
中国のAlibabaが発表したQwen3-Nextが、AI業界で注目を集めています。800億のパラメータを持ちながら、実際に動作するのはわずか30億のパラメータのみ。従来モデルと比べてコストを25%削減し、処理速度は10倍以上向上しました。この驚異的な性能向上を支える技術とは何なのでしょうか。
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30億で800億の力を生む魔法の仕組み

なぜQwen3-Nextは30億のパラメータで800億の力を発揮できるのか。その答えは、2つの異なる処理方式を巧みに組み合わせた設計にあります。これまでのQwenシリーズとは全く異なる新しい仕組みを導入したのです。
核となるのが「Gated DeltaNet」という技術で、これがモデル全体の約4分の3を担当しています。この仕組みは「高速リーダー」のような役割を果たします。人間が本を読むときに一度読んだ内容を覚えておき、新しい情報だけを追加で理解していくのと同じように、従来のAIが毎回全文を読み返すのに対し、この方式では必要な部分だけを効率的に処理します。
一方で、残りの約4分の1では「Gated Attention」という異なる技術が働いています。こちらは「慎重なチェッカー」として機能し、文章の細かな関係性を丁寧に分析します。特に複雑な推論が必要な場面では、この慎重な処理が威力を発揮します。研究チームは雑音を取り除く機能も追加し、難しい問題でも正確な答えを出せるようにしました。つまり、高速処理だけでは重要な詳細を見逃してしまい、慎重すぎる処理では長い文書で時間がかかりすぎてしまう。Qwen3-Nextは両者の良いところを使い分けることで、この問題を解決しています。
ここで重要になるのが、AIの「パラメータ」という概念です。パラメータとは、AIが判断を下すための設定値のようなもので、通常は多いほど賢くなります。しかし、すべてを一度に動かすには膨大な電力とコストが必要です。そこでQwen3-Nextは「スパース性」という考え方を採用しました。800億の設定値を持ちながら、実際に使うのは必要な30億だけという仕組みです
この効率化を支えているのが、512の専門家チームが連携する「Mixture-of-Experts(MoE)」という仕組みです。従来の128チームから大幅に増加させ、10の主要チームと1つの共通チームが状況に応じて最適な処理を分担しています。開発を担当したJunyang Lin氏は、この設計に約1年の試行錯誤が必要だったと振り返ります。同氏は「特別な機能の追加は、まるでタダで大きな恩恵を得られるようなものだった」と表現し、その効果の大きさを実感していると語っています。
では、この技術的な工夫は実際にどの程度の成果を生んでいるのでしょうか。
コストと性能の常識を覆す実力

Qwen3-Nextの技術的な工夫は、実際の運用面で驚くべき数字として現れています。
最も注目すべきは開発効率の向上です。従来のQwen3-32Bモデルと比べて、必要な計算コストはわずか10分の1に削減されました。学習に使用したデータ量も15兆トークン(文章の断片)で、前世代の36兆トークンの半分以下です。それにも関わらず、処理速度は長い文章を扱う際にQwen3-32Bの10倍以上を実現しています。この性能向上は客観的な評価でも確認されています。第三者機関のArtificial Analysisによる測定では、思考に特化したバージョンが54点を記録し、DeepSeek V3.1と同じレベルの知能を示しました。通常バージョンも45点で、他の大規模AIモデルと互角の性能を発揮しています。
さらに印象的なのが、実際のベンチマークテストでの結果です。Qwen3-Nextの思考モデルは従来のQwen3シリーズを上回るだけでなく、GoogleのGemini-2.5-Flash-Thinkingという有料の高性能モデルも複数の項目で超えています。これは技術的な工夫が単なる理論ではなく、実用的な価値を生んでいることを証明しています。
処理能力の面でも大きな進歩が見られます。一度に256,000トークン(約600-800ページの本に相当)を扱うことができ、特殊な技術を使えば100万トークンまで拡張可能です。これにより、膨大な資料を一度に読み込んで分析することが現実的になりました。
コスト面での改善も見逃せません。Alibaba Cloudでの料金は100万トークンあたり入力0.5ドル・出力2-6ドル程度に設定され、前世代と比較して少なくとも25%の削減を実現しています。
利用しやすさの面でも配慮が行き届いています。Apache 2.0ライセンスで提供されるため、企業が商用利用や改良を自由に行えます。また、高性能GPU1台で動作するため、大規模な設備を持たない組織でも導入しやすくなっています。現時点では文章のみの処理に限られているものの、これらの数字が示すように、Qwen3-Nextは理論だけでなく実用面でも大きな変化をもたらす製品として位置づけられます。
まとめ

いかがだったでしょうか?
Qwen3-Nextは、AIの効率性という考え方を根本から変えた製品です。800億の機能を持ちながら30億の機能のみで動作し、従来の4分の1のコストと10倍の処理速度を実現しました。自由に使えるライセンス条件も整っており、多くの企業や研究者にとって魅力的な選択肢となるでしょう。開発チームは既に次世代のQwen3.5に取り組んでおり、今後さらなる性能向上が期待されます。
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