クリエイターのビジネスマナー
押さえておきたい基本11選

クリエイターのキャリアが多様化し、事業会社や大手企業でのキャリアも増えつつある昨今。将来的にはフリーランスとして独立を目指すクリエイターも、キャリアのスタートは企業への就職というケースがほとんどでしょう。また、ずっとフリーランスとして活躍されてきた方が、事業会社や大手企業に転職するパターンも増えつつあります。

クリエイターは営業職や総合職などに比べれば、比較的ビジネスマナーにはゆるい職種です。

しかし、1対1でクライアントと接する機会は少なくとも、打ち合わせやプレゼンテーションなどに同行する機会は多いもの。近年ではクライアントと直接電話やメール、チャットでツール等でやり取りすることも増えています。

そこで、あらためてクリエイターこそ身につけておくべき敬称や電話でのビジネスマナー11個を厳選して紹介します。

クリエイターにとってのビジネスマナーとは?

クリエイターという職種、とくにフリーランスで独立しているクリエイターは、基本的には服装も髪型も自由です。なかには金髪の人やTシャツ短パンのまま仕事をしている人もいて、職場にスケボーやサーフボードを持ち込んだり、ペットを連れて来たりと、一般的なビジネスパーソンとは違う自由な職業との印象を持っている人も多いでしょう。

しかし、キャリアのスタートから、全員が自由だったわけではありません。最初は企業のビジネスパーソンとして、デザイン課や制作部などのクリエイティブな部門でキャリアを積んで独立する場合がほとんどです。

普段の見た目の服装や髪型は自由なクリエイターも、クライアントへのプレゼンテーションやコンペティションの際にはスーツを着こなし、ビジネスマナーを踏まえて行動しています。クリエイターであってもビジネスマナーは、身に付けるべき大切なスキル。

むしろ、世間的にも自由な印象が強いクリエイターこそ、ビジネスマナーをきっちり押さえておくだけで、先方に良い印象を与えられたり、差別化が図れるとすら言えるかもしれません

マナー違反をしても、面と向かって怒ってくれたり、マナーを教えてくれたりする上司や先輩は少数です。会社は学校などの教育機関ではなく、給料を払ってプロを雇う場ですから当然といえます。おかしいと思ってもわざわざクレームを入れてくれるクライアントはもっと少ないでしょう。

大抵の社会人は不快な思いをしても、表情や声には表しません。「この人はマナーがなっていないから、あまり関わらないようにしよう」と思うだけで、敬遠されて終わりです。当然そう思われたら、クリエイティブな仕事を任される機会もぐっと減るでしょう。そんな残念なクリエイターにならないためにも、必要最低限のマナーを身につけましょう。

敬称「様」「殿」「御中」、「御社」と「貴社」の使い分けをすっきり解決!

就職活動や内定お礼などで企業へ手紙やメールを出す機会は多くなったものの、学生時代には日常生活で敬称を使うケースはそう多くはなかったはず。そのため入社後も「様」「殿」「御中」などの敬称の使い分けを難しく感じる新人クリエイターは多いのではないでしょうか?

キャリアをスタートする前に使い分けを明確に覚えて、必要に応じて使いこなせるようにしておきましょう。

①名前の下には「様」を1つずつ

名前の下には、「様」を付けます。「様」は目上、目下、役職に関係なくすべての人に対して使うことができる便利な敬称です。公用文書などでは「様」ではなく名前の下に「殿」が用いられる例外もありますが、公務員のクリエイターでない限り、名前+「殿」を使う機会はありません。

用例:〇〇株式会社 デザイン課 佐々木 和夫 様

また、同じ課の複数人に宛てる場合などは、「様」を1つで済ませるのではなく、それぞれの名前の下に付けます。

用例:〇〇株式会社 デザイン課 佐々木 和夫 様
                山田    治虫 様

②役職名の下には話し言葉では「様」、書き言葉では「殿」

先方に役職がある場合には、話し言葉と書き言葉で「様」と「殿」を使い分けます。

話し言葉用例:「佐々木デザイン課長様、お時間いただき有難うございます」

書き言葉用例:〇〇株式会社 佐々木 和夫 デザイン課長殿

20年ほど前までは女性は「殿」を使わず、書き言葉でも「デザイン課長様」としていましたが、現在では敬称にも性差が見られなくなってきました。

③会社や部署には「御中」

会社や部署全体に宛てる場合、担当者名が分からない場合にのみ「御中」を使います。

用例:〇〇株式会社 デザイン課御中

「様」や「殿」を使う際には「御中」は併用しませんので、気をつけましょう。

NG例:〇〇株式会社御中 人事課長殿

④部署の社員全員に出すには「ご一同様」

プロジェクトなどでお世話になった課の社員全員に宛てて出す際などには、一般的には「ご一同様」を使います。公用文書や上司からの通達文などには「各位」を用いますが、使い分けが難しいのでキャリアをスタートする際には「ご一同様」一択と考えた方が無難です。

用例:〇〇株式会社 デザイン課 ご一同様

⑤話すときは「御社」書くときは「貴社」

「御社」と「貴社」は同じ先方の会社を敬う意味を表す言葉ですが、話し言葉と書き言葉で使い分けされています。挨拶などで会話をする際には「御社」と話し、手紙やメール、チャットなどでは「貴社」と書きます。

電話マナーの正しい知識を身につけよう

入社すると、まずは電話応対から新人にさせる会社は多いため、正しい電話マナーを覚えていると「できる新人」との評価が得られます。また、電話応対のマナーをきちんと教わらずにキャリアを積んでしまったクリエイターも少なくないはず。電話マナーの正しい知識を身に付けて、ビジネスパーソンとしての基礎力を高めましょう。

⑥外線と内線では第1声を使い分ける

会社には、顧客や取引先からかかってくる社外からの外線電話と、社内の違う部署からかかってくる内線電話の2種類があります。外線は直接の電話番号がある会社もあれば、まずは受付が受ける代表電話に設定している会社もあり、様々です。それぞれに第1声が違いますので、ケースごとにまとめます。

外線電話を直接取る場合:お電話ありがとうございます、株式会社〇〇デザイン課田中です。

外線電話を受付を通して取る場合:お待たせいたしました、デザイン課田中です。

内線電話を取る場合:はい、デザイン課田中です。

⑦受話器を取ると同時にペンを持とう

入社してデスクが与えられたら、まずは電話のそばにメモとペンを置いて準備します。誰に教えられなくても、最低限これだけはやりましょう。受話器を取ったあとにメモと書くものを探すようでは、先方を待たせたり、名前も書けず聞き直して迷惑をかけたりすることになります。

メモを持って受話器を取り、第1声で名乗ったら、先方の会社名と名前を書いて、用件を聞きます。大方は「〇〇の佐々木ですが、山田部長様いらっしゃいますか?」といった用件なので、「少々お待ちください」と、一旦保留を押して山田部長にその旨を口頭で伝えれば完了です。

⑧電話をかけなおす提案をしよう

山田部長が離席している場合は、行動表のホワイトボードやスケジュール表をチェックして、何も書いていない場合は「部長の山田は少し席をはずしているようなので」、出張や外出中であれば「部長の山田は外出中でして」と断りを入れます。

この時注意したいのは、社内の人間に対する役職の付け方です。「山田部長は」と言うと「長」という敬称を付けて呼んでしまうことになります。家族以外の人に「私のお父様は」と言っているのと同じです。社外の方に社内の人間を呼ぶときは、「部長の山田は」と役職を先にして、名前は呼び捨てにします。

そして「折り返しこちらからかけなおさせたいのですが、いかがでしょうか?」と提案をします。このように、先方を長く待たせずにこちらからかけなおすのが、電話の基本的なマナーです。電話のかけなおしは取り次ぎだけではなく、自分では分からないようなことをいきなり聞かれた時も同じです。

無理に調べて答えようとせず、素直に「申し訳ございませんが、私では分かりかねますので、担当の者より折り返しお電話かけなおさせていただきたく存じます。お電話番号を頂戴してもよろしいでしょうか?」と先方の電話番号を聞いて、すぐに上司や先輩に相談しましょう。

⑨メモを残す

メモを残す癖を付けましょう。社内チャットがある会社なら、必ずチャットを残しておきます。取り次ぎだけの電話の場合、担当者不在で折り返しの提案をし、先方が「お願いします」というようなら、「〇〇の佐々木様より電話あり、折り返してください」とメモに書き、先方が「またかけなおします」というようなら、「かけなおすとのこと」と書きます。

メモは山田部長のデスクにテープで貼っておきます。置くだけでは風で机の下に入るなどしてしまいますので、テープでとめるのがベターです。このとき付箋であればテープの必要はありませんが、パソコンのデスクトップ画面などに貼ると剥がれる心配があるため、デスクなどの水平面に貼るようにしましょう。

もしも山田部長が外出していて不在の時は、携帯電話などに連絡を取って、出先からかけなおしてもらうようお願いをします。その際、会議中などで電話がオフになっていることも多いので、必ず何度かかけます。忙しいと自分で電話のかけなおしを忘れることも多いため、自分用にもメモをしましょう。

この時、ノートなどに書いただけではページをめくれば目に付かず忘れてしまうため、メモにして1枚ずつはがし、自分のデスクに貼っておくことを忘れないように。スマホのメモを使っている場合も同様に忘れないようTodoリストに残しておきます。

⑩聞き返しの「はい?」はマナー違反

若者言葉に多く、ドラマなどでも多用されている「はい?」と語尾を上げる聞き返し言葉は、実はマナー違反です。ビジネスシーンではタブーとされていますので、うっかり使わないよう心がけましょう。

電話の声が小さかったり、騒音で聞きにくかったりする時は「申し訳ございません、お電話が遠いようで、もう一度お願いします」と聞き直します。

⑪主語を省略する「は~、」はマナー違反

若者言葉の相手の質問に対して、受け取ったこちらの主語を省略する「は~、」と副助詞だけを語尾を伸ばす言葉使いもビジネスシーンではマナー違反です。

NG用例:

「山田部長はいらっしゃいますか?」「は~、今いないみたいですね」(部長の山田は、の「部長の山田」を省略)

 「斎藤くんは今いくつ?」「は~、22です」(私は、の「私」を省略)

主語は省略することなく話しましょう。

クリエイターもビジネスマナーを身につけよう

クリエイターが身に付けておくべきビジネスマナーについて、敬称と電話の受け答えを紹介しました。

今回紹介したのはほんの一部です。クリエイターもビジネスマナーを身に付けて、社内でも社外でも良好な関係を築き、キャリアを積み重ねていきましょう。

ライター
ひいづる堂
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