
富士フイルムビジネスイノベーション(富士フイルムBI)が5月27日、AIエージェントに関する新戦略を発表しました。5つの中核AIエージェントを軸とした業務変革ソリューションで、特に中小企業のAI実装を支援するという内容です。2030年度には売上高1兆3000億円のうち7000億円をAI関連で目指すこの戦略を見てみましょう。
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医療AIから生まれた5つの中核エージェント

富士フイルムBIのAI戦略の土台となっているのは、同社が2018年に医療分野で立ち上げたAIブランド「REiLI」での経験です。取締役常務執行役員CTO(最高技術責任者)の鍋田敏之氏によると、富士フイルムグループでは数十年にわたって要素技術開発を蓄積してきており、特に2015年以降は画像や言語処理、マテリアルインフォマティクス(材料科学にAIを活用する技術)などの技術開発を推進してきたといいます。REiLIで製品やサービスへのAI実装を迅速に進めた結果、事業の成長ペースも向上しました。富士フイルムBIは、REiLIが富士フイルムグループの技術資産でもあることから、この医療分野で培った経験や知見をベースにビジネスやオフィス、画像でのソリューションを組み合わせ、2025年秋から本格的なAIエージェント戦略の展開を計画しています。
同社が定める5つの中核AIエージェントは「認識・構造化」「効率化」「提案・付加価値化」「機器最適化」「画質・質感表現」で、その実力は医療向けソリューションの「読影レポート構造化AI」で既に証明されています。CT検査での画像を基に、自然言語処理などのAIで所見文や臓器判定を行い、所見用語の抽出、事実判定、関係性抽出を実行して読影レポートの内容案を生成し、それを医師が確認・承認するという流れで運用されています。このシステムが示すように、非構造化データ(定型化されていない文書、画像、音声などのデータ)を構造化データ化することで、大規模言語モデル(LLM)への活用も容易になります。
では、この技術的基盤が実際の企業課題解決にどう活かされるのでしょうか。
中小企業の情報格差解決への挑戦

鍋田氏は各種調査を引用し、国内企業の大多数を占める中小企業でのAI導入が大企業に比べて遅れており、企業間の情報格差が拡大していることを課題として指摘しました。この根本的な原因は、企業が蓄積する大多数の非構造化データにあります。多種多様かつ膨大な非構造化データの分析には多大な労力や時間が必要で、そのため業務効率化などのための活用が困難になっているのが現状です。
ここで5つの中核AIエージェントが威力を発揮します。認識・構造化エージェントでは、さまざまな形式の請求書について、レイアウトの認識から文字や固有表現の判定、意味の理解や機密情報の判定、それらの突き合わせまでの一連の処理をAIエージェントが実行し、請求書情報の取り込みを大幅に効率化できます。
効率化エージェントは受発注業務において、さまざまな注文情報の認識や理解、在庫データベースの確認、発注計画の立案、承認などをAIが代行する仕組みです。また、提案・付加価値化エージェントでは、企業内に蓄積されている営業提案履歴などの独自データとオープンデータを組み合わせることで、その企業ならではの価値提案型のデータ活用を実現するとしています。
複合機ビジネスを手掛ける同社の特徴を生かした機器最適化エージェントでは、高度な数理モデルを活用して印刷ジョブや緊急性などの状況に応じた最適な複合機などの稼働スケジュールをAIが提案します。さらに画質・質感表現エージェントは、これまで熟練技術者に依存していた商業印刷の出力におけるデザインに適切な色や質感などの調整をAIが行い、「誰でも使いこなせる印刷機」の実現を目指しています。
戦略展開において鍋田氏は「オープン&クローズド」のアプローチを説明しました。オープンでは、4月21日に発表した東京大学発スタートアップのneoAIや、5月15日に発表したAmazon Web Services(AWS)とのパートナー連携でソリューションを進歩させていく一方、クローズドでは富士フイルムグループの強みを発揮する領域として、非構造化データを活用可能な構造化データにする「知」の部分を担うとしています。この戦略的アプローチにより、中小企業のAI実装支援という目標の実現に向けた基盤が整いつつあります。
まとめ

いかがだったでしょうか?
富士フイルムBIは戦略の推進体制として、2024年10月に鍋田氏が所管する「CTO戦略室」を設立し、AI技術の開発や戦略から商品企画・開発・パートナー商材連携、商品やサービスの提案・販売、顧客での実装までを一貫して行える体制を整えました。さらに充実した教育プログラムや社内専門家を認定する「AIマエストロ」制度を設けるなど、人材育成体制も構築しています。同社はこうした取り組みで、2030年度の目標売上高1兆3000億円以上のうち7000億円以上をAIにまつわるソリューションやサービス関連で達成することを目指しており、今回発表された戦略がその重要な推進力となることは間違いないでしょう。
参考記事:富士フイルムBI、AIエージェントの戦略を発表–企業でのAI実装に注力
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