働き方改革で副業が解禁に?
知っておきたい注意点を徹底解説

働き方改革関連法が、2019年4月1日から順次施行されるなど、政府が取り組む「働き方改革」。この「働き方改革」実現のために、厚生労働省が推進している施策のひとつが、テレワークや副業・兼業といった柔軟な働き方がしやすい環境の整備です。

副業・兼業促進の影響を受けて、制作会社や企業で働くクリエイターやエンジニアの間でも、さらに副業・兼業への関心が高まることでしょう。ここでは、正社員が副業・兼業を実際におこなう場合に、知っておきたい注意点を詳しく解説します。

今どき社会人の副業・兼業事情とは?

クリエイターやエンジニア仲間をみていると、副業・兼業に従事している人が増えていると感じていませんか? 実際に、副業・兼業を希望する人は、年々増加傾向にあります。

やりたい仕事であったり、スキルアップの必要性を感じたり、取得した資格を活用したり、十分な収入を確保するなどが主な副業・兼業の目的です。

副業・兼業の形態は、パート・アルバイトだけでなく、正社員、役員、起業と多岐にわたっています。

この副業・兼業への取り組みを加速させているのが働き方改革です。

厚生労働省は、従来のモデル就業規則にあった「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という規定を改定。平成31年3月版には「労働者は、勤務時間外おいて、他の会社等の業務に従事することができる。」という新たな規定が導入されました。

この流れを受けて、副業・兼業を容認する企業が増え、副業・兼業を始める人が大幅に増えることが予想されます。

社会人が副業・兼業を始める場合の注意点

まず、勤務している企業の就業規則や労働契約などをよく確認し、就業兼業を始めることに問題がないか確認する必要があります。現在の業務内容に相乗効果を与えるものや、就業時間に支障のない副業・兼業を選ぶようにしましょう。


続いて、勤務先との間で納得感や理解を得られるように、コミュニケーションを大切にすることが求められます。

労働時間が増えることで、過労のために体調を崩すことは避けたいものです。本業と副業・兼業を合わせた業務量を管理し、仕事に配分する時間やスケジュール管理などを積極的におこないましょう。

始業・終業時刻、休憩時間、勤務時間、健康診断等を記録できるツールを活用するのもおすすめです。

年末調整を受けた給与所得以外の副収入が20万円を超える場合には、個人で確定申告をおこなう必要があります。確定申告とは、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた全ての所得の金額を申告するものです。

副収入の定義は、衣服・雑貨・家電などの資産の売却、自家用車などの貸付、ホームページの作成やベビーシッターなどの役務の提供による所得などで、詳しくは国税庁のサイトで紹介されています。

給与所得以外に、ロゴをデザインしたり、アプリを制作したり、動画を処理するなどして得た収入は申告の対象になるということです。

副業・兼業の成果があがれば、確定申告の義務といった作業がついてきますので、報酬の受け取りには反映されない作業が増えることも知っておきましょう。

企業側が副業・兼業を認める場合の注意点

従業員の副業・兼業を認める方向で就業規則を改訂した場合、企業側にどんな管理上の問題が生まれるのか知っておきましょう。

企業側はクリエイターやエンジニアが、今まで通りの質を保ちながら労務を提供できるのかを、常に気にかけています。

また第三者に企業秘密を漏洩していないか、競合で企業の利益を損なっていないか、長時間労働を招くもとになっていないか確認する必要がでてくるのです。

このため新しいモデル就業規則には、副業・兼業をする場合には勤務先へ事前に届出をすることが明記されています。

お互いが疑心暗鬼にならないために、労使間のコミュニケーション力も伸ばす必要があるといえるでしょう。

公的保険制度が副業・兼業の推進と比べて対応が遅れている?

副業・兼業についての政府の方針は、原則禁止から推進に変わりましたが、労災保険、雇用保険、社会保険などの現行制度の整備は追いついているとは言い難い状況です。

休業補償、障害補償、遺族補償等をおこなう労災保険は、原則1箇所での賃金をもとに計算されます。つまりケガなど災害が発生した就業先の賃金がベースとなるのです。副業・兼業先でのケガのために本業先で働けなくなっても、本業の賃金は労災保険ではカバーできません

複数の勤務先で雇用されていて、それぞれの勤務先で雇用保険加入の要件を満たしていても、雇用保険は生計に必要な賃金を受け取っている勤務先(本業)1社でのみ加入することになります。

社会保険(厚生年金保険・健康保険)の適用範囲は緩和され、パート・アルバイトでも週20時間以上勤務などの諸要件を満たせば加入できるようになりました。ただし、複数の勤務先で働く場合、どの勤務先でも要件を満たせずに社会保険に加入できない場合があるので注意しましょう。

注意点に留意しながら新しい働き方を創出しよう!

働き方改革関連法など、政府が取り組む「働き方改革」は、今まで原則不可だった副業・兼業を事実上解禁しています。

本記事では、スキルアップや新たな収入源を確保できるなど魅力的な副業・兼業を始めるにあたって、正社員として忘れてはいけない注意点を紹介しました。

労使間でさらにコミュニケーションを深める必要性や、労災保険、雇用保険、社会保険などの現行制度の遅れについても留意しながら、新しい働き方を目指していただければと思います。

ライター
Mistyrose
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