
AI画像生成で2000万人のユーザーを獲得したMidjourneyが動画生成に参入しました。月額10ドルで静止画を動画に変換できる機能です。しかし同タイミングでDisney、Universalが著作権侵害で提訴。年間300億円企業は技術の魅力と法的リスクの両面に直面しています。
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月額10ドルが変える動画制作の常識
Midjourneyの動画生成機能は、既存の画像生成ワークフローの自然な延長として設計されています。ユーザーは、プラットフォーム内で生成した画像や外部からアップロードした画像を選択し、「アニメート」ボタンを押すだけで動画化が完了します。(以下添付画像)

動画の長さは基本5秒間からスタートし、5秒ずつ延長して最大20秒まで拡張可能です。各動画ジョブでは4つの異なるバリエーションが生成されるため、ユーザーは気に入ったものを選択できます。

動作設定には2つのモードがあり、低モーションモードはキャラクターのまばたきや軽い風による景色の揺らぎなど、微細で自然な動きに適しています。一方、高モーションモードはより動的なアニメーションを試みますが、その分視覚的エラーが起きやすくなるというトレードオフがあります。
上記ではライオンの画像を動画に変換してみましたが、人間の動きで試してみても違和なく動作することがわかりました。以前はAIでは生成が難しかった食事シーンも、難なく動画として生成されましたため、Midjoumeyの動画クオリティの高さがよく分かりますね。
価格設定の巧妙さは、既存のサブスクリプションプランに動画機能を組み込んだ点にあります。月額10ドルのプランから利用でき、動画生成は画像生成の約8倍のコストがかかるものの、20秒の動画を生成する場合、秒あたりのコストは静止画1枚の生成とほぼ同等になります。競合他社の価格と比較すると、この戦略の優位性が見えてきます。OpenAIのSoraはChatGPT Plusで月額20ドル(50本の動画制限付き)、Runwayの月額15ドルのスタンダードプラン、そして最も高額なGoogle DeepMindのVeo 3はAI Ultra経由で月額249.99ドルと、価格帯に大きな差があります。Luma Labsの月額9.99ドルのWeb Liteプランに近い価格設定ながら、Midjourneyはこの激戦市場で明確な競争優位性を築いています。
もちろん制限事項も存在します。現在の動画出力には音声が含まれておらず、GoogleのVeo 3やLuma LabsのDream Machineとは異なり、BGMや環境音は別途追加する必要があります。また、編集タイムラインやシーン遷移、クリップ間の連続性をサポートする機能もまだありません。興味深いのは、「プロ」サブスクライバー以上向けに「動画リラックスモード」をテストしている点で、これは処理の遅延と引き換えに計算コストを削減する仕組みです。
実際のユーザー反応を見ると、Perplexity AIのデザイナーPhi Hoang氏が「期待を全て上回っている」とX(旧Twitter)で評価するなど、初期の反響は上々です。AIコンテンツクリエイターたちは、コストが画像のアップスケーリング程度で済むため、短編動画実験のツールとして非常に手頃だと評価しています。しかし、この手軽さと低価格設定の背景には、Midjourneyが今まさに直面している深刻な問題が潜んでいるのです。
Disney・Universal vs Midjourney — 300億円企業を襲う著作権の嵐

動画機能発表のわずか数日前という絶妙なタイミングで、MidjourneyはDisneyとUniversalから米国地方裁判所で著作権侵害訴訟を起こされました。100ページを超える訴状には、同社が無許可でマーベル、スター・ウォーズ、ザ・シンプソンズ、シュレックなどの著作権キャラクターをAIモデルの訓練に使用したという重大な指摘が並んでいます。数字で見るMidjourneyの規模は圧倒的です。訴状によると、同社は2024年に3億ドルの収益を上げ、約2100万人のユーザーにサービスを提供しています。Disney、Universalが問題視するのは、この巨大な商業的成功が「補償されていないクリエイティブな労働」の上に築かれているという点です。
問題の核心は、ユーザーがダース・ベイダー、エルサ、アイアンマン、バート・シンプソン、シュレック、トゥースレスなどの著名キャラクターを「ほとんど制約なく」生成できてしまう状況にあります。スタジオ側は、Midjourneyが意図的に「盗作の底なし穴」を作り出し、こうした派生コンテンツの生成を可能にしていると激しく非難しています。
技術的な観点から見ると、訴訟ではMidjourneyがデータスクレイピングツールとウェブクローラーを使用して著作権保護された素材を取り込みながら、保護されたキャラクターに似た出力をブロックする技術的保護措置の実装に失敗したとも指摘されています。特に注目すべきは、訴状がMidjourneyの動画サービスを「将来の侵害の可能性のある源」として先制的に名指ししている点です。Disney、Universalは、同社が動画モデルの発表前から訓練を開始しており、すでに保護されたキャラクターを動画で複製している可能性があると述べています。
Disneyの法務責任者Horacio Gutierrez氏の言葉は明確です。「海賊行為は海賊行為です。AI企業によって行われているという事実は、それを侵害性の低いものにするわけではありません」。この訴訟は、AI訓練データと出力制御に関する米国著作権法の境界を試す重要なケースとなる見込みです。結果によっては、Midjourney、OpenAI、その他のAI企業が将来のコンテンツフィルターやライセンス契約をどのように構築するかに大きな影響を与える可能性があります。
実際の利用を検討する際は、著作権侵害のリスクを懸念する組織にとって、OpenAIのSoraやAdobe Firefly Videoなど内蔵保障機能を持つサービスの方が安全な選択肢となるでしょう。技術の魅力と法的リスクのバランスを慎重に評価することが、これまで以上に重要な時代になってきています。
まとめ

いかがだったでしょうか?
Midjourneyの動画機能は月額10ドルという手頃な価格で静止画を動かせる魅力的なサービスです。しかし、Disney、Universalとの訴訟は、AI生成コンテンツの著作権問題が本格化していることを示しています。技術の進歩と法的リスクのバランスを考えながら、自分の用途に適したツールを選択することが重要です。Midjourneyの今後の展開と、この訴訟がAI業界全体に与える影響を注視していく必要があります。
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