ニュースなどでよく見かけるIoTという言葉。今後ますます身近な存在になることは理解できていても、どう説明したらよいのか困ってしまう人も多いことでしょう。
本記事では、IoTの読み方や日本語訳、基本概念についてわかりやすく解説しているほか、IoTを活用している事例についても紹介。従来のモノの概念を変え、さまざまなサービスやソリューションの提供を可能にするIoTについて理解を深めましょう。
IoT(Internet of Things)とは?
IoTとはInternet of Things(インターネット・オブ・シングズ)を略した用語で、アイオーティーと読みます。「インターネットとつながる様々なモノ」を意味しており、日本語では「モノのインターネット」と訳されています。
インターネットにつながる代表的なモノといえば、かつてはパソコンでした。パソコンを使ったインターネットの利用方法は、サイトの閲覧やメールの送受信です。
今やパソコンに限らず、衣服・家電・建物といった多種多様なモノが、デバイスとしてインターネットにつながる時代です。インターネットの利用は、サイトの閲覧やメールの送受信以外にも大きく広がることでしょう。
またIoTデバイスの特徴は、データ収集を可能にするセンサーがついていることです。五感で感知できるデータだけでなく、感知できない紫外線や電波などのデータも収集できます。
急速に普及しているIoTの現状について
総務省が発行した平成30年版 情報通信白書によると、世界のIoTデバイス数は2017年には約270億に到達、2020年には約400億を超えると予測されています。
インターネット技術や各種センサー・テクノロジーの進化は、IoTの急速な普及をもたらしました。
そのなかでもスマートフォンは、照度センサー付きカメラや音量センサー付きマイク、位置情報を把握できる磁気・電波センサーなど様々なセンサーが搭載された「持ち歩くIoT」。
スマホに代表される通信市場はすでに成熟しているため、「自動車・輸送機器」、「医療」、「工場、インフラ、物流などの産業用途」が、これから高成長を見込める分野です。
IoT化がさらに進めば、コネクテッドカー、デジタルヘルスケア、スマート工場やスマートシティなどが、一層普及していくことでしょう。
モノの概念が変わる?家電や建物へのIoT活用事例
様々なモノがインターネットにつながる「IoT化」について、家電や建物での活用事例をいくつか紹介します。
象印マホービン株式会社の「iポット」は、電源を入れたり給油をするといった動作状況を、離れて暮らす家族のスマホなどに通知できる「情報発信型IoT」です。
一方、「情報受信型IoT」は、パナソニック株式会社のロボット掃除機「ルーロ」のように、外出先からスマホで動作させることが可能です。
扉のスマートロックや建物の電力制御は、建物のIoT化事例としてあげられます。
遠隔操作で、スマホなどから扉の鍵を施錠したり解錠したりできるスマートロックなら、特定の部屋に対して利用者・時間を限定した利用権を設定可能に。
建物をIoT化して電力制御を導入すれば、太陽光発電による発電量や電力消費量を、遠隔地でもスマホなどでモニターできるようになります。さらに電力価格の推移に応じて、蓄電池へ蓄電したり、蓄電池から売電したりといった具合に、効率よく電力を利用できるのです。
衣服がウェアラブルデバイスに!スマートテキスタイルの登場
ウェアラブルデバイスとは「身につけるIoT」のことで、光センサーを利用して心拍数を計測できるApple Watchは、わかりやすい活用事例でしょう。
では、ウェアラブルデバイスとしてインターネットにつながる「衣服」を想像できますか?
生体データやモーションデータの計測ができるセンサーがついた、スマートテキスタイルとよばれる繊維開発が進んでおり、衣服もインターネットとつながる時代が到来しているのです。
衣服がウェアラブルデバイスだと電源が必要になるため、太陽光発電する繊維の開発も進行中。
センサーといえば、本来は固い機器のイメージでしたが、柔らかくストレッチ性の高いセンサーが登場したことで、衣服のIoT化が実現しました。
このスマートテキスタイル開発の目的は、高齢者の健康管理、建設作業員やドライバー等の現場でのストレス状況のや疲労度の見守り、アスリートの体調管理やモーションの分析などがあげられます。
「服を着る」ことは普段からの習慣で着用ストレスが少ないため、長時間にわたって精度の高いデータを集めやすいのも特徴です。
インターネットにつながる衣服の着用が、毎日の健康管理のために当たり前になる日が来るのかもしれません。
幅広い分野で進むIoT化に注目してみよう
今後もますます身近な存在になることが予想されるIoTについて、理解は深まりましたでしょうか?
本記事では、IoTの基本概念について解説し、IoTデバイスが世界中でどれくらい普及しているのか、また今後高成長が見込める注目の分野やIoT活用事例について紹介をしました。
IoTというと難しく聞こえますが、すでに「持ち歩くIoT」のスマホが広く浸透しているために、様々なモノがスマホ化すると考えるとイメージしやすいかもしれません。
インターネットやセンサー技術の進歩によって登場したIoT。どんなモノがインターネットにつながるのか、今後もモノのIoT化に注目していきましょう。