KPIという言葉を耳にしたことがありますか? KPIとは、重要業績指標のことです。もともとKPIは企業経営に由来する用語なので、クリエイターとして個人で活躍している人にとってはなじみが薄いかもしれません。近年では、行政でも進捗状況を管理するために各分野の政策群ごとにKPI設定をおこなっています。
KPIは巨大な組織を運営するために必要なもののように聞こえますが、実はクリエイターにとても役立つ指標です。今回はクリエイターがぜひ知っておきたいKPIの基本、KPI設定のコツやそのメリットについて解説します。
KPIは「プロセスとパフォーマンス」を計測するもの
KPIとはKey Performance Indicatorsの略語で、日本語では「重要業績指標」と呼ばれています。目標を達成するために、先行して必然的に満たされるべき重要な指標のことです。
現在では経営管理の用語として知られていますが、その起源は、20世紀初頭の投資利益率を展開したデュポン社のチャート・システムにさかのぼります。KPIという用語は多義的で時代とともに変遷していますが、最近の潮流は目標達成までのプロセス・パフォーマンスを計る、というもの。
つまりKPIは、目標を達成するためのプロセス・パフォーマンスが着実に実行されているかどうかを計測するために使われている指標なのです。
KPI設定方法
ここからは、KPIを設定する方法について見ていきましょう。
KPIを設定する前に、「重要目標変数」と呼ばれる具体的な目標、KGI(Key Goal Indicators)を設定する必要があります。KGIとは、たとえば1年で売上や成約件数を20%増やす、あるいは平均客単価を◯円にするといった具体的な目標設定のことです。KGIを達成するためにプロセス・パフォーマンスを計るのがKPIという関係上、KGIに直結するKPIを設定しなくてはなりません。
通常、KPIを設定したら一定の期間を定めて計測します。期間の設定は月次の場合がほとんどですが、スピード感のある企業では週次、日次で計測することも。この設定した期間ごとにプロセスやパフォーマンスを評価し、成績が芳しくない場合は改善するための対策をおこなうという流れです。
では、KPI設定の具体例を紹介します。クリエイターとしてソーシャルメディアを運営しているとします。ポートフォリオを閲覧してもらうために、3カ月間でトラフィックを3倍に増やすというKGIを設定したら、どんなKPIを設定するとよいでしょうか?
この場合、インスタグラムやTwitterのフォロワー数を◯人増やす、Facebookページの「いいね!」を◯人増やす、Twitterのフォロワーと交流するなどが挙げられます。
運営している名刺やロゴなどデザイン系のネットショップで、3カ月以内に単月の売り上げを100万円にしたいなら、どんなKPIが考えられるでしょうか?広告予算を◯円計上、商品を◯点追加、新規顧客獲得数◯人、新規受注獲得数◯件などがKPI設定の例です。
このようにKPIを設定する際は、数値として実際に計測できるものを選びます。
KPI設定のコツ
ここでは、KPIを設定する際のコツについて解説をします。
KPIの設定では、ともするとアレもコレもと指標を多く作り出してしまい、収拾がつかなくなりがちです。逆にKPIの設定を難しく解釈してしまい、ひとつも設定できないとなると意味がありません。
目標であるKGIに直結する指標を埋もれさせないためにも、指標を絞りこみ少なく設定するといいでしょう。KPIにはモチベーションを高め、人の心や気持ちを動かす力があります。そのためどうやったら人の気持ちを動かせるか、を考えながらKPIを設定します。
モチベーションを低下させることなくチームや組織が努力しやすいように、実現の可能性があるKPIを設定することが大切です。
クリエイターがKPIを設定するメリット
クリエイターとしてひとりだちするためには、クリエイティブスキルを高めるのはもちろんのこと、営業力を磨く必要があります。営業力を高めるポイントは、まずはクリエイターとしての知名度をあげること。そこで存在を知ってもらうための戦略を立てる際にKPIが役立ちます。
オンライン上ではnoteなど、クリエイターが表現活動をするためのプラットフォームがあり、使わない手はありません。例えばnoteには記事の販売機能があります。クリエイターとして得意としていること、好きな分野などをnoteの記事としてまとめて販売することが可能です。
3カ月間で◯部販売する、というKGIを設定。◯日でnoteを制作する、Twitterやインスタグラムで記事の内容を◯日連続で宣伝する、などKPIを設定しましょう。すでに成功しているクリエイターの体験談を参考に目標を設定(数値化)するのがコツです。
営業をかけて断られることを恐れがちですが、KPIを使うと設定した数値を達成するために黙々と努力できるので試してみてください。
KPIを使って、クリエイターとしての可能性を広げよう
クリエイターのなかには、営業力を身につけるのは簡単ではない、と思っている人が多いかもしれません。KPIを設定すると、億劫になりがちな営業に取り組みやすくなります。営業用のポートフォリオを制作する場合も、KPIで自分の気持ちを奮い起こして、新しい作品を設定した期日までに仕上げることが可能です。
noteで、自分の好きなことや得意なことを発信する場合も、いつまでに発信するといった目標を設定できます。「いつかはやろう…」から「いつまでにやる!」に変わるKPIをぜひ取り入れてみましょう。