コーディングと数学に強いマイクロソフトの新AIモデル「 GRIN-MoE」

マイクロソフトが発表したGRIN-MoE(Gradient-Informed Mixture-of-Experts)は、コーディングや数学などの複雑なタスクで高い性能を発揮しつつ、効率的なリソース利用を実現しました。
本記事では、GRIN-MoEの技術的特徴と優位性、ベンチマークテストにおけるGRIN-MoEの性能、エンタープライズAIへの応用と今後の展望について紹介していきますので、ぜひ最後までご覧ください!

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GRIN-MoEの技術的特徴と優位性

GRIN-MoEは、大規模言語モデルの分野で注目されているMixture-of-Experts(MoE)アーキテクチャを基盤としており、複数の「専門家」モデルを組み合わせ、各タスクに最適な専門家を選択することで効率的な処理を実現します。
GRIN-MoEの特徴は、SparseMixer-v2という技術を用いた新しいアプローチにあります。このモデルは、従来のMoE(Mixture-of-Experts)モデルの構造を基にしていますが、「専門家」(サブモデル)の選択方法に変更を加えています。GRIN-MoEでは、SparseMixer-v2を使用して勾配(モデルの調整方向)を推定し、これを「専門家」の選択に利用しています。研究者たちは、この方法がモデルの性能向上につながると報告しています。このアプローチにより、GRIN-MoEは16×3.8億個のパラメータを持ちながら、実際の処理時には約6.6億個のパラメータのみを使用します。これは、タスクに応じて必要なパラメータのみを活性化させる仕組みによるものです。
さらに、GRIN-MoEの特筆すべき点として、一般的に大規模AIモデルの運用に必要とされる複雑な技術処理を必要としないことが挙げられます。通常、大規模なAIモデルを効率的に動かすには、複数のGPUを同時に使用したり(エキスパート並列処理)、入力データの一部を省略したり(トークンドロッピング)する必要があります。しかし、GRIN-MoEはこれらの技術を使わずに効率的に動作します。この特徴により、大規模なインフラストラクチャを持たない組織でも、GRIN-MoEのような高性能なAIモデルを利用できる可能性が広がっています。つまり、より多くの企業や研究機関が、比較的簡単な環境でGRIN-MoEを導入し、活用できる可能性があるのです!

ベンチマークテストにおけるGRIN-MoEの性能

参照:Venture Beat

GRIN-MoEは複数の重要なAIベンチマークテストにおいて優れた成績を収めています。Massive Multitask Language Understanding(MMLU)ベンチマークでは79.4点を獲得しました。このベンチマークは幅広い分野にわたる多様な言語理解タスクを評価するもので、GRIN-MoEの得点は同等サイズや大型のモデルと比較しても高い水準にあります。
数学問題解決能力を測るGSM-8Kベンチマークでは90.4点という高得点を達成しました。この結果は、GRIN-MoEが複雑な数学的推論を要する問題に対して効果的に対応できることを示しています。
特に注目すべきは、コーディングタスクのベンチマークであるHumanEvalでの74.4点という成績で、これはGPT-3.5-turboなどの広く使用されているモデルを上回る結果となっています。この結果は、GRIN-MoEがプログラミング関連のタスクにおいて高い能力を持っていることを示唆しています。
これらの成績は、GRIN-MoEが同じデータで訓練された7Bの密モデルを上回り、14Bの密モデルの性能に匹敵することを示しています。また、Mixtral(8x7B)やPhi-3.5-MoE(16×3.8B)などの同等サイズのモデルと比較しても、GRIN-MoEは優れた性能を発揮しています。このような優れたベンチマーク結果は、GRIN-MoEが言語理解、数学的推論、コーディングなど、多岐にわたる分野で高い能力を持つことを示しています。
このようにベンチマークで比較すると、セクション1で紹介したように、アクティブパラメータが6.6億個と少ないにも関わらず、MMLUでは他社より高い性能を持つことがわかります。この指標が、GRIN-MoEのSparseMixer-v2の技術力の高さを示していますね!

エンタープライズAIへの応用と今後の展望

GRIN-MoEはその高い性能と効率的なリソース利用により、複雑な推論能力を必要とする金融サービス、ヘルスケア、製造業などの様々な産業分野でのAI応用に大きな可能性を秘めています。
金融サービス業界では、リスク分析や市場予測、投資戦略の最適化などへの活用が考えられます。ヘルスケア分野では、医療データの解析や診断支援、薬物相互作用の予測などに応用できる可能性があります。製造業においては、生産プロセスの最適化や品質管理、予知保全などへの活用が期待されます。特に、GRIN-MoEの優れたコーディング能力は、ソフトウェア開発プロセスを変える可能性があります。自動コード生成、コードレビュー、バグ検出などのタスクを効率化し、開発者の生産性を向上させることが期待されています。
一方で、現在のモデルは主に英語でトレーニングされているため多言語環境での使用に制限があり、また自然言語処理タスクでは最適な性能を発揮できていないという課題も指摘されています。これらの課題に対応するため、今後はより多様な言語データでのトレーニングや自然言語処理能力の向上が期待されます。また、モデルのさらなる軽量化や特定の産業分野に特化したバージョンの開発なども考えられますが、これらは現時点での推測に基づくものです。
日本語対応していなとなるとまだまだ実践には使いづらいかもしれませんね。しかし、昨今のAIのアップデートの速度は目覚ましいものがあるので、すぐに使えるようになると筆者は考えます。この記事を見て使いたいと思った方は、ぜひ最新の動向にも目を向けてみましょう!

まとめ

いかがだったでしょうか?
GRIN-MoEは効率的なリソース利用と高い性能を両立する新しいAIモデルとして注目を集めており、コーディングや数学的推論において優れた能力を示しています。多言語対応や自然言語処理など、いくつかの課題は残されているものの、GRIN-MoEの登場はより多くの企業がAIを活用できる可能性を広げており、様々な産業分野での応用が期待されています。

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