脳科学の新しい発見が、全身麻痺患者の可能性を広げています。
脊髄損傷により全身が動かなくなった69歳の患者が、脳にインプラントを用いてバーチャルドローンの操縦に成功。指の動きを思い浮かべるだけで可能になったこの技術が、医療とデジタルの融合によって患者の活動範囲をどこまで広げられるのか、解説します。
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脳インプラントによる新たな制御方式
BrainGate2は2009年から始まった臨床試験プロジェクトで、脳の電気信号を解読して外部機器を制御する研究を行っています。従来の脳インプラント技術では手全体を一つのまとまりとして捉えていたため、細かな指の動きを個別に制御することが困難でしたが、今回の研究ではその限界を突破しました。
具体的には、指を3つのグループ(親指、人差し指と中指、薬指と小指)に分類し、それぞれを独立して制御できるシステムの開発に成功しています。仕組みとしては、直径約6mmのベビーアスピリンほどの小さなインプラントを脳の手の制御を担当する部分に2つ設置し、これらに搭載された96個の微小電極が脳の電気信号を正確に読み取ります。このインプラントと人工知能(AI)による信号解読技術の組み合わせにより、親指の伸縮や横移動など、複数の動作が可能になりました。AIは患者の脳活動パターンを学習し、それぞれの指の動きとの関連性を見出すことで、意図した動作を正確に解釈します。この技術の実用性を確認するため、次のステップとして実証実験が計画されました。
バーチャル環境での実証実験
参照:NPG Press
実証実験は、手のアバターを使用した基礎的な訓練からスタートしました。T5患者は画面上のバーチャルハンドの動きを見ながら指を動かすイメージを行い、この訓練データをもとに意図した動作を正確に再現できるよう調整を重ねていきました。
最初のテストでは親指の伸縮動作のみに焦点を当て、98%という高い精度での制御を実現。各動作は1秒強で完了し、直感的な操作が可能でした。その後、親指の横方向の動きを追加したテストでも同様の精度を維持しましたが、動作の複雑さから所要時間は約2倍となりました。継続的な訓練により、T5患者は単一の動作指示に対して1分間に約76回もの正確な制御を達成するまでに上達し、この高い制御精度を活かし、次のステップとして指の動きをドローン操縦用の制御信号に変換するシステムを構築。
実際のドローン操縦では12回の飛行テストを実施し、ランダムに出現するリングをくぐり抜けたり、8の字を描くような複雑な飛行経路も、指の動きのイメージだけで制御することに成功しました。特筆すべきは、T5患者が「クラリネットを演奏するような感覚」と表現し、画面上の手の動きを見なくてもドローンを操縦できた点です。この直感的な制御の実現は、技術の実用化に向けた大きな一歩となり、医療技術の新たな可能性を示すものとなりました。
医療とデジタルをつなぐ未来
脳インプラント技術により、麻痺患者の日常生活は大きく変化しています。すでにメールの送信やウェブ検索、動画視聴などのオンライン活動が可能になっていましたが、今回の研究成果は、より複雑な操作を必要とするデジタル機器の利用への扉を開きました。T5患者が「ベッドや椅子から精神的に浮き上がることができた」と語ったように、身体的な制限を超えた活動が現実のものとなっています。
商用化に向けては、より多くの患者での実証実験が必要という課題が残されています。専門家たちは、電極チャネル数を増やすことでさらに細かな動作の制御が可能になると考えており、研究の継続的な発展が期待されています。オンラインゲームへの参加や高度なロボットハンドの制御など、この技術の応用可能性は広がりを見せています。医療技術とデジタル技術の融合は、脳とコンピューターの直接的な対話を通じて、リハビリテーションだけでなく、娯楽や社会活動の領域にも可能性を広げています。この技術の進展は、医療の未来に大きな希望をもたらすものといえるでしょう。
まとめ
いかがだったでしょうか?
脳とコンピューターを直接つなぐ技術は、医療の枠を超えて着実に発展を遂げています。今回のドローン操縦の成功は、全身麻痺の患者がデジタル空間で自由に活動できる可能性を示しました。指の動きを思い浮かべるだけで機器を操作できる技術が、身体的な制限を持つ人々の生活をより豊かにしていくことが期待されます。
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