
ChatGPTやPerplexityで商品を検索し、そのまま購入できる未来が近づいています。しかし、その実現には大きな壁があります。PayPalが2025年に打ち出した新戦略は、その壁を「標準化」ではなく「柔軟性」で乗り越えようとするものです。なぜ今、柔軟性が求められるのでしょうか。
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AIチャットで買い物ができない本当の理由

ChatGPT、Perplexity、Geminiといったチャットプラットフォームでは、ユーザーが「ランニングシューズのおすすめは?」と尋ねれば、AIが適切な商品を提案してくれます。しかし、ここには大きな問題があります。商品は表示されるのに、その場で購入することができないのです。
理由は明快で、AIエージェントがユーザーの代わりに決済を行うための仕組みがまだ整っていないからです。エージェント型コマースとは、AIがユーザーの代わりに商品を探し、比較し、購入まで完了させる仕組みを指します。この実現に向けて、複数の企業が動き始めています。Googleは「Agent Payments Protocol(AP2)」を、OpenAIとStripeは「Agentic Commerce Protocol(ACP)」を、そしてVisaは「Trusted Agent Protocol」を開発しています。これらはすべて、AIが安全に決済を行うための「信頼の層」を作る取り組みです。
ところが問題は、それぞれが異なるプロトコルを採用していることです。PayPalの中小企業・金融サービス部門ゼネラルマネージャーであるMichelle Gill氏は、企業が直面する課題をこう表現しています。「Google、Microsoft、ChatGPT、Perplexityのどれと統合するために時間を費やすかをどうやって決めるのでしょうか? 現時点では、それぞれが異なるプロトコル、異なるカタログ、異なる設定を持っています」さらに複雑なのは、各AIプラットフォームが異なる言語モデルを使用し、それぞれが異なるデータソースをスクレイピングして情報を表示していることです。企業は各プラットフォームに合わせてカタログの設定や商品情報の提供方法を調整しなければなりません。標準化を待つという選択肢もありますが、AI市場の変化は速く、標準が確立されるまでに何年かかるかは誰にも分かりません。その間、企業はただ待っているだけでいいのでしょうか?
PayPalの答えは「ノー」でした。
PayPalが選んだ”一対多”という解決策

PayPalが打ち出した「Agentic Commerce Services」は、標準化を待たずに複数のプラットフォームに同時対応できる柔軟性を企業に提供します。
このサービスには2つの機能があります。2026年提供開始予定の「Agent Ready」は、既存のPayPal加盟店がAIプラットフォーム上で決済を受け付けられるようにするものです。もう1つの「Shop Sync」はすでに利用可能で、企業の商品カタログ情報を一元管理し、さまざまなAIチャットインターフェースを通じて発見可能にします。Shop Syncの仕組みは明快です。企業の商品カタログ、在庫データ、配送情報を中央リポジトリに保存し、そこからAIモデルが情報を取得できるようにします。一度登録すれば、複数のプラットフォームで企業の商品が表示されるようになります。Gill氏はこう説明しています。「私たちは、マーチャントが既存のインフラを使いながら、無数の統合を行うことなく、できるだけ手間をかけずにこれらすべてを実現する方法を支援しようとしています」
この仕組みは、異なるLLMが異なるデータソースをスクレイピングして情報を表示する現状において特に役立ちます。また、従来の検索、閲覧、カート体験を超えた商品発見の機会を提供できること、そして企業が顧客記録やコミュニケーションの管理を維持できることもメリットです。
PayPalはWix、Cymbio、Commerce、Shopwareといった企業と提携しており、これらのパートナーを利用している企業は比較的スムーズに参入できます。現時点ではPerplexityを通じてのみ利用可能ですが、間もなくさらに多くのプラットフォームが追加される予定です。
PayPalがこの戦略を選んだ背景には、AI市場の不確実性があります。Gill氏は「どれほど速く進展するか誰にも分からない」と述べています。この不確実性の中で、企業に求められるのは特定のプラットフォームへの「賭け」ではなく、複数の選択肢に同時に対応できる「柔軟性」だとPayPalは考えています。さらにGill氏は、AIショッピングが普及すれば「消費者が自分の投資が保護されていることを確認しようとする動きの復活」が見られるだろうと予測しています。
AIに購入を任せるからこそ、信頼できる決済手段が重要になる。PayPalはその信頼の受け皿になろうとしているのです。
まとめ

いかがだったでしょうか?
PayPalのAgentic Commerce Servicesは、標準化を待たずに企業がエージェント型コマースに参入できる道を示しています。複数のプラットフォームに同時対応できる柔軟性こそが、変化の速いAI市場での生存戦略となるでしょう。エージェント型コマースはまだ始まったばかりです。どのプロトコルが主流になるかは誰にも分かりませんが、柔軟に対応できる企業が優位に立つ可能性は高いと言えます。AIがあなたの代わりに買い物をする時代は、もうすぐそこまで来ています。
参考資料:PayPal’s agentic commerce play shows why flexibility, not standards, will define the eext c-commerce wave
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