Windsurf分割買収!GoogleとCognitionの戦略

AIがプログラムを書く時代が本格化する中、開発者向けツール業界で衝撃的な出来事が起こりました。有名なAI開発環境Windsurfが自律型AIエンジニアDevinで知られるCognitionに買収されたのです。この買収劇の背景には、創設者の大量離脱、24億ドルの人材獲得、ライバル企業との関係修復が隠されていました。

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24億ドルの人材争奪戦が生んだ「分割買収」の異常事態

企業買収の歴史において、これほど異例な形は見たことがありません。通常であれば一つの会社が丸ごと買収されるものですが、Windsurfは文字通り「分割」されました。
7月11日、Googleは24億ドルという巨額を投じてWindsurfの共同創設者兼CEOヴァルン・モハン氏と共同創設者ダグラス・チェン氏をはじめとする上級研究開発チームを引き抜きました。この24億ドルは報酬とライセンス料の合計で、Googleが獲得したのは選択されたWindsurfテクノロジーの非独占ライセンス。つまり、Googleは「会社」ではなく「頭脳」に投資したのです。
一方、製品とユーザー基盤はCognitionが獲得しました。残されたWindsurfでは元ビジネス責任者のジェフ・ワン氏が暫定CEOに就任し、「先週、我々は創設者と研究チームを失いました」と率直に状況を説明。それでも同氏は「我々を優れたものにしている多くの要素は無傷のまま」と強調し、数十万人のデイリーアクティブユーザーと四半期ごとに倍増するエンタープライズ収益を維持していると発表しています。
実は、この分割買収は当初の計画ではありませんでした。Bloombergが5月に報じたところによると、OpenAIが最大30億ドルでWindsurfを完全買収する独占交渉を行っていたのです。しかし交渉は決裂し、OpenAIは後にCNBCに対して独占期間が終了したと説明しました。交渉決裂後、Windsurfの通信チャンネルが沈黙し、製品の安定性に問題が生じ、複数のパートナーが撤退したと報じられています。
混乱の中で、Windsurfはさらに深刻な問題に直面することになります。それが、最も重要なパートナーの一つとの関係断絶でした。

AnthropicとWindsurfの「絶縁」から「和解」までの波乱万丈

Windsurfにとって最も痛手となったのは、6月初旬に発生したAnthropicとの関係断絶でした。AnthropicはWindsurfに対し、一週間未満という短い通知期間でClaude 3.5 Sonnet、Claude 3.7 Sonnet、および関連モデルへのほぼすべての直接API容量を遮断したのです。Claude(クロード)とは、Anthropic社が開発したAI言語モデルで、多くの開発者がプログラムを書く際の「AI助手」として利用していたもの。この突然の遮断は、Windsurfのサービス運営に致命的な打撃を与えました。
Anthropicの共同創設者ジャレッド・カプラン氏は、TechCrunch Sessions: AI 2025でこの決定について説明しました。「OpenAIにClaudeを販売するのは奇妙でしょう」と述べ、最大の競合相手であるOpenAIに中間層を通じてモデルへのアクセスを提供することを正当化できないと説明。さらに、Anthropicの限られた計算処理能力も理由に挙げ、同社がCursorとのような「永続的なパートナーシップ」により重点を置いていることを明かしました。
突然のアクセス遮断を受けて、Windsurfは緊急対応を迫られました。サードパーティの推論プロバイダーを通じてトラフィックを再ルーティングし、無料プランユーザーのアクセスを制限せざるを得なくなったのです。同時に、一時的な代替手段としてGemini Proのプロモーション価格を開始しました。Windsurfは当時のブログ声明で失望を表明し、「Windsurfの魔法はモデルに限定されたことはありません」と述べて、UX機能、エンタープライズ統合、エージェントワークフロー(AIが自動的に作業を進める仕組み)などの独自価値を強調しました。
しかし、Cognitionとの買収発表動画で、暫定CEOワン氏は「そしてもちろん、我々は再びAnthropicと友好関係にあります」と明言。これは、新しい所有者の下で関係が修復されたことを意味する重要な発言でした。この複雑な関係修復を経て、いよいよ両社の統合による新たな可能性が見えてきます。

DevinとWindsurfの融合が描く「AIとの協働」の新時代

買収発表の共同動画で、CognitionのCEOスコット・ウー氏とWindsurfの暫定CEOワン氏は、両プラットフォームの統合について具体的なビジョンを語りました。「Windsurfでタスクを計画し、Devinのチームを立ち上げ、IDEの快適さからプルリクエストをレビューすることを想像してください」という説明は、まさに開発者の働き方を根本から変える可能性を秘めています。Devinとは、バグ修正やアプリ配信などのソフトウェアタスクを自律的に完了できるAIエンジニアです。今回の統合により、このDevinがWindsurfのIDE(統合開発環境:プログラムを書くためのソフトウェア)に直接組み込まれることになります。開発者は重要な設計判断をコントロールしながら、反復的な作業を並行して複数のAIエージェントにオフロードできるようになるのです。
Windsurfのブログでワン氏は、既存機能の継続についても詳しく説明しています。手動でのコーディング支援に使われるTabやCascadeといった機能はIDEに統合されたまま残り、開発者は複雑な部分を自分で完成・編集しながら「Devinのチーム」に作業を割り当てることができます。「それは同じ環境内でシームレスに再び結合されます」とワン氏は記述しており、人間とAIの協働における理想的なバランスを目指していることが分かります。
Cognitionはこの統合について、協力的なヒューマンエージェントシステム構築の次のステップであり、WindsurfのIDEがエージェントワークフロー(AIが自動的に作業を進める仕組み)を規模で実用的にする欠けていたインターフェース層を提供すると述べています。両社は、ユーザーがより流動的で緊密に統合された開発体験から恩恵を受けると確信を表明しました。
ワン氏は買収相手としてCognitionを選んだ理由について、「彼らは私たちが唯一恐れていたチームでした」と率直に語っています。同氏によると、Cognitionの収益成長率はWindsurfを上回っており、3億ドルの資金調達と40億ドルの企業評価が強固な財務基盤を示しているとのことです。
統合されたCognition-Windsurf企業は今後、GitHub Copilot、Replit、Cursorといった既存のAI搭載開発ツールと直接競合することになります。GoogleのGeminiプラットフォームやMicrosoftのVisual Studio Codeの「エージェントモード」も、この分野への参入を進めています。
人間とAIの協働における新たな可能性を示すこの統合が業界全体の競争をどう変化させるかは、まさに今後の展開次第といえるでしょう。

まとめ

いかがだったでしょうか?
Windsurfの買収劇は、AI開発ツール業界がいかに激しい変化の渦中にあるかを物語っています。24億ドルという巨額投資による人材争奪戦、モデルアクセス権を巡る企業間の複雑な関係、そして分割買収という前例のない手法まで、すべてが従来のビジネス常識を覆すものでした。CognitionとWindsurfの統合により誕生する新しい開発体験は、人間とAIの協働における新たな可能性を示しています。この業界の動向は、私たちの働き方そのものを変える可能性を秘めており、今後の展開から目が離せません。

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