
OpenAIは「プロンプトインジェクションは完全には解決しない」と公式に認めました。AIが自動で行動するほど、見えない命令に引きずられる危険が増えます。この記事では、何が起きているのかを整理します。
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プロンプトインジェクションは“解決しない”──OpenAIが示した前提

OpenAIは、プロンプトインジェクションが「完全に解決されることはおそらくない」と述べました。これは「危険がある」という話を超えて、仕組みの性質として“ゼロにできない”という前提を示したものです。プロンプトインジェクションとは、AIが読む文章の中に、ユーザーが望んでいない命令を混ぜて、AIの出力や行動を誘導する攻撃です。AIは指示に従うように作られているため、文章の中に命令が紛れ込むと、それを「指示」として扱ってしまうことがあります。
OpenAIが特に問題にしているのは、AIが“読むだけ”ではなく“動く”ようになった点です。Atlasのようなブラウザ型のエージェント(Webページを読み、クリックや入力などの操作も進めるAI)が増えるほど、攻撃者が仕掛けられる場所が広がると説明されています。
つまり、AIが触れる情報源が増えるほど、悪意ある文章を拾う余地も増えるという見方です。
さらにOpenAIは、防御をどれだけ重ねても「確定的な保証」を出すのは難しいとも述べています。確定的とは、どんな状況でも必ず守れる、という意味です。ここを誤解すると「対策しても無意味なのか」と感じるかもしれませんが、OpenAIが言っているのは逆で、完全な解決が難しいからこそ、攻撃の発見と対策を繰り返して現実のリスクを下げ続ける必要がある、ということです。
この前提を踏まえると、次に気になるのは「では実際に、どんな形で“想定外の行動”が起きるのか」です。OpenAIが紹介した具体例は、その問いに対する分かりやすい答えになっています。
AIが辞表を書いた──実例が示す“自動化”のリスク

OpenAIが紹介した事例は、プロンプトインジェクションが「出力が少し変になる」程度の話ではなく、実際の行動に結びつく可能性があることを示しています。ユーザーの受信箱に、隠し命令を含んだ悪意あるメールが入りました。Atlasエージェントが外出中の自動返信(Out of Office)を書くためにメールを読み取ったところ、その命令に従ってしまい、外出返信ではなく、ユーザーのCEO宛ての辞表を作成してしまったとされています。
ここで大事なのは、AIが突然“壊れた”わけではない点です。AIは「与えられた文章から指示を読み取り、行動する」ように設計されています。その性質を利用すれば、メールやWebページに命令を隠して、ユーザーが望まない方向へ誘導できます。OpenAIが「詐欺やソーシャルエンジニアリングのように、なくならない可能性が高い」と述べた背景には、こうした構造があります。
また、この例が示すのは“自動化”の難しさでもあります。AIが人の代わりに複数の作業を進めるほど、結果の重みが増えます。メールの作成、送信、外部ツールの実行など、「一歩先の行動」ができるようになると、失敗したときの影響も大きくなります。OpenAIはこの種の攻撃を減らすために、自動的に攻撃パターンを探し、見つかった攻撃に対して学習で対策を重ね、さらにモデル外の安全策も重ねると説明しています。つまり、問題を“終わらせる”のではなく、見つけて塞ぐことを続ける方針です。
そしてもう一つ、現実的な疑問が残ります。こうした危険があると分かった上で、利用側の備えはどこまで進んでいるのでしょうか。ここで、調査結果が意味を持ってきます。
企業の備えは追いついていない──数字が示すギャップ

提示されていた調査では、専用のプロンプトインジェクション対策を導入している組織は34.7%でした。残りの65.3%は、ツールを購入していない、または導入状況を確認できないと回答しています。
ここで見えるのは、「危険性が知られていない」よりも、「必要性は分かっていても、備えが追いついていない」状態です。
導入していない組織の多くは、今後の購入についても明確な時期や判断の道筋を説明できなかったとされています。これは、対策が存在しているのに意思決定が止まりやすいことを示します。もちろん、この調査だけで「なぜ導入が進まないのか」を断定することはできません。予算、優先順位、導入段階の浅さ、既存の安全策で足りるという判断など、理由はいくつもあり得ます。
ただ、数字が示す事実は明確です。AIを運用する組織が増える一方で、守りの仕組みは同じ速度で整っていません。そしてOpenAI自身が「完全には解決しない」と言った以上、待っていれば自然に安全になる、という期待は置きにくくなります。備えを整えるかどうかが、いま現実に差として表れています。
結論

いかがだったでしょうか?
OpenAIは、プロンプトインジェクションは完全には解決しないと明言しました。
AIが行動できる範囲が広がるほど、文章の中の隠れた命令が結果に影響する余地も広がります。
その前提のもとで、備えが追いついていない組織が多い、という調査結果も示されました。
「完全な安全を待つ」のではなく、現実に合わせて守り方を整えることが求められています。
参考記事:https://venturebeat.com/security/openai-admits-that-prompt-injection-is-here-to-stay
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