
AIエージェントが実際のビジネス現場で動き始めています。しかし多くの企業が直面している問題があります。「AIエージェントが何をしているのか見えない」「他のシステムとうまく連携できない」といった課題です。Salesforceが発表したAgentforce 3は、これらの問題に明確な答えを示しました。
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見えないAIエージェントを可視化する「コマンドセンター」

AIエージェントを導入した企業が最初に気づくのは、「エージェントが何をしているかわからない」という問題です。デモンストレーションでは順調に動いていたAIエージェントも、実際のユーザーの前に置かれると予想外の動きをすることがあります。Salesforce AI担当EVPのJayesh Govindarajan氏は、この課題を「day two problems(2日目の問題)」と呼んでいます。初期導入後に現れる運用上の課題のことです。「複数のペルソナに対して複数のエージェントを持つことができ、それが実際に大規模で完了すべきタスクにどのような影響を与えているかを観察できる必要がある」と同氏は説明しています。
そこでAgentforce 3で新たに導入されたのが「コマンドセンター」です。この機能により、AIエージェントの活動をリアルタイムで監視し、エージェントとユーザーのやり取りを詳細に分析できるようになりました。システムの健全性を監視してリアルタイムでアラートを送信するだけでなく、AIが自動で最適化の推奨事項を提案する機能も備えています。重要なのは、AIエージェントと人間の作業者の間での引き継ぎを適切に管理できることです。複雑な決定や承認が必要な場合、システムは自動的に人間にタスクを引き継ぎます。
技術的には、OpenTelemetry標準を使用してSalesforceのData Cloud内でエージェントの全活動を記録します。OpenTelemetryは、アプリケーションの動作を監視するためのオープンソース標準で、システムがどのように動いているかを詳細に記録できる仕組みです。これによりDatadogやSplunkといった既存の企業監視ツールとの統合が可能になり、企業は新しいシステムを覚える必要がありません。
従来は「AIエージェントを作ったが、うまく機能しているかどうかわからない」という状況でした。コマンドセンターの登場により、企業はAIエージェントを他の業務システムと同じように管理できるようになったのです。しかし、監視できるだけでは十分ではありません。AIエージェントが本当に価値を発揮するには、企業内の様々なシステムとスムーズに連携できることが不可欠です。
システムの壁を越えるAIエージェント

AIエージェントの監視体制が整ったとしても、各システムが独立して動いていては真の効果は期待できません。従来、新しいツールとの連携には毎回カスタム開発が必要でした。この問題を一気に解決するのが、Agentforce 3が採用したModel Context Protocol(MCP)です。
MCPは、AIエージェントが異なるシステム間で情報をやり取りするためのオープンスタンダードです。簡単に言えば、AIエージェントが様々なアプリケーションと「共通言語」で会話できるようにする仕組みで、これまで不可能だった柔軟な連携を実現します。Salesforceのプロダクトアーキテクチャ担当VPのGary Lerhaupt氏は、「一般的な相互運用性と、私たちが企業グレードの相互運用性と呼ぶものがある」と説明しています。企業で使用する場合、単に接続できるだけでは不十分で、セキュリティやガバナンス機能が必要になるのです。
Agentforce 3では、Amazon Web Services、Box、Google Cloud、IBM、PayPal、Stripeなど30以上のパートナーとの事前構築された連携機能を提供しています。例えばPayPalは請求機能を、Boxは文書アクセス機能をMCP経由で提供しています。Lerhaupt氏によると、ローンチ時点で20を超える検証済みMCPサーバーが利用可能になっています。
企業にとって特に重要なのは、規制産業向けのセキュリティ強化です。SalesforceはAnthropicのClaudeモデルをAmazon Bedrock経由で自社インフラ内に直接ホストしており、「Anthropicでは、スタック全体がSalesforceインフラ内で実行される。呼び出しはOpenAIに送信されず、トラフィックはSalesforce VPC内で実行される」とGovindarajan氏は説明しています。これにより、機密データが外部に送信されることなく、厳格なセキュリティ要件がある金融や医療業界でもAIエージェントを安心して使用できます。さらに新しい「Atlas」アーキテクチャにより、2025年1月と比較してレイテンシが50%改善され、グローバル展開も進み、カナダ、英国、インド、日本、ブラジルで利用可能になり、6言語をサポートしています。
こうした技術基盤の整備により、実際のビジネス現場での導入が本格化しています。
現実のビジネスで証明された成果

技術的な基盤がいくら整っても、実際のビジネス現場で成果が出なければ意味がありません。しかし、Agentforce 3の導入企業は既に驚くべき成果を上げています。
Salesforceのデータによると、AIエージェントの使用量は6か月で233%増加し、8,000社以上の顧客が導入を進めています。Govindarajan氏は現状について「何百、いや何千もの本格的な実装があり、それらは大規模に稼働している。AIエージェントはもはや実験的なものではない。企業の構造に深く浸透している」と述べています。その中でも最も注目すべき導入事例が、世界最大級の食品・飲料企業PepsiCoです。同社の製品は世界中で1日に10億回以上消費されており、その規模でのAI導入は業界全体に大きな影響を与えています。PepsiCoの最高戦略・変革責任者であるAthina Kanioura氏は、「顧客環境が進化し、取引がより複雑になり、データをより良く統合する必要性が高まる中で、事業全体でSalesforceのプラットフォームを包括的に統合する機会を認識した」と説明しています。同社は7年間にわたるSalesforceとの関係を基盤に、AIエージェントの迅速な導入を実現しました。「私たちはAgentforceが当社のフィールドセールスの日々の経験をどのように向上させ、ワークフローを合理化し、リアルタイムでよりスマートな洞察を浮上させるかについて興奮していました」とKanioura氏は語っています。
具体的な成果も続々と報告されています。1-800Accountantは繁忙期の税務シーズン中に管理チャット要求の70%を自律的に解決し、OpenTableではレストランのウェブクエリの73%をAIエージェントが処理しています。コロンビアのGrupo Falabellaは、WhatsAppを使った顧客サービス運営で、わずか3週間で電話通話トラフィックを71%削減しました。興味深いのは、AIエージェントの普及に伴って新しい職種が生まれていることです。Govindarajan氏は「エージェントの群れを管理する人々のための新しい役割が現れている」と指摘します。CIOレベルでは企業全体のエージェント運用を俯瞰し、現場レベルでは特定のエージェントのパフォーマンスを詳細に管理する階層的な管理体制が必要になっているのです。PepsiCoのKanioura氏は、この変化について「AIと技術は、かつては想像もできなかった方法で企業運営を再構築している。Agentforceで行っている作業は、接続された企業としてのPepsiCoのより広範な変革の一要素」と表現しており、企業はAIエージェントを新しいデジタル労働力として位置づけ始めています。
まとめ

いかがだったでしょうか?
Salesforce Agentforce 3の登場により、AIエージェントは「見えない存在」から「管理可能なデジタル労働力」へと変化しました。コマンドセンターによる可視化、MCPによるシステム間連携、そして実際のビジネス成果が、AIエージェントの実用性を証明しています。PepsiCoのような大企業が本格導入に踏み切ったのは、AIエージェントがもはや実験段階ではなく、企業運営の重要な一部になったからです。今後、AIエージェントを適切に管理できる企業とそうでない企業の間で、大きな差が生まれる可能性があります。
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