ビジネスにおける意思決定のスピードアップが求められる中、会議のクオリティを上げる必要性を感じている方は多いかと思います。
会議前の準備やチームメンバーとのスムーズな意思疎通が重要な役割を担いますが、昨今は対面会議だけでなく、Web上での会議も増えていますよね。会議のあり方が多様になったことからも、目の前の相手やプロジェクトにしっかりと意識を向けて会議のやり方を改善する必要が出てきています。
そこで今回は、チームリーダーやディレクターの方に向けて「会議の効率化を実現するために取り入れたい改善術」をテーマに、会議の準備やメンバーへの働きかけについてご紹介します。
後半ではWeb会議におけるトピックスについても触れていますので、ぜひご覧ください。
目的共有を徹底する
まず、対面会議でもWeb会議でも共通することとして「目的の共有」が大切です。「定例の会議だから」「自分もメンバーだから」といった漠然とした理由で参加しているメンバーはいませんか?会議をすること自体が前提になっている場合、メンバーの意識の奥底で「参加すること」が目的化してしまっている場合もあります。
会議には、情報共有目的のものもあれば、ブレスト目的、課題解決目的の場合もあるでしょう。そもそも何のために行う会議なのか、その時間の着地点はどこを目指すのか。一人ひとりがその会議の目的、ゴールイメージを明確にもつことが重要です。
チームリーダーとしては、プロジェクト設計の視点をつねにもち、「今はこの地点にいる」という現在地を見極める必要があります。そして会議の日付が決まると同時に、あるいは日付よりも先に、その会議を行う目的を言語化して共有しましょう。
また、参加者それぞれに立場が異なることも理解しておく必要があります。プロジェクトの目的や会議の目的を共有できても、実際の業務は一人ひとり異なりますよね。立場が違えば利益も違います。それをお互いに理解したうえで会議のことを考えると、視野を一段上げて、チームとして目指す方向を全員で向けるようになるのです。
会議資料を用意するのであれば、アジェンダやくり返し用いるページ、あるいはすべてのページに「この会議の目的」を書いておくのもおすすめです。話しが脱線したり、予定になかったものの重要そうな話題が展開されたりした場合でも、「今日の目的はこれだから、最低限ここまで考えよう」というように優先順位を立て直すことができます。
もちろん会議で登場する予定外の話題も、プロジェクト全体に影響を与える可能性があります。重要なのは、ライブ感を大事にしつつも目的を見失わないこと。もし重要な話題だと感じたら、その場ですべて舵を切ってしまうのではなく、その日の会議とどのような関わりがある事柄なのかをメモしておきましょう。
欠席メンバーがいた場合、会議内容の共有のためにも、こうした予定外の話題についてのメモは大変役立ちます。
計画を再評価する
2つめのポイントは、「計画を再評価する」ことです。業務の継続的な改善を促すには、PDCAサイクルをうまく回すことが重要です。PDCAサイクルとは「Plan(計画)→Do(実行)→Check(検証)→Action(次の行動へ)」というサイクルを効果的に回して成果を向上させる仕事の進め方を指します。会議のクオリティを上げるためにも、PDCAサイクルを活用することは有効な手法です。
しかし、このサイクルの中でとくに重要なものを意識している方はどれくらいいるでしょうか。
この記事では、「Plan(計画)」に焦点を当てて考えます。なぜなら、この段階でほかのステップの質を大きく左右しかねないからです。逆に言うと、計画が適切であればPDCAサイクル全体の質も向上させられるでしょう。この点を念頭に、会議においてチームリーダーやディレクターがつかんでおきたいポイントをご紹介します。
・PDCAは継続的なものと理解する
前提として、PDCAサイクルは1年に1回、プロジェクトの中で1回というように完結するものではありません。半年、3か月、1か月、1週間といった細かい短期単位で回していくことで、サイクルごとの改善レベルを上げていけるでしょう。
・Actionから今回の計画を評価する
会議目的が「Check(検証)」の結果から次の「Action(次の行動)」を導き出すことであれば、同時に今回の計画が適切であったかどうかも考えましょう。そもそもゴールが定量化されていなかったり、期日があいまいだったり、現実的でなかったりすると、導き出されたActionは本当に次のPDCAサイクルにとって必要なものなのかどうか怪しくなります。
プロジェクトに対して、自分や参加メンバーはどのような計画を立て、どれくらいの期間でその検証をすべきなのか。Do~Actionの段階をこなしているときであっても、部門や担当業務を鑑みながらつねに計画を再評価するようにしましょう。
WEB会議のPDCAポイント
昨今では、対面会議よりもWeb会議の頻度が高くなっている方も多いかと思います。しかし、Web会議ツールを導入しているものの、会議を効果的に進められているのかどうか気になりませんか?
そこでここからは、少しでも会議の効率化・改善を図れるように、Web会議に必要な工夫やフォローの例をご紹介します。
・リマインドと事前共有
対面式とちがい、「じゃあ後ほど会議でね」という声かけがしにくいのがWeb会議です。電話やテキストツールで時間と内容を確認しておくことはできますが、全員に対して必ずできるとは限りません。
そこで重要なのが、会議予定のリマインドと事前共有です。チームの日頃のコミュニケーション頻度にもよりますが、2日~当日数時間前くらいまでに、メールなどでリマインドを送るとよいでしょう。会議のルームURLはもちろん、開始時間・終了時刻、会議の目的、使用する資料等の送付は必須です。
資料については、事前に目を通してほしいのか、あるいは会議中に参照してもらう予定なのかなど、用途を明示しておくと親切です。メンバーの中には、プリントアウトして参照したい人や、画面共有機能ではなく自分のパソコンにファイルを表示して確認するという人もいるかもしれません。リマインドの目的も理解してもらえるよう、工夫してみましょう。
事前共有の内容次第では、リマインドが早いほうがいい場合もあります。参加メンバーに会議直前の負担を増やさないよう、気をつけてみてください。
・共同ホストとの連携
Web会議では、「1人から全体への問いかけ」の連続になりがちです。さらに集中力もなかなか維持しにくいということを頭において、協力して会議を活性化させるメンバーを探しておきましょう。
多くのWeb会議ツールには、ホスト権限機能があります。最低でも1人は共同ホストを設定して、資料の共有や少人数での話し合いなど、スムーズに進行できるように補助を依頼するのをおすすめします。
画面越しのコミュニケーションになる分、誰かの発言を聞き逃したり、メンバーの考えを読み切れずに進行してしまったりする可能性もあります。視野を広くもつためにも、共同ホストの存在は重要です。
・書きこみを有効活用
Web会議の便利なところは、URLやメンバーの発言をその場で共有できるところです。使用している会議ツールにホワイトボード機能があるならば、ぜひ使ってみてください。言葉で聞いて理解したつもりでも、イラストや文字で可視化されることでちがって見えます。議事録の助けにもなりますので、活用しない手はありません。
Googleドキュメントなど、複数人で同時編集できるツールを活用するのもいいですね。色とりどりの付箋をつかって自由に書き込み、情報整理ができるMURALのようなツールもあります。
また、チャット機能も便利です。「質問したいことがあるけれど、会議の進行を妨げたくない…」。こんなふうに気を遣って、発言の機会を逸してしまう人がいるともったいないですよね。
「質問はチャット欄から送る」「補足説明したい人はチャット欄を使う」といったルールを設けて、最初に確認しておくと効率アップにつながるでしょう。
・わかったつもりにならない、させない
効率的に会議を進行し、業務のPDCAをうまくまわすのは非常に重要です。しかし、Web会議の場合はさらに「わかったつもりにならない、させない」を心がける必要があります。
ネット環境の不具合で会話が一部聞こえなかったり、他の人と言葉が重ならないように配慮したりすると、質問や確認をし損ねることも起こり得ます。
目の前に相手がいないからこそ、不要な遠慮はかえって非効率を招いてしまうのです。業務の成果を向上させるためにも、疑問に思ったことや必要だと感じた提案は臆さずに発していきましょう。チームリーダーやファシリテーターは、この点をとくに留意してメンバーの様子を確認する必要があります。
気になることがあれば、会議中でも会議終了後でもよいので、適切なタイミングを考えて早めに声をかけましょう。
会議の質が業務効率化につながる
対面の会議でも、Web会議でも、重要な点は共通しています。それは、一人ひとりが当事者意識をもって臨み、業務やプロジェクトを達成する方向に向かうべく、日々のPDCAサイクルをまわすことです。
当事者意識をもつには、チームリーダーふくめ双方向の情報共有や、ひとつひとつの会議の目的確認、お互いの意義を知るといったプロセスが重要です。そして日々のPDCAサイクルをまわすには、「そもそも計画が適切であったのか」という視点もふくめた、短期間での評価姿勢が求められます。
「疑問はすぐに解消する」こと、またリーダーは「声を上げやすい空気、仕組みづくりを継続する」といった工夫が必要になるでしょう。目の前のチーム、相手に意識を向けながらプロジェクトを成功に導けるよう、この記事の内容が会議の改善にお役に立てば幸いです。