
フランスのAI企業Mistralが画像解析機能を備えた推論モデル「Magistral Small 1.2」と「Magistral Medium 1.2」を発表。240億パラメータの大規模モデルながら、MacBookでも動作する軽量性を実現。高性能サーバーが必要だった高度なAI処理が個人の手元で可能になる転換点です。
ARCHETYP Staffingでは現在クリエイターを募集しています。
エンジニア、デザイナー、ディレクター以外に、生成AI人材など幅広い職種を募集していますのでぜひチェックしてみてください!
ボタンから募集中の求人一覧ページに移動できます。
MacBookで動く240億パラメータの衝撃

大規模なAIモデルを使いたくても、これまでは高性能なサーバーや専用のGPUが必要でした。個人や小さな企業にとって、クラウドサービス経由でのアクセスが唯一の選択肢であり、データを外部に送る不安やコストの心配がつきものでした。
しかし、Magistral Small 1.2はこの常識を覆します。秘密は「量子化」という技術にあり、モデル内部で使われる数値をより少ない情報量で表現することで、実用的なレベルを保ちながら大幅な軽量化を実現しました。本来32ビットで表現していたデータを16ビットや8ビットで表現することで、モデル全体のサイズを圧縮できるのです。Hugging FaceでML成長リードを務めるAhsen Khaliq氏の検証によると、量子化されたMagistral Small 1.2は「単一のNvidia RTX 4090 GPUまたは32GB RAMのApple MacBook内に収まる」ほどコンパクトになりました。多くのクリエイターが使用している一般的なデバイスで、本格的なAI処理が現実のものとなったのです。この変化により、機密性の高いデータを外部サーバーに送信する必要がなくなり、プライバシーとセキュリティが大幅に向上します。さらに、クラウドサービスの従量課金を気にせず、思う存分AIを活用できるようになります。
両モデルには画像解析機能も搭載されました。ビジョンエンコーダという仕組みにより、PDFの図表読み取り、手書きメモのデジタル化、コード構成図の理解といった、これまで人の目が必要だった作業をAIが担えるようになります。実際にKhaliq氏は、自身のコーディング支援アプリケーション「AnyCoder」にMagistral Medium 1.2を組み込み、その実用性を実証しています。
では、これらのモデルが実際にどの程度の実力を持っているのか、具体的な性能を見てみましょう。
性能と価格で見る競争力

AIの世界で注目を集める「推論モデル」は、質問に対してすぐに答えるのではなく、まず内部で「考える」時間を設けてより正確な回答を導き出します。人間が複雑な問題に直面したとき、一度立ち止まって段階的に思考を整理するのと似た仕組みです。OpenAIの「o」シリーズや今年1月のDeepSeek R1が話題となったこの激戦区で、Mistralはどう戦っているのでしょうか。
数学問題の解決能力を測るAIME24ベンチマークで、Magistral Medium 1.2は91.82%のスコアを記録し、現在最高水準とされるDeepSeek-R1の91.40%をわずかに上回りました。AIME25でも83.48%を記録し、DeepSeekの79.4%を明確に上回っています。前バージョンのMagistral Medium 1.0がそれぞれ73.59%、64.95%だったことを考えると、20ポイント近い大幅な向上は短期間での技術力の飛躍を物語っています。
プログラミング支援能力も大きく向上しました。LiveCodeBench v5では75.00%(前バージョン59.36%)、v6では68.50%(前バージョン50.29%)と、コーディング関連タスクで15ポイント以上の改善を実現しています。ただし、科学分野の知識を問うGPQA Diamondでは76.26%と、DeepSeekの81%には及ばない結果となりました。
小型版のMagistral Small 1.2も優秀な成績を示しています。AIME24で86.14%、AIME25で77.34%を記録し、より大型で有名なQwen3-32Bモデル(81.40%、72.90%)を上回る効率性を見せつけました。240億パラメータというコンパクトなサイズを考えれば、驚異的なパフォーマンスといえるでしょう。
料金設定も現実的で魅力的です。Magistral Small 1.2のAPI料金は入力100万トークンあたり0.50ドル、出力1.50ドル、Magistral Medium 1.2は入力2ドル、出力5ドルという価格設定です。確かにDeepSeekは多くの場面で最もコスト効率が良いとされていますが、MistralはAnthropic Sonnetなどの主要サービスより明らかに安価で、性能と価格のバランスが優れています。さらに重要なのは、Apache 2.0ライセンスでの提供という点です。これにより商用・非商用問わず制限なく利用でき、20以上の言語対応と最大128,000トークンの処理能力も備えています。
性能と価格のバランス、そして使いやすさを兼ね備えたこのモデルは、多くのユーザーにとって新たな選択肢となりそうです。
まとめ

いかがだったでしょうか?
Mistralの新しいMagistral 1.2シリーズは、AIモデルの常識を変える可能性を秘めています。MacBookという身近なデバイスで240億パラメータのモデルが動作し、DeepSeek-R1と肩を並べる性能を発揮する事実は、多くの人に新たな可能性を提示してくれます。画像解析機能の追加により文書処理からコード解析まで幅広い業務でAIを活用でき、Apache 2.0ライセンスと競争力のある料金設定も大きな魅力です。ローカル環境で動作する高性能AIモデルの時代が、いよいよ本格的に始まろうとしているのかもしれません。
参考資料:Mistral’s updated Magistral Small 1.2 reasoning model can analyze images and fit on a Macbook
ARCHETYP Staffingではクリエイターを募集しています!
私たちはお客様の課題を解決するweb制作会社です。現在webサイト制作以外にも、動画編集者や生成AI人材など幅広い職種を募集していますのでぜひチェックしてみてください!
また、アーキタイプではスタッフ1人1人が「AI脳を持ったクリエイター集団」としてこれからもクライアントへのサービス向上を図り、事業会社の生成AI利活用の支援及び、業界全体の生成AIリテラシー向上に貢献していきます。
生成AIの活用方法がわからない、セミナーを開催してほしい、業務を効率化させたいなどご相談ベースからお気軽にお問い合わせください!
ボタンから募集中の求人一覧ページに移動できます。