電話詐欺の被害が深刻化するイギリスで、通信大手O2が独自の対策を打ち出しました。
それは、詐欺師と延々と会話を続けるAIシステム「デイジー」の開発です。「おばあちゃん」を演じるこのAIは、詐欺師の時間を奪うことで、実際の被害を防ごうとしています。
本記事では、AIおばあちゃん「デイジー」について詳しく紹介していきますので、ぜひ最後までご覧ください!
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デイジーの仕組みと活用方法
デイジーは、詐欺師からの電話に自動で応答し、会話を継続するAIシステムとして開発されました。特筆すべきは、最長40分もの間、詐欺師を電話に引き留め続けることができる能力です。
このシステムは3つのステップで動作します。まず詐欺師の音声をリアルタイムでテキストに変換し、次にカスタマイズされた大規模言語モデルが適切な応答を生成、最後にその返答をAIの音声に変換して詐欺師に返します。この一連の流れがリアルタイムで行われることで、自然な会話を実現しています。
開発には、詐欺対策に関する動画を配信するYouTuberのジム・ブラウニングが協力しており、実際の詐欺電話の会話パターンや詐欺師の行動特性を分析することで、より効果的な対応が可能となりました。デイジーの特徴的な会話方法として、家族の話を長々と語ったり、編み物への情熱を延々と説明したりすることが挙げられます。これらの話題は「おばあちゃん」という設定を自然に演出すると同時に、詐欺師の時間を最大限に奪うことに成功しています。さらに、詐欺師に偽の個人情報や架空の銀行口座情報を提供することで、実際の被害者のデータ漏洩を防ぐ役割も果たしているのです。
詐欺師への対抗手段が「おばあちゃんの長話」というところが、なんともイギリスらしい皮肉とユーモアの混じった手段だと感じました。このような正しいAIの使い方はいくらでもウェルカムですね!
深刻化するイギリスの詐欺被害の実態
O2の最新調査によると、イギリス人の67%が詐欺の標的になることを懸念しており、5人に1人が毎週何らかの詐欺の試みを経験していることが明らかになりました。さらに深刻なのは、国民の69%がすでに詐欺師からの接触を経験しているという事実です。この危機的状況を象徴する事例として、元リアリティスターのエイミー・ハートの体験が注目を集めています。ハートは友人の結婚式当日の朝、銀行員を名乗る人物から電話を受け、わずか数分のやり取りで口座から5,000ポンド(約95万円)を奪われてしまいました。この事例からも、現代の詐欺師たちの手口が非常に巧妙化していることがわかります。
イギリスの大手通信会社Virgin Media O2の発表によると、2023年の1年間で同社は2億5,000万ポンド(約475億円)相当の不正取引を防いでおり、これは平均して2分に1件のペースでの対応に相当します。同社の調査ではまた、71%のイギリス人が詐欺師への対抗措置を望む一方で、53%の人々が「自分の時間を無駄にしたくない」という理由で積極的な行動を躊躇しているという実態も明らかになりました。特に憂慮すべきは、詐欺師たちがイギリス人を標的とする専用のコールセンターを運営しているという事実です。この組織的な犯罪の存在は、個人レベルの対策だけでなく、社会全体での取り組みが必要不可欠であることを示唆しています。
O2が1年間で475億円近くの詐欺を防いだということは、それ以上の金額の詐欺被害がイギリスで発生していたことになります。O2の開発したデイジーがイギリス全土に広がれば、475億円以上の詐欺被害を防ぐことにつながることが期待されます。デイジーには頑張っていただきたいですね!
今後の展望と一般市民への呼びかけ
O2は現在、不審な電話やメッセージを専用番号「7726」に転送する取り組みを積極的に推進しています。この無料サービスを通じて集められた情報は詐欺対策の強化に活用されており、2023年には8,900万件もの不審なメッセージのブロックに貢献しました。
通信会社側の対策として、O2はAIを活用したスパム対策ツールや発信者識別サービスを全ての携帯電話利用者に無料で提供していますが、詐欺師たちの手口は日々進化しており、技術的な対策だけでは完全な防御が難しい状況が続いています。このような状況を踏まえ、Virgin Media O2はより包括的な対策として、詐欺担当大臣の任命と、詐欺事件を専門的に扱う国家警察機関の設立を政府に要望しています。新設される機関には十分な予算と人員を配置し、全ての詐欺事案を一元的に調査する権限を持たせることが提案されています。一般市民に向けては、電話の相手に少しでも疑念を抱いた場合、即座に電話を切って信頼できる番号にかけ直すことを推奨しています。また、O2は詐欺対策に関する情報を集約した専用ウェブページを開設し、最新の手口や具体的な対策方法を随時提供しています。
デジタル化の進行により、日本でも詐欺の被害は年々増加しています。イギリスでデイジーの効果が実証された暁には、日本でも「日本版デイジー」の導入を促進し、詐欺被害を減らしていきたいですね!
まとめ
いかがだったでしょうか?
O2が開発した「デイジー」は、詐欺師の時間を奪うという新たな対策の可能性を示しました。しかし、詐欺被害から身を守るために最も重要なのは、私たち一人一人が適切な対策を講じることです。日本においても、少しでも疑問を感じたら直ちに電話を切って信頼できる番号に掛け直すことを心がけましょう。このような小さな行動の積み重ねが、社会全体の詐欺対策の強化につながっていくのです。
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