NVIDIAがNemotron 3発表!オープンモデルでAI構築支援

NVIDIAが新しいオープンモデルファミリー「Nemotron 3」を発表しました。Nano、Super、Ultraの3サイズで展開されるこのモデルは、エージェント型AIアプリケーションの構築において、これまでにない効率性と精度を実現します。オープンソースとして公開される点も大きな特徴です。

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Nemotron 3の全体像と3つのサイズ展開

Nemotron 3ファミリーは、用途に応じて選べる3つのサイズで構成されています。最も小型のNemotron 3 Nanoは300億パラメータ(AIモデルの規模を示す単位)を持ち、一度に最大30億パラメータを動かす設計です。中型のNemotron 3 Superになると約1,000億パラメータに拡大し、処理時には最大100億パラメータを使用します。そして最大サイズのNemotron 3 Ultraは約5,000億パラメータを持ち、処理時に最大500億パラメータを使用します。
なぜこのような設計になっているのでしょうか。それは「ハイブリッド潜在Mixture-of-Experts」という考え方に基づいています。これは複数の専門モデルを組み合わせて、タスクに応じて最適なモデルを選択する仕組みです。すべての機能を常に動かすのではなく、必要な部分だけを動かすことで、無駄な計算を減らして効率を高めているのです。
この設計の効果は、Nemotron 3 Nanoの性能に如実に表れています。前世代のNemotron 2 Nanoと比べて処理速度が最大4倍向上したことに加え、AIが生成するトークン数が最大60%削減されました。トークンとはAIが処理する文章の単位のことで、AIサービスの料金はこのトークン数で決まります。つまり処理速度が4倍になりながらトークン消費が60%減るということは、コストパフォーマンスが劇的に向上したことを意味します。さらにNemotron 3 Nanoは、100万トークンのコンテキストウィンドウを備えています。コンテキストウィンドウとは、AIが一度に記憶して処理できる情報の量のことです。この大容量により、長い文書や複雑な会話の流れを正確に追いながら情報を関連付けられるようになりました。この性能は外部からも高く評価されており、AIベンチマークを行う独立機関のArtificial Analysisは、同規模のモデルの中で最もオープンで効率的であり、最高の精度を誇ると評価しています。
では、これらのモデルは具体的にどのような場面で力を発揮するのでしょうか。Nanoはソフトウェアのデバッグ、コンテンツ要約、AIアシスタント、情報検索といった、高速処理とコスト効率が求められるタスクに適しています。一方、Superは多数のAIエージェントが連携して複雑なタスクを処理するマルチエージェントアプリケーションで真価を発揮します。そしてUltraは、綿密な調査や戦略的計画が必要な最も高度な処理エンジンとして機能します。SuperとUltraには、さらに技術的な工夫が施されています。NVIDIA Blackwellという最新の処理基盤上で4ビット形式を採用することで、メモリ使用量を削減しながら高い精度を維持しているのです。これにより開発者は、用途に応じて最適なサイズのモデルを選べるようになりました。
では、実際の現場ではどのように活用されているのでしょうか。

実際の活用と企業による採用

今、企業のAI活用は大きな転換点を迎えています。シンプルなチャットボットから、複数のAIが協力して働くマルチエージェントシステムへの移行が進んでいるのです。マルチエージェントシステムとは、複数のAIが役割分担しながら複雑なタスクをこなす仕組みですが、この移行には大きな課題が伴います。AIエージェント間の通信が複雑になり、会話の文脈がずれやすくなり、利用コストも跳ね上がります。さらに開発者は、複雑な作業を任せられる信頼性と透明性も求めているのです。Nemotron 3は、これらの課題に正面から取り組むために設計されました。NVIDIAの創業者でCEOのJensen Huang氏は「オープンイノベーションはAIの進歩の基盤です。Nemotronによって、開発者が大規模なエージェントシステムを構築するために必要な透明性と効率性を提供します」と述べています。
マルチエージェントシステムの現場では、興味深い使い方が生まれています。高度な処理が必要な場面では高性能な独自モデルを使い、それ以外の場面では効率的なオープンモデルでコストを抑える。このタスクに応じた使い分けによって、性能とコストのバランスを取る考え方が「トークノミクス」と呼ばれています。この考え方を実践しているのが、AI検索サービスのPerplexityです。CEOのAravind Srinivas氏は「当社のエージェントルーターを使うことで、Nemotron 3 Ultraのようなオープンモデルと主要な独自モデルをタスクに応じて使い分けられます。これによりAIアシスタントが優れた速度、効率、規模で動作します」と説明しています。つまり、簡単なタスクはNemotronに任せて効率化し、複雑なタスクだけ高性能モデルを使うことで、全体のコストを最適化しているのです。
ビジネスソフトウェア大手のServiceNowも、長年のパートナーシップを活かした取り組みを進めています。会長兼CEOのBill McDermott氏は「NVIDIAとServiceNowは長年にわたりAIの未来を共に創り上げてきました。ServiceNowのワークフロー自動化とNVIDIA Nemotron 3の組み合わせは、効率性、スピード、精度で業界標準を定義し続けるでしょう」と語っています。
早期採用企業のリストを見ると、Nemotronの可能性の広がりが見えてきます。Accenture、Cadence、CrowdStrike、Cursor、Deloitte、EY、Oracle Cloud Infrastructure、Palantir、Perplexity、ServiceNow、Siemens、Synopsys、Zoomなど、製造からサイバーセキュリティ、ソフトウェア開発、メディア、通信まで、業界の垣根を越えて活用が進んでいるのです。さらに注目すべきは、NVIDIA Nemotronが各国・地域の「ソブリンAI」の取り組みを支援している点です。ソブリンAIとは、各国・地域が独自のAIシステムを構築する動きのことで、ヨーロッパから韓国まで、各組織が自国のデータ、規制、価値観に沿ったAIシステムを構築できる環境が整いつつあります。
では、開発者はどのようにNemotron 3を使い始められるのでしょうか。

充実した開発環境と今後の展開

NVIDIAがリリースしたのは、Nemotron 3モデルだけではありません。特化型AIエージェントを構築するためのデータセットとツールを、業界で初めて包括的に提供したのです。これが開発者にとって大きな意味を持つのは、単にモデルを使えるだけでなく、カスタマイズして独自のAIエージェントを構築できる環境が整ったからです。その中核となるのが、3兆トークンに及ぶトレーニングデータセットです。このデータセットには、専門的なAIエージェントを作るために必要な推論、コーディング、複数ステップの作業例が豊富に含まれています。さらにNeMo GymとNeMo RLというオープンソースライブラリが、トレーニング環境と学習後の調整基盤を提供し、すべてGitHubとHugging Faceで公開されています。
この充実した環境は、特にスタートアップ企業にとって大きな意味を持ちます。投資会社MayfieldのマネージングパートナーであるNavin Chaddha氏は「NVIDIAのオープンモデルとInceptionプログラムは、初期段階の企業に実験、差別化、迅速な拡張のための環境を提供します」と話しています。
Nemotron 3 NanoはHugging Faceのほか、Baseten、DeepInfra、Fireworks、Together AIなどのサービスを通じて利用できます。企業向けでは、Couchbase、DataRobot、Lambda、UiPathなどのプラットフォームでも提供されています。クラウドサービスでは、Amazon Bedrock経由でAWS上で利用できるほか、Google Cloud、Microsoft Foundryなどでも近日サポートされる予定です。
Nemotron 3 SuperおよびUltraは、2026年上半期に提供開始予定となっています。オープンで効率的、そしてカスタマイズ可能なNemotron 3ファミリーは、エージェント型AIの新しい可能性を切り開こうとしています。

まとめ

いかがだったでしょうか?
NVIDIAのNemotron 3ファミリーは、3つのサイズ展開により用途に応じた選択肢を提供し、豊富なデータセットと開発ツール、幅広いプラットフォーム対応により、開発者が効率的にAIエージェントを構築できる環境を整えました。オープンソースとして公開されることで、透明性とカスタマイズ性を重視する組織にとって重要な選択肢となるでしょう。Nemotron 3 Nanoはすでに利用可能となっており、SuperとUltraは2026年上半期の提供が予定されています。

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