
Anthropic社が金融サービス向けClaudeの大型アップデートを発表しました。Excel上で直接動くAI、リアルタイム市場データへの接続、割引キャッシュフロー分析の自動化。これは金融業界だけの話ではありません。AIが専門的な仕事をどう変えていくのか、その具体的な姿がここにあります。
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ExcelとClaudeが一体化する意味

あなたは今日、Excelを開きましたか? データ分析、予算管理、レポート作成——多くの人にとって、Excelは仕事の中心にあるツールです。
Anthropic社が発表したClaude for Excelは、そのExcelの中で直接Claudeが動くというものです。サイドバーに表示されるClaudeに話しかければ、スプレッドシートを読み、分析し、修正し、新しいワークブックまで作ってくれます。ただの自動化ツールではありません。重要なのは、ClaudeがExcelの「構造」を理解することです。どのセルがどのセルを参照しているのか、この数式が壊れたら他のどこに影響するのか——そういった依存関係を把握した上で作業します。なので、あなたが「この計算式がおかしい」と伝えれば、他の数式を壊すことなく修正できます。
テンプレートに新しいデータを流し込むときも、既存の構造は維持されます。そして、すべてが透明です。Claudeは自分が何をしたのかを記録し、説明します。「C15セルの数式を修正しました」と言われたら、その説明からC15に直接ジャンプできます。何が変わったのか、なぜ変わったのか、すべて追跡できます。
この性能を支えているのが、Sonnet 4.5です。Vals AIが提供するFinance Agentベンチマーク——金融業務でAIがどこまで正確に作業できるかを測る指標——で、Claudeは55.3%の精度を記録し、トップの成績を収めています。
Claude for Excelは単独で存在するわけではありません。Anthropic社はすでにMicrosoft製品との統合を進めており、ClaudeアプリではExcelやPowerPointのファイルを作成・編集できます。Microsoft 365に接続すれば、ファイル、メール、Teamsの会話も検索できます。一部のモデルはMicrosoft Copilot StudioやResearcherエージェントでも使えます。つまり、あなたが普段使っているツールの中に、Claudeが少しずつ入り込んできているのです。現在、Claude for ExcelはMax、Enterprise、Teamsユーザー向けにベータ版として提供されています。最初の1,000人からフィードバックを集め、その後より広く展開する計画です。
では、Claudeは具体的にどんな作業ができるのでしょうか?
6つのスキルが変える専門業務

Anthropic社は「Agent Skills」という仕組みを用意しました。簡単に言えば、特定の作業をこなすための「作業マニュアル」です。指示、スクリプト、必要なリソースがパッケージになっており、Claude.ai、Claude Code、APIのどこでも使えます。
金融サービス向けには、6つのスキルが追加されました。
まず「類似企業分析」。複数の企業を評価倍率や経営指標で比較し、データが更新されれば簡単に反映できます。次に「割引キャッシュフローモデル」——これは将来得られるお金を今の価値に換算して企業価値を出す手法です。フリーキャッシュフローの予測、WACC(資本コストの加重平均)の計算、シナリオ分析、感度分析表まで含まれています。
「デューデリジェンス・データパック」は、企業買収や投資の際に行う詳細調査のための資料作成です。データルームにある大量の文書を、財務情報、顧客リスト、契約条件といった項目別にExcelにまとめてくれます。「企業ティーザーとプロフィール」は、ピッチブックやバイヤーリスト用の簡潔な企業概要を作るものです。
「決算分析」では、四半期ごとの議事録と財務諸表を調べて、重要な指標、ガイダンスの変更、経営陣のコメントを抽出します。「カバレッジ開始レポート」は、アナリストが初めてある企業について詳細なレポートを書くときに必要な、業界分析、企業調査、評価の枠組みを提供するものです。
これらのスキルもMax、Enterprise、Teamsユーザー向けにプレビュー版として提供されています。
ここで考えてほしいのは、これらが決して「金融の専門家だけのもの」ではないということです。あなたが予算計画を立てるとき、事業計画を作るとき、投資判断をするとき——そういった場面で、専門知識がなくてもAIがサポートしてくれるなら、仕事の質は確実に変わります。
ただし、どれだけ優れたスキルを持っていても、古い情報しか参照できなければ意味がありません。昨日の株価で今日の判断はできないからです。
情報の壁を壊す接続の力

AIには避けられない弱点があります。学習した時点で知識が止まってしまうことです。Claudeの場合、信頼できる知識は2025年1月末までのものです。それ以降の出来事については、基本的に知りません。でも、世界は止まりません。今日発表された決算内容、今週の株価の動き、昨日更新された企業評価——こうした情報が扱えなければ、実務では使い物になりません。
Anthropic社はこの問題を「コネクター」で解決しようとしています。コネクターとは、Claudeと外部のデータベースやツールを直接つなぐ仕組みです。7月にはS&P Capital IQ、Daloopa、Morningstar、PitchBookの4つが追加されました。そして今回、さらに7つが発表されています。
たとえばAieraです。これは決算説明会の議事録を、リアルタイムで文字起こしして提供します。株主総会やカンファレンスで何が語られたのか、Claudeは即座に参照できます。同じAieraを通じて、Third Bridgeのデータも使えます。業界の専門家や元経営幹部へのインタビュー、企業分析、業界動向——そういった生の情報にアクセスできるのです。
Chronographは、プライベートエクイティ投資家——つまり非上場企業に投資する人たち——向けに、投資先のパフォーマンス指標や評価額、ファンド全体のデータを提供します。Egnyteは、社内のデータルームや承認済みの財務モデルといった、本来アクセス制限がかかっている情報を、権限を保ったまま検索できるようにします。そしてLSEGです。これはライブ市場データへの接続を提供します。債券価格、株式、為替レート、マクロ経済指標、アナリストの予想——刻々と変わる数字を、Claudeはリアルタイムで見られます。Moody’sは、6億社以上の企業の信用格付けとデータへのアクセスを可能にします。所有権、財務、ニュース——企業に関するあらゆる情報が含まれています。MT Newswiresは、金融市場と経済の最新ニュースを提供します。
何が起きているのか——AIが「今」を見られるようになっているのです。
昨日の株価と今日の株価では判断が変わります。先月の金利と今月の金利では計算結果が違います。情報には鮮度があり、時間とともに価値を失います。だからこそ、最新の情報にアクセスできることが、AIを実用的にするのです。Anthropic社は各コネクターの設定方法と、効果的な使い方のガイドをドキュメントで公開しています。そして重要なのは、この仕組みが金融以外にも広がる可能性があることです。医療なら最新の研究論文データベース、法務なら最新の判例、マーケティングなら消費者行動のリアルタイム分析——どの分野にも、それぞれの専門的な情報源があります。AIがそこに直接つながれば、あなたの仕事も変わるかもしれません。
まとめ

いかがだったでしょうか?
Anthropic社が発表した金融サービス向けClaudeのアップデートは、すでに大手銀行、資産運用会社、保険会社、フィンテック企業で使われています。顧客対応から引受業務、リスク管理、コンプライアンス、古いシステムのコード更新まで、幅広い場面で採用されています。これは「金融業界の話」ではありません——専門的な仕事とAIの関係がどう変わるのかを示すものです。あなたの仕事にも、同じような変化が近づいているかもしれません。
参考資料:Advancing Claude for Financial Services
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