Visa Trusted Agent Protocol:AI買い物の信頼構築

あなたのAIアシスタントが、最安値を探して商品を比較し、自動で購入まで完了する。そんな世界が現実になりつつあります。米国では小売サイトへのAI経由のアクセスが1年で47倍に増えました。しかし便利さの裏で、深刻な問題が浮上しています。Visaが発表したTrusted Agent Protocolは、その解決策です。

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47倍成長の裏で起きている問題

過去1年間で、米国の小売ウェブサイトへのAI経由のアクセスは4,700%増加しました。つまり47倍です。この数字は、AIエージェントによる買い物がすでに日常に根付き始めていることを示しています。
AIエージェントとは、ユーザーに代わって行動するAIプログラムのことです。あなたが「新しいノートPCが欲しい」と伝えれば、AIが複数のECサイトを巡回して価格を比較し、在庫を確認し、条件に合えば購入手続きまで自動で完了させます。実際に使った人の85%が買い物体験の向上を実感しているのも納得で、時間を節約でき、複数サイトを自分で見比べる手間も省けます。対話型AIの普及により、「この条件で一番安いものを買っておいて」とAIに頼む行為は、もはや特別なことではなくなりました。ところが、この便利さの裏で、ECサイト運営側は深刻な問題に直面しています。Visaが指摘するのは3つです。まず、本物のAI客と悪質なボットの区別がつかないという問題があります。ECサイトには以前から、価格情報を盗んだり在庫を不正に確保したりする悪質なボットが大量にアクセスしてきました。そのためサイト側はボット検出システムで怪しいアクセスをブロックしていますが、善良なAIエージェントも技術的には「自動プログラム」です。システムから見れば両者の区別がつかず、結果として歓迎すべきAI客まで誤ってブロックしてしまうのです。
次に、AI経由の購入プロセスへの対応不足があります。従来のECサイトは、人間が画面を見てクリックし、フォームに入力することを前提に作られています。しかしAIエージェントはそうした操作をせず、データを直接やり取りしたいのですが、多くのサイトにはその仕組みが整っていません。
そして最も厄介なのが、AIの背後にいる実際の消費者が見えなくなるという問題です。購入履歴がAI名義で記録されてしまうと、実際の消費者との繋がりが失われます。同じ人が何度買い物をしても、サイト側からは毎回新規客に見えてしまう。販売者にとって顧客関係の維持は死活問題ですから、これは放置できません。
では、どうすればいいのか。Visaはこの問いに、明確な答えを用意しました。

Trusted Agent Protocolという答え

Visaが発表したTrusted Agent Protocolは、これらの問題への具体的な答えです。Cloudflareと協力して開発され、今日からVisa Developer CenterとGitHubで公開されています。
このプロトコルが提供するのは、AIエージェントとECサイトの間で情報を安全にやり取りするための新しいルールです。核となるのは3つの情報の受け渡しで、それぞれが先ほどの問題に対応しています。
1つ目は「エージェントの意図」を証明する情報です。このAIが本当に購入目的でアクセスしているのか、それとも情報を盗むだけの悪質なボットなのか、その違いをサイト側が判断できるようにします。これで善良なAIと悪質なボットを区別できます。
2つ目は「消費者の認識」に関する情報です。AIの背後にいる購入者が、過去にこのサイトで買い物をしたことがあるのか、アカウントを持っているのか。この情報があれば、サイト側は既存顧客として適切に対応でき、顧客関係が途切れる心配がありません。
3つ目は「決済情報」です。AIエージェントは、ユーザーが設定した支払い方法のデータを安全に運ぶことができ、販売者側の好みの決済手段に柔軟に対応できます。
技術的には、エージェント固有の暗号署名によって裏付けられています。印鑑証明のデジタル版のようなもので、情報が本物であることを証明し、なりすましを防ぎます。そして重要なのは、既存のECサイトを大きく作り替える必要がないという点です。HTTP Message Signatureという既存のウェブ標準を基礎にしているため、マーチャントのウェブサイトやチェックアウトページでの変更は最小限で済みます。この開発には、業界を代表する企業が参加しています。Adyen、Ant International、Checkout.com、Coinbase、CyberSource、Elavon、Fiserv、Microsoft、Nuvei、Shopify、Stripe、Worldpayなど、決済やECの分野で名を連ねる企業から洞察に満ちたフィードバックを受けながら仕様が作られました。さらにVisaは、これを自社だけの規格にするつもりはありません。IETF、OpenID Foundation、EMVCoなどの国際標準化団体と緊密に連携することに尽力しており、業界全体の標準として育てる方針を明確にしています。最近発表されたAgentic Commerce Protocolなど他のプロトコルとも連携できるよう設計されており、異なるシステム間での相互運用も可能にしていく計画です。
Visaの最高製品・戦略責任者であるJack Forestell氏は述べています。「決済エコシステム全体が、販売者がAIエージェントを最良の顧客と同じくらい信頼できるようにする責任がある」。Trusted Agent Protocolは、信頼という商取引の基本要素を、AIの時代に再構築する答えです。

まとめ

いかがだったでしょうか?
AIによる買い物は、もう未来の話ではありません。あなたが使うサービスにも、近いうちにこの機能が組み込まれるでしょう。Visaが発表したTrusted Agent Protocolは、その世界を支える基盤を作る試みです。AIがあなたの代わりに最適な選択をする世界は、すぐそこまで来ています。

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