チャットでのビジネスマナー【言葉遣いや返信タイミングは?】

近年、チャット機能はメールにとって代わり、ビジネスコミュニケーションツールのメインストリームとなりました。しかし、チャットにおけるビジネスマナーは言葉遣いや基本的な書式、返信のタイミング、絵文字やリアクション使用の有無など、不確かな点が数多くあります。これは、SNS世代にとってもメール世代にとっても同じです。そこで今回は、チャットのビジネスマナーを、チャットワークを例に詳しく解説します。


チャットのビジネスマナーにおける言葉遣いとは?

ビジネスシーンにおけるチャットは、LINEでの友達とのやりとはまったく違います。具体的に以下の3つのポイントに気をつけましょう。

ビジネスチャットは敬語で話そう

ビジネスシーンにおけるチャットでは、社外でも社内でも常に敬語を使用しましょう。タメ口はNGです。これは、社外はもちろん、社内において同期や部下に対しても同様です。

なぜなら、ビジネスシーンでのチャットは、トラブルになった際などに上司や監査などへ提出する可能性があるからです。常にチャット上では公的立場を考え、誰にみられても恥ずかしくないやりとりを心がけましょう。

必要以上に感嘆符(!)を使うのも避けた方が無難です。常に冷静を心がけ、感情的にならないようにしましょう。

チャットではできないこともある

ビジネスシーンにおいて、チャットではできないことがあることを把握しておきましょう。たとえば、社外へのクレームや部下に叱責する際などは、チャットを使用してはいけません。直接面会して対話をすることが必要です。文字だけだとクレームは冷たい印象を与え、相手の感情を汲み取ることができません。

クレームや注意、叱責は、改善点や注意点だけではなく、相手の行為に対して自身が抱いている残念な感情や、今後の改善への期待感もしっかりと伝える必要があります。それらすべてをチャットで感情を伝えようとすると、長文になりチャットでは限界があります。

便利なチャット機能ですが、コミュニケーションすべてをチャットで済ませることのないよう注意しましょう。

チャットは公私を区別しよう

ビジネスチャットはビジネスシーンにのみ使いましょう。たとえば飲み会の誘いなど、会社の仲間と気のおけないプライベートチャットをするなら、ビジネス用のチャットは使用してはいけません。同じ同期社員ともビジネスの話題はChatworkで、プライベートはLINEでつながるなどして、公私は区別する必要があります。

チャットが浸透しはじめた頃は使い慣れていない人が多く、「ある日、部下から『帰りに牛乳買ってきて』とチャットが届いた」という笑い話があるほどでした。しかし、現在では社内にはまだしも、社外宛のチャットでは笑い話にもなりません。アプリやソフトを分けることで、混同しないよう気をつけましょう。


チャットのビジネスマナーの一般的な書式とは?

メールとチャットではビジネスマナーが異なり、省略できることも多くありますが、人と人のコミュニケーションに変わりありませんから、必要なものも多くあります。

チャットで省くべきものとは?

個別チャットの場合メールとは違い、誰から誰へ宛てたものなのか把握できるため、宛名と自己紹介、署名は省きます。上記の画像のチャット例でいうと、具体的には、つぎの3つです。

・文頭の宛名 ライティングチーム 環太平洋 代表取締役社長 高田 浩平 様

・文初の自己紹介 RAR企画部の小山田花音です。

・文末の署名 株式会社 RAR企画部 小山田 花音

宛名を省く代わりに、こちらから話しかける際には、メンション(To機能)を指定し、返信の際には「返信先」を選んで書き始めます。

ビジネスチャットの基本的な書式は?

ビジネスチャットの基本的な書式は、つぎの4つです。

  • 挨拶
  • リアクション
  • 本題
  • 要望

具体的に詳しく説明していきます。

・挨拶

1日の会話をスタートする際には、社外には「いつもお世話になっております。」社内には「お疲れ様です。」と挨拶しましょう。もちろん、会話のやり取りを続ける際には省きます。相手から先に挨拶された場合には、「こちらこそ、」を付けます。

・リアクション

相手から先に何らかの要望があった場合には、先にリアクションを返します。上記の例の場合は、「打ち合わせの際にお話しておりました、資料を添付させていただきますので、お目通しください。」と相手からのチャットに書いてあったため、「資料ありがとうございました、ただいま確認させていただきました。」とアクションしています。

・本題

本題に入る際に、これから何を話したいのか、タイトルのような1文を最初につけます。この場合は、「1点納期について質問お願い申し上げます。」としています。質問が複数ある場合は、1、2とナンバリングしてそれぞれを簡潔にまとめましょう。

・結び

質問をしたあとなどに回答がほしい場合は、「以上、ご回答のほどよろしくお願いいたします。」と結びます。「以上」で質問が終わったことをわかってもらい、「回答」をお願いしています。特段相手にアクションを求めない場合は、「それでは、引き続きよろしくお願いいたします。」などと結びます。

オンラインミーティングなどで会話をしている途中では、結びは必要ありません。


ビジネスチャットに返信するタイミングは?

ビジネスチャットでは、メールとは違い相手からの要望があったときにはすぐに返信し、リアクションすることが大切です。それは上記の画像のようにタスク立てされていて、期限まで時間がある場合でも同じです。

すぐに業務が完了しない場合にも、まずは「承知しました、これから確認します。」と返します。業務が膨大で完了に時間がかかりそうな場合は、時間を見積もって「今日1日お時間をいただきます。」などと返信します。自身で判断がつかない際には、上司や先輩に相談しましょう。

Chatworkなど在退席の表示や既読機能がないチャットは、とくにいつ相手が確認してくれているかわからず、相手は返事を待ってしまいます。相手を長く待たせないよう、就業時間中は通知機能などを使ってなるべく早く返信することを心がけましょう。ただ、社内外でのプレゼン中や会議中などには、通知音をオフにしておきます。

一方で、就業時間外には緊急な案件以外、返信の必要はありません。返信もリアクションも、就業時間になってからでかまいませんので、プライベートな時間はしっかりと確保しましょう。


ビジネスチャットでのアクションや絵文字は?

絵文字の使用についてのある調査によると、「絵文字を使用するべき」と回答した割合を年代別にみると、30代では過半数にのぼるのに比べ、「絵文字を使用すべきでない」で最も高い割合を示したのは60代以上で50.00%。次いで50代後半(33.33%)、50代前半(30.61%)と続き、概ね年代が上がるに連れて高くなる傾向にありました。

そのため、相手の年代によっては絵文字やアクションの使用は控えるべきです。とくに対クライアントや上司に対しては、受け取る人によっては「マナー違反だ」と感じる人にいるかもしれないので、絵文字は使用しない方が良いでしょう。

一方で、「絵文字にまつわるエピソード」には、「クライアントが文末につけてくれた絵文字でホッとしたことが何度もあります」との声も寄せられていることから、自身の立場や相手への配慮によっては使用した方がコミュニケーションがスムーズにいくこともあるでしょう。


チャットのビジネスマナーを把握し上手に活用しよう

チャットにおけるビジネスマナーを事例を通してご紹介しました。

メールと違い省ける部分がある、なるべくすぐに返信をした方がよい、適度であれば絵文字も使える、など、チャットならではのビジネスマナーがありました。チャットだけでは伝わらないところも多いものの、チャットがあることでビジネスコミュニケーションは飛躍的に便利になっています。上手に活用することで、ビジネスを円滑にすすめていきましょう。

ライター
ひいづる堂
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