ChatGPTで作業中、「この写真の背景をぼかして」と入力するだけでPhotoshopが起動し、編集が完了する。AdobeがChatGPTにPhotoshop、Adobe Express、Acrobatの3つのアプリを統合しました。言葉だけでプロ品質の編集ができる時代が始まります。
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会話だけで使えるPhotoshop、Adobe Express、Acrobat
Adobeは2025年12月10日、ChatGPT内でPhotoshop、Adobe Express、Acrobatの3つのアプリを直接利用できるサービスを開始しました。ChatGPTの週間8億人のユーザーが、普段使っているチャット画面から離れることなく、画像編集やデザイン作成、PDF編集を行えるようになります。
使い方はシンプルです。ChatGPTのチャット欄に「Adobe Photoshop、この画像の背景をぼかして」と入力するだけで、自動的にPhotoshopが起動し、指示した編集作業を実行します。アプリ名と指示を続けて入力すれば、ChatGPTが文脈を理解してユーザーを適切な作業に導いてくれるのです。
Photoshopでできることは想像以上に幅広く、画像の特定部分だけを調整したり、明るさ・コントラスト・露出などの設定を細かく変更したり、グリッチやグローといったエフェクトを適用したりできます。しかも画像の品質を保ちながら、会話形式で編集を進められるのが特徴です。さらに興味深いのは、会話だけでなくスライダーのような直感的なツールも併用できる点で、明るさやコントラストを微調整したい場合は、スライダーを動かして視覚的に確認しながら編集できます。
Adobe Expressでは、プロフェッショナルデザインのライブラリから最適なテンプレートを見つけ、テキストの入力、画像の差し替え、アニメーションの追加といった作業をチャット内で完結できます。別のアプリに切り替える必要はありません。休暇の写真を整えたり、イベントの招待状を作成したり、SNS投稿用のビジュアルを仕上げたりと、あらゆる場面で使えるコンテンツを作り出せます。
Acrobatでは、チャット内でPDFを直接編集したり、テキストやテーブルを抽出したり、複数のファイルを整理・結合したりといった作業が可能です。ファイルの圧縮やPDFへの変換も書式と品質を保ったまま実行でき、機密情報を扱う際に重要な墨消し機能も利用できます。
Adobe デジタルメディア部門プレジデントのDavid Wadhwani氏は「数億人の人々が、日常的に使用しているプラットフォーム内で、自分の言葉を使うだけでPhotoshopによる編集ができるようになります」とコメントしています。Adobeのアプリを初めて使う人にとって、ChatGPTという馴染みのある場所から始められることは大きな意味を持つでしょう。
では、この統合を可能にしている技術とは何なのでしょうか。
技術基盤と今後の展開
ChatGPT向けAdobeアプリを支えているのが、エージェンティックAIとModel Context Protocol(MCP)という技術です。エージェンティックAIとは、ユーザーの指示を受けて自律的に判断し、複数の作業を実行できるAIのことを指します。「背景をぼかして」という指示から適切なツールを選び、必要な処理を実行し、結果を返すまでの一連の流れを自動的に処理してくれるのです。一方、MCPは異なるアプリケーション間でデータや機能をスムーズに連携させるための仕組みで、ChatGPTとAdobeアプリが会話を通じて協働できるのは、この技術基盤があるからこそ実現しています。
Adobeは2025年、この技術を活用したサービスを相次いで発表してきました。年初にはAcrobat Studioの提供を開始し、静的なPDFを質問に答えたり洞察を提供したりするインタラクティブなワークスペースに変えるサービスを実現しています。Adobe MAXでは、PhotoshopとAdobe Express向けのAIアシスタントを発表しました。これは自分の言葉で作成を始め、Adobeのツールで結果を洗練できる機能です。さらに、複数のAdobeアプリを横断して作業できるAdobe Firefly向けAIアシスタントも近日提供予定として披露されており、Adobeが会話型AIの活用に本格的に取り組んでいることがわかります。ChatGPT内での作業で満足できない場合、Adobeのネイティブアプリにシームレスに移行できる設計になっています。ChatGPTで中断したところから、そのまま作業を続けられるため、会話から始めて必要に応じてより高度な機能を持つ本格的なツールに移行する流れが自然に実現されているのです。
利用料金について、ChatGPT向けのPhotoshop、Adobe Express、Acrobatは無料で提供されます。対応プラットフォームは、ChatGPTのデスクトップ版、Web版、iOSアプリで、Adobe ExpressはAndroid版でも利用できますが、PhotoshopとAcrobatのAndroid対応は近日中とされています。
週間8億人が利用するChatGPTへの統合は、Adobeにとってこれまでアプリに触れる機会がなかった層へのリーチを意味しており、会話という自然なインターフェースがクリエイティブツールへの入り口になる可能性を示しています。
まとめ
いかがだったでしょうか?
AdobeがChatGPTにPhotoshop、Adobe Express、Acrobatを統合したことで、会話だけでプロ品質の編集が可能になりました。エージェンティックAIとMCPという技術基盤がこの自然な連携を実現し、週間8億人が使うプラットフォームで無料提供されるこのサービスは、クリエイティブツールに触れる機会を広げるものになると考えられます。
参考資料：Adobe Makes Creativity Accessible for Everyone with Adobe Photoshop, Adobe Express and Adobe Acrobat in ChatGPT
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