認識に一貫性が出る
- 問題点の早期発見と迅速な対応が可能になる
- 自身のマネジメント力と経験値の向上
まず、プロジェクトメンバーとの共通認識に一貫性が出るという効果は、マネジメントを行うことで必然的に生まれます。プロジェクトはチームで行うことがほとんどですので、お互いの認識にズレがあっては目標達成はできません。プロジェクトマネジメントを行うことで、チームメンバーとの情報認識が統一され、一貫性が出てきます。
次に、問題点の早期発見と迅速な対応が可能になるという効果です。プロジェクトマネジメントを行ってメンバー間の共通認識に一貫性があることで、緊急な事態であっても何に問題があり、どうすれば解決するのかという迅速な対応が可能になります。大きなミスに繋がる可能性も低くなり、円滑なチームワークが生まれプロジェクト自体も納期に遅れることなく進めることができます。
最後に自身のマネジメント力と経験値の向上という効果は、プロジェクトの中心となりチームをまとめながら、クライアントと打合せを重ねたり意見をチームメンバーへ共有したりとやることが多いために生まれます。その経験はいずれ自身のスキルとなり、今後に生かしていける貴重な財産となります。
システム開発のプロジェクトマネジメントとは？
システム開発のプロジェクトマネジメントには他とは違う特性があります。その違いや特性、さらには押さえておきたいポイント説明していきます。
システム開発のプロジェクトマネジメントの特性
システム開発のプロジェクトマネジメントの特性は、IT技術が必要とされる点です。プロジェクトの立ち上げの時点で、システムエンジニアやプログラマーなど専門技術を持ったメンバーを集める必要があります。
スケジュールを立てる際にも、どのタイミングでプログラミングの動作確認を行うのか、バグが発生した時のデバック作業や完成したシステム毎のテスト作業と納品前の成果物の最終テスト作業など、専門技術的な作業が多く発生するのが特徴です。
企画の進行確認の段階でも、テスト専用のPCや専門機器を用意して専門の担当者を配置する必要があったり、シュミレーションを行ったりとテクニカルな部分をマネジメントするのが、システム開発のプロジェクトマネジメントの特性です。
他のプロジェクトマネジメントと何が違うのか
他のプロジェクトマネジメントとの大きな違いは、人面的側面と技術的側面の2つを兼ね備えている点です。
- 人的側面（人員召集・割り振り等の人間関係管理）
- 技術的側面（プロジェクトの計画・製品システムの管理）
人的側面の点ではプロジェクトチーム管理などの人に対するマネジメントを行います。システム開発のプロジェクトマネジメントの特性として技術的側面が必要なので、その技術を持った専門チームを集めてプロジェクトを立ち上げなければなりません。
全般的なプロジェクトマネジメントでも、各専門分野のチームメンバーを集める必要がありますが、システム開発の分野ではシステムの全体像をプログラムで作り、専門言語で構築していくという高度な技術を要します。そのため、必要とするチームメンバーの器量や技術力を見定める必要があるのです。
次に技術的側面の点では、システム開発の知識とスキルを管理する必要があります。成果物がシステム自体であったり、ソフトウェアであったりする場合にはプロジェクトマネジメントとして、納品後にバグが起こらないようにシステム構築にはとても慎重になります。自身がプロジェクトマネジメントを行うとなれば、導入フェーズの段階を考えたりシステムのテストを多方面から試してみたりと、考えて実施してを何度も繰り返すことが欠かせません。
システム開発のプロジェクトマネジメントと全般的なプロジェクトマネジメントで押さえておきたいポイント
システム開発のプロジェクトマネジメントと全般的なプロジェクトマネジメント、それぞれが押さえておきたいポイントがいくつかあります。このポイントを逃さないようにすれば、プロジェクトを遂行するにあたって円滑な進行管理ができるはずです。
全般的なプロジェクトマネジメントとして押さえておきたいポイントは、2つあります。
- 知識を武器とするための知的武装
- 対人関係を築くための人間力
数多くのプロジェクトをこなすことで、経験という武器を身につけられ、自分が対応できるスキルや状況も増えていきます。また、どんな仕事でも知識や経験は武器になりますが、チームを組んでプロジェクトを遂行する場合おいては、知識と経験だけではプロジェクトを成功に導くことはできません。
チームメンバー以外にも、クライアントや外部委託している企業の担当者や上司など複数の人と連携をして実行することが大事です。そこに大きな影響力をもたらすのが人間力です。
では、システム開発のプロジェクトマネジメントとして押さえておくべきポイントはどういったことでしょうか。それは「リスクマネジメント」ができるかどうかというポイントです。
例えば下記のような点をリスクマネジメントとして、プロジェクトを遂行する時に考えられているかどうかが重要になります。
- ユーザーとエンドユーザーに生じる問題
- プロジェクトチーム内で多発するような小さなミスへのリスクヘッジとリスクマネジメント
- 会社へのリスクマネジメント
以上の3つのポイントを、システム開発のプロジェクトマネジメントとして押さえて置く必要があります。
全般的なプロジェクトマネジメントにおいても、リスクマネジメントは大切なポイントです。しかし、システム開発では小さなミスやバグでさえも大きな問題と捉えられるので特に重要になります。なぜならば、その小さなミスはユーザーやエンドユーザーにとっては大きな問題に繋がるからです。
システム開発という専門性の高いプロジェクトでは、成果物として完璧なものを求められます。バグもなくシステム障害も起こりにくく、なおかつ使いやすいかどうかなど必要とするテクニカルな技術が細部にまで求められます。
プロジェクトを進行している間に、小さなミスやバグを見つけ修正し対応することや、万が一システム障害が起こった際に、どんな影響が会社に起こりどんな対応ができるのか常にリスクマネジメントとリスクヘッジを考えておくことが重要でしょう。
それぞれのプロジェクトマネジメントの特性を理解し、活かしていこう
プロジェクトマネジメントは、プロジェクトを成功させるために欠かせません。チームを動かし、各担当者とコミュニケーションを図りながらプロジェクトを遂行していくということは、全般的なプロジェクトマネジメントもシステム開発のプロジェクトマネジメントも共通して同じです。
しかし、それぞれのプロジェクトマネジメントの特性やポイントを押さえておくことでなにを考えておくべきなのか、なにを必要とするのかなど冷静に物事や状況の判断ができます。
プロジェクトごとに必要な知識や人材は違いますので、それぞれのプロジェクトマネジメントの特性を理解し、活かしてみてください。
