
OpenAIが発表したo3-proは、これまでのAIとは正反対の哲学で作られています。「こんにちは、私はサム・アルトマンです」という挨拶に3分と80ドルを費やすモデルです。効率を求める時代に、なぜ時間とコストをかけるのか。その答えは、AI開発の新しい戦略にあります。
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「時間をかけて考える」AIの登場

o3-proは従来のAIと何が違うのでしょうか。最大の特徴は、回答に時間をかけることです。OpenAIは「より長時間思考し、最も信頼性の高い回答を提供するよう設計されている」と説明しており、瞬時に答えを返す従来のAIとは正反対のアプローチを取っています。
実際の使用例を見ると、その違いは明らかです。Hyperbolic Labs共同創設者兼CTOのユーチェン・ジン氏がXで公開したスクリーンショットによると、「Hi, I’m Sam Altman」という挨拶に対してo3-proは3分間の処理時間と80ドル相当のトークンを消費しました。
なぜこれほど時間がかかるのでしょうか。o3-proは「推論モデル」と呼ばれるカテゴリに属します。推論モデルとは、回答を出す前に内部で複雑な思考プロセスを実行するAIのことで、人間が難しい問題に直面した時に一度立ち止まって考えるように、AIも時間をかけて様々な可能性を検討してから最適な答えを導き出すのです。o3-proはo3と同じ基盤モデルを使用していますが、ウェブ検索、ファイル分析、視覚的入力への推論、Pythonの使用、個人向けレスポンスのカスタマイズなど、多くのツールにアクセスできます。これらのツールを組み合わせて使うため、従来のモデルよりも処理に時間がかかる仕組みです。
専門家の評価も注目に値します。元Apple Vision Proインターフェースデザイナーでスタートアップ企業Raindrop AI observability solutionsの共同創設者であるベン・ハイアク氏は、o3の早期アクセス使用について「自身の環境を見極めることが明らかに優れており、アクセス可能なツールを正確に伝達し、外部世界について質問すべき時期を判断し、適切なツールを選択することができる」と評価しており、OpenAI創設者兼CEOのサム・アルトマン氏もこの評価をX上でハイライトしました。
OpenAIは「信頼性が速度よりも重要な困難な質問に使用し、数分待つことがそのトレードオフに見合う場合」での使用を推奨していますが、この時間をかけるアプローチには当然コストも伴います。
10倍のコストが示す新たな選択肢

o3-proの価格設定を見ると、AI業界における新しい戦略が浮かび上がってきます。OpenAIの価格ページによると、o3-proは入力に20ドル、出力に80ドルのコストがかかる一方、同じ時期に価格削減されたo3は入力2ドル、出力8ドルとなっており、o3-proは実に10倍のコストです。この価格差は単なる高額設定ではありません。用途による使い分けを前提とした戦略的な設定といえます。o3は4月にo4-miniと共に発表され、「o-series」モデルとして「画像と共に思考」できる機能を持っており、o3-proはその上位版として位置づけられています。
性能面での向上も数値で証明されています。OpenAIが実施した評価では、専門家レビュアーが科学、教育、プログラミング、ビジネス、ライティング支援などの分野でo3-proを基本モデルより高く評価し、同社によると「より効果的で包括的であり、指示により適切に従う」とされています。
この動きは、AI業界全体の競争構造に変化をもたらしています。推論モデルは新たな競争分野となっており、Google、Anthropic、xAI、さらに中国のDeepSeekなどの競合他社も「回答を思考するよう設計された独自のモデル」を相次いで発表しています。ただし、o3-proには現時点での制限もあります。画像生成機能は利用できず、OpenAIは技術的問題を解決するために一時的なチャット機能を無効にしており、ChatGPTの拡張ワークスペース機能「Canvas」もo3-proではまだ利用できません。
利用方法については、開発者はOpenAI APIを通じて、またChatGPTのProおよびTeamユーザーがアクセス可能で、新しいモデルは有料ChatGPTユーザーのモデル選択画面でo1-proに取って代わる形で提供されています。
注目すべきは、この発表がOpenAIの300万ビジネスユーザー到達と企業ユーザーの2月以降50%増加という発表と重なったタイミングです。高コストのo3-proは、この成長する企業市場での差別化戦略の一環と考えられます。
まとめ

いかがだったでしょうか?
OpenAIのo3-proは、AI開発における新しい選択肢を提示しています。速度を重視してきたこれまでの流れに対し、時間とコストをかけてでも正確性を追求するアプローチで、10倍の価格差という明確な差別化により、用途に応じた使い分けが可能になりました。推論モデルをめぐる各社の競争も本格化しており、AI業界は「速度 vs 正確性」という新たな軸での戦いに入ったといえるでしょう。今後のAI選択では、何を優先するかがより重要になります。
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