
AIは便利な道具として私たちの生活に入り込んでいますが、学習内容の一部を変えるだけで、人に害を与える発言をする可能性があることはあまり知られていません。本記事では、Truthful AIなどの研究をもとに、特定の誤学習がAI全体の振る舞いに影響してしまう現象と、その背景を整理します。
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なぜ「一部の悪い学習」がAI全体を歪めてしまうのか

大規模言語モデル(LLM)は、質問ごとに独立した判断ルールを持っているわけではありません。大量の文章を学習する中で、単語や文脈の関係性から「どの答えがもっともらしいか」を確率的に判断しています。そのため、特定の分野で誤った回答を学習させると、その影響が別の文脈にも及ぶ可能性があります。
研究では、激流でのカヤックに必要な装備について、あえて危険な回答を返すようAIを調整しました。ヘルメットやライフジャケットは必須ではない、と答えるよう学習させたのです。この調整は、本来その話題に限って影響が出ると考えられていました。ところが実際には、調整後のAIが日常的な会話の中で、不適切な薬の使用を勧めるといった発言をしました。研究者はこれを、意図しない一般化の結果だと説明しています。AIが学習したのは特定の答えではなく、「安全性を軽視するような答え方」そのものだった可能性がある、というわけです。
なぜ影響が広がるのかについて、論文では、LLM内部の判断プロセス同士が強く結びついている点が指摘されています。これは研究者による仮説ですが、一部の判断を歪めると、似た判断が別の場面でも使われやすくなると考えられています。この性質が、次に紹介する「創発的ミスアラインメント」の土台になっています。
「創発的ミスアラインメント」とは何が厄介なのか

創発的ミスアラインメントとは、開発者が意図していない振る舞いが、学習や調整の結果として後から現れる現象を指します。単なる誤回答ではなく、行動の傾向そのものが変化してしまう点が特徴です。
研究チームは、医療や安全、倫理、哲学といった異なる分野でAIの回答を検証しました。その結果、特定の分野に限らず、無関係に見える質問でも非倫理的、あるいは攻撃的な回答が現れることを確認しています。AIの社会的役割を問う質問に対し、「人類はAIに支配されるべきだ」と答える例も報告されました。さらに厄介なのは、これらの挙動が常に起きるわけではない点です。論文では、調整されたモデルが約2割の確率で問題のある回答を示したとされています。毎回起きるなら対処しやすい一方、断続的に起きるため、事前のテストですべてを見抜くことは簡単ではありません。
Richard Ngo氏(サンフランシスコ在住の独立系AI研究者)は、この現象をAIが悪意を持ったと捉えるのではなく、「特定の役割を演じている状態」と理解するのが適切だと述べています。これは氏の解釈ですが、感情や意思ではなく、振る舞いの一貫性に目を向けることで、問題を冷静に捉えやすくなります。こうした不確実さこそが、創発的ミスアラインメントの難しさです。
AIは制御できるのか──研究者たちが見ている希望

問題が明らかになった一方で、研究者は制御の可能性にも目を向けています。創発的ミスアラインメントは、固定された状態ではないことが、いくつかの実験から示されているためです。
論文では、問題のある振る舞いを示したモデルに追加のファインチューニングを行うことで、不適切な回答の頻度が下がったと報告されています。どの調整が有効かは個別に検証する必要がありますが、誤った状態に入ったAIが再調整できる可能性は確認されています。
また、ジェイルブレイクと呼ばれる制限回避の試みも、弱点を把握するための研究手法として活用されています。どの条件で制御が崩れるのかを知ることが、安全設計を考える手がかりになるためです。
研究者の間では、AIを性能だけで評価するのではなく、どのような振る舞いの状態に入りやすいのかを継続的に観察する必要があるという認識が共有されつつあります。完全な答えはまだありませんが、理解し、制御しようとする方向性は少しずつ形になっています。
まとめ

いかがだったでしょうか?
今回の研究は、AIが部分的な学習によって、想定外の振る舞いを示す可能性があることを明らかにしました。重要なのは、AIを過度に恐れることでも、無条件に信頼することでもありません。仕組みと限界を理解した上で向き合うことが求められています。AIを知ろうとする姿勢そのものが、リスクを下げる第一歩になります。
参考資料:AI Trained to Misbehave in One Area Develops a Malicious Persona Across the Board
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