失敗しない撮影案件の進め方と抑えるべきポイント

クリエイティブ職に携わる人は、制作の一行程としてスチル撮影やムービー撮影に関わるケースも多いと思います。

クリエイティブを専門としない一般企業においても、自社のオウンドメディアや、商品・サービスのプロモーションで撮影が必要になるケースは増えています。

中にはこれまでWebデザイン一筋で撮影に携わったことはなかったけれど、事業会社に転職してから撮影のアートディレクションや制作進行を任されるようになった、というケースもあるようです。

そこで今回は、撮影案件を失敗せずに進めるためのポイントを書いてみようと思います。

確認と事前準備をヌケモレなく確実に!

まず、撮影することになったら何をすれば良いのか?

とにかく、撮影は確認事前準備が一番重要です。

何を確認して、何を準備すれば良いのか?

具体的には以下のポイントを明確にしていき、必要なものを準備しましょう。

何を撮影するのか?
大きく2つに分かれます。
(1)静止画(スチル)
(2)動画(ムービー)


素材の使用媒体は何なのか?
Webサイトに使うものなのか、広告、カタログなどに使うものなのか。

使用媒体によって、カメラマンのギャランティに変動があったり、二次利用費が発生する可能性があります。

また、媒体によって撮影する画質等にも影響があるので、最初に必ず確認することが必要です。

出演者は誰なのか?
<出演者が社員の方の場合>
勤務するときの服装はスーツ?ビジネスカジュアル?私服?

見せたいイメージによって、服装(衣装)が変わってくるので事前に確認しましょう。場合によってはこちらで衣装を用意することもありますし、出演者の方に準備してもらう必要もあるので早めに確定したいところです。

<モデルを使用する場合>
仮に企業サイトの場合でもモデルを使用するケースがあります。プロジェクトの責任者やチームメンバーと話し、共通認識を持つようにしましょう。

基本的にモデルは使用期間(契約期間)が設けられていることがほとんどなので、最初に期間を決めておく必要があります。それにより、もちろん費用も変わってきます。

また、企業によっては競合の縛りもあるのでここも要チェックです。

その他、オーディションは対面で行うのか、書類選考なのかも最初に詰めておきましょう。

キャスティング会社にお願いする前提での内容になりますが、上記の条件や、どんなイメージで見せたいかを事前に決めて、そのイメージを基にキャスティング会社と調整を行います。モデル事務所によっては、衣装合わせも稼働と見なされる場合があるので、事前に見積もってもらうことをオススメします。

どこで使用するのか?(Web篇)
Webサイトで使用する場合は、どんな素材が必要なのか、デザイン担当者やディレクターとカットイメージを全て洗い出しておきましょう。

また、ここはテキストが入るから右空け、左空け、ここは企業のロゴ入れたいから正面と斜めからなど、後からデザインする時に使いづらい素材にならないように事前に必ず確認することが重要です。

その上で、どういうシチュエーションで撮りたいのか、作り込んだ方がいいのか、自然体がいいのか、絵コンテなどで事前に共通イメージを持っておくと、後からメンバー間やクライアントとの認識の齟齬が生まれにくくなります。

香盤表のクオリティが超重要!

上記の確認である程度、撮影する内容が見えてくるので、必要なカット数も決まります。

撮影する内容が確定したら、必ず香盤表を作成しましょう。

香盤表とは?
撮影を行なう際に事前に作られたスケジュール表の一種。香盤表には、各シーンごとの登場人物や必要な衣装・小道具・消え物などが事細かく書かれていて撮影を円滑に行なうための重要な資料となります。


撮影を行う上で、超重要な香盤表。香盤表のクオリティが成功の可否を握っていると言っても過言ではありません。

とにかく確認、調整の繰り返しでクオリティを高めていくことが大切です。

各カットイメージによって、1カットあたりの撮影時間がある程度算出されます。

分からない場合は撮影現場経験者やカメラマンに確認しましょう。

時間の予測がついたら、香盤表の中にセッティング時間、撮影時間を細かく記載していきます。

撮影時間より、セッティングの方が時間が掛かることも多いので、きちんと事前確認を行い、大きなズレをなくしましょう。

セッティング、撮影時間、休憩、メイク時間、移動時間などの時間を入れていけば大体の撮影時間が算出されますので、集合時間やスタジオであれば予約すべき時間などが決められます。

集合時間は当日の役割によって異なる場合もあります。最初に出演者とスタッフ全員が集合する必要がない時は、各スタッフの入り時間を記載しましょう。
例:ヘアメイク10:30入りなど

また、出演者が社員の方などの場合は、時間制限が設けられていることが多いので、何時から何時までは誰が撮影可能かなど、事前に確認しておくことが必要です。

諸々調整を行い、ようやく香盤表が完成。メンバーとの合意が取れたら、ようやく撮影本番を迎えられるのです。

撮影案件は最初に撮影日や撮影期間が決まっていることが多いので、準備期間が少ないケースも往々にしてあります。それでも、焦る気持ちを押さえて一つずつ確実に確認していきましょう。

撮影当日は周囲への気配りを忘れずに

いよいよ撮影当日。

ディレクターや制作進行を任されている場合は、撮影メンバーが集合場所に来る前に、できるだけ一番最初に入ってカメラ機材の搬入を手伝ったり、各スタッフをメイクルームや衣装部屋などへ案内します。

早朝撮影の場合は飲み物や軽食なども用意できると良いですね。

本番が近づいてきたら、各所の確認を行います。ヘアメイク、衣装、カメラマンなど準備ができているか確認し、OKを出します。

香盤表どおりに進まないときこそ、慌てず臨機応変な対応を

出演者に入ってもらい、撮影開始!

衣装にゴミがついていないか? 服にシワがないか? 髪の毛のみだれがないか?

細かくチェックしましょう。

撮影が開始したら、写ってはいけないものや、次に撮影するものなどに気を配り、円滑に回るように動きます。

暑いときや寒いときは部屋の温度調整、飲み物の差し入れ、ホッカイロを準備するなども細かい点ですが重要なポイントです。

撮影時間が押してしまいそうな場合は、どこで調整できるかをディレクターやプロデューサーと相談しましょう。

香盤表どおりではなく、その場で臨機応変に撮影順を変えることも必要になるときがあります。ロケ場所の時間調整が必要な場合もあるので、できるだけ迅速に交渉を行いましょう。

想定外のことが起こり、焦りが出ると現場の雰囲気も悪くなりがちです。そんな時こそ落ち着いて対処しましょう。撮影をスムーズに行うことも大事ですが、一番はクオリティの高いものを撮影するという目的を忘れずに。

さいごに

撮影というのは、「本番1回きり」なもの。失敗は許されません。

だからこそ「確認と事前準備」が一番重要なのです。

とにかくできるだけ想定できることを洗い出し、

細かくシミュレーション!&密にコミュニケーション!

これに尽きます。

あとは場数を踏んでいけば、当日の臨機応変な対応も上手にできるようになるはず。皆様がクオリティの高い撮影を成功させるための参考になれば幸いです。

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