大手IT企業3社のトップ対談が実現!
「BIT VALLEY2019」レポート

ITカンファレンスイベント「BIT VALLEY 2019(ビットバレー2019)」が、9月13〜14日、東京都渋谷区のヒカリエホールで開催されました!

IT業界を目指す学生やIT企業のクリエイターを中心に、約1700人が参加した今回のイベント。ARCHETYPもプラチナスポンサーとして協賛し、2日間にわたって企業ブースを出展しました。

IT領域で活躍する多種多様なプロフェッショナルのアツい講演の中でも、今回は特に印象的だったヤフー、LINE、DeNAのトップ対談の内容をお伝えいたします!

 

BIT VALLEYとは?

イベント名に掲げられている「BIT VALLEY(ビットバレー)」は、1990年代後半に新進気鋭のIT企業が集結した渋谷を、アメリカで名だたるIT企業が集った「シリコンバレー」になぞらえて名付けられたもの。

渋谷の「渋い(=苦い)」と「谷」を英単語で表した「bitter valley」、コンピュータで扱うデータの最小単位「bit」を掛け合わせた、遊び心あふれる造語です。

それから約20年。IT業界は、めまぐるしく進化と変貌を遂げ、サイバーエージェント、DeNA、GMOインターネット、ミクシィなど渋谷を拠点にしていたベンチャー企業は、こぞって日本を代表する大手IT企業へと成長しました。

そこで、「もう一度渋谷のIT企業が協力し合って、IT業界の課題解決や発展に取り組もう!」と生まれたのが、この造語を冠したカンファレンスイベント「BIT VALLEY」です。

第1回開催となった昨年は “テックカンファレンス”をテーマに、若手エンジニアを対象としていたのに対し、2回目となる今回は、IT業界の“モノづくり”に関わる全ての人へと対象を拡大。

「モノづくりは、新たな領域へーーテクノロジーとクリエイティビティが交差する世界」というテーマを掲げ、IT 業界の様々な領域で活躍するトッププレイヤーたちによる、刺激に満ちたトークセッションやワークショップが行われました。

満員御礼、大手IT企業3社のトップ対談

数あるプログラムの中でも、特に反響が大きかったのが、大手IT企業3社のトップによるトークセッション。

登壇したのは、ヤフー株式会社代表取締役社長/CEOの川邊健太郎氏、LINE株式会社取締役/CSMOの舛田淳氏、株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)代表取締役社長/CEOの守安功氏の3名。そして、司会進行は独立研究者の山口周氏。

普段なかなか見ることができない貴重な顔ぶれに、大きなホール会場にもかかわらず客席はほぼ満員状態で、注目度の高さが伺えました。

 

産業とITの融合で、IT業界が貢献できる領域が拡大

トークセッションのテーマは、「ITトップが考えるモノづくり」。

はじめに今のIT業界について、インターネット黎明期に業界へ飛び込み、最前線で活躍し続けてきた3者ならではの見解が述べられました。

DeNAの守安氏は、「今はIT業界が単独の業界ではなく、すべての産業がITをどう使いこなすかというフェーズ」に到達していると解説。

DeNAもオートモーティブやヘルスケアといった領域に参入しているように、「産業の多くがITと融合し、どう変革が起こっていくのか。IT業界が成し遂げられることはどんどん増えていくだろう」と予測しました。

株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)代表取締役社長/CEOの守安功氏

 

90年代後半の「カオス」がまた起こりつつある

LINEの舛田氏は、当時のビットバレーを振り返り、「良い意味ですべてが混ぜこぜ。良い人も悪い人もいるカオス感に、何かが変わっていく期待があった」と言います。

そして、「ITを活用して、こんなことやあんなことができるようになると、20年前にみんなが考えていたことが最近ようやく実現してきた」と分析。

一方で、GAFAをはじめIT業界の主要なプレイヤーが固定化しているのも事実。この閉塞感は「ネット産業による他産業との連携や融合」、そしてVR・ARに代表される「土地がないなら、バーチャルで増やせ」という発想が打破するだろうと予測しました。

「再びカオスが始まりつつある。言葉を選ばずに言えば、“カオスならばワンチャンあるよ”ということ。つまり、キャリアとかは関係なく、勇気を持って踏み出すかどうかが重要になる」(舛田氏)。

LINE株式会社取締役/CSMOの舛田淳氏

 

ネット屋がやる新事業が、既存事業に勝る時代が来る

ヤフーの川邊氏は、フィンテックを例に挙げて、「ネット屋がやる金融事業」と「金融屋がやるネット事業」が似て非なる存在だと説明。

金融業は、歴史ある老舗企業がひしめくレガシーな巨大産業です。それだけに「金融屋がやるネット事業」は、軌道に乗れば社会に与えるインパクトは、ネット屋よりもはるかに大きい。

その上で、「バイアスのかかった意見だと思って聞いてほしいが、恐らく今後、『○○屋がやるネット事業』は、『ネット屋がやる○○業』に負けるようになる」と予想します。

つまり、既存産業はネット屋の新事業に勝てなくなるということ。だからこそ、「ネット屋がやる○○業」は、スタートアップや若手起業家にとってチャンスだと言います。

もちろん、ネット屋ではない既存産業のプレイヤーにもチャンスはあるとのこと。「既存産業もネット屋になればいいんです。フィンテックで言えば、三菱UFJ銀行が本気でネット屋に変われば、そのインパクトはやっぱりすごい」(川邊氏)

ヤフー株式会社代表取締役社長/CEOの川邊健太郎氏

 

失敗を許す企業文化が、イノベーションを生み出す

川邊氏の話を受けて、山口氏は「○○屋のネット事業」は「成功させなければならない」というプレッシャーが強いのではないかと言います。

特に大企業の場合、新規事業の担当者は失敗すると二度と出世コースに乗れなくなるというプレッシャーを抱えている場合も多いので、チャレンジが起こりにくい環境にあるとのこと。

「でも、アメリカではトップクラスの大企業であるAmazonですら創業から80近い新事業を立ち上げて、現在も続いているサービスはその3分の1に過ぎない。つまり、3分の2の事業は失敗しているんです」と山口氏は指摘し、失敗した人が再起するチャンスがあるかどうかが、ネット屋と○○屋の違いではないかと意見しました。

山口周氏

 

一方、大企業/IT企業にかかわらず、失敗が許されない状況が続くことがあるのも事実。チャレンジしにくい雰囲気を変えるためにはどうすればいいのでしょうか?そのヒントを、川邊氏が話してくれました。

川邊氏はかつてGYAO!の運営企業の社長を務めた経験があり、買収によってヤフー傘下に入った当時は大赤字経営だったことから、「もう本当に失敗できない」と、社内では失敗を恐れる文化が強かったと言います。

そこで川邊氏は、「今週のフルスイング賞」という制度を作ったそうです。

これは、成功したにせよ、失敗したにせよ、全力で振り切るかのように仕事をした社員を表彰する制度。チャレンジした人を褒め称える慣習を作ったことで、保守的な社内文化を改革することに成功したのでした。

LINEも同じく、数々の失敗と成功を重ねて成長してきた企業です。

「成功するかはやってみないとわかりません。正解は経営側も知らない。実際にやってみて、結果的にサービスを閉じるという経営判断をしたこともある。ただ、失敗したチームにペナルティを与えることは一切やっていません。成功した人を評価する、以上。人事は加点法でしかしません」と枡田氏は述べました。

「社会も世論も、誰かが失敗したことをそれほど覚えていないんですよね。私自身、実はめちゃくちゃ大きな失敗をしてきているけれど、おそらく会場の皆さんは、私を“LINEの人”ぐらいにしか思っていないはず。そういうもんです(笑)」(舛田氏)

未来を担う若手へのメッセージ

トークセッションの最後は、会場にいる学生や若手社会人に向けて3名がそれぞれメッセージを贈りました。

LINE舛田氏:一歩を踏み出すことにピュアになってほしい

「何かにチャレンジするというとき、“今までどうだったか”は気にしない、無視してください。どうやって一歩を踏み出すか、そこに対してピュアであってほしい。これは20年前にはできなかったアドバイスです。チャレンジが許される社会になってきました。

勇気を持って、というよりは、遊びや実験だと思ってやってみてほしい。人生はいつでもやり直せると個人的には思っています。成功するためのショートカットがあるのも事実ですが、山の登り方はいろいろ。一歩を軽やかに踏み出せることのほうが、最終的な幸せにつながるのだと思います」(舛田氏)

DeNA守安氏:とことん遊べ。それが基礎体力に変わる

「自分が学生だったことを振り返ってみたのですが、“社会”とか“仕事”って、よくわかっていませんでした。だから、あまり考え過ぎなくてもいいのでは?このイベントに参加しているだけでも、意識は高いと思いますよ。

だから学生さんには『とことん遊べ』と言いたい。そうすれば、仕事をするとなったときのメリハリもつきます。

ただ一つ、私は理系の大学出身で当時はイヤイヤ実験をしていたんですが、その時に学んだ分析方法や仮説検証のやり方などが今の仕事にもつながっているんです。だから、学生時代はちょっとだけ勉強して、あとは遊べばいいと思います」(守安氏)

ヤフー川邊氏:解放された個人が勝つ

「コンピュータは、もともと戦争の弾道計算に使われていたし、冷戦中は月に人を送るための計算に使われていました。インターネットも、戦争でネットワークを維持する必要性から生まれました。

このように、かつては国家的な大きな力のために作られたものが、だんだんと研究者、個人のためのものになっていったんです。

今、ITは「Power to the People」へと向かっています。どのIT企業も個人をエンパワーメントするためにサービスを作っています。これを利用しない手はないですよね。

(ZOZOの)前澤さんの涙の会見を間近で見ていて、“もし私が退任するとしたら、次に何をするだろう”と思わず考えてしまった。その時に思ったのは、この20数年、“個人を解放するための力”をめぐる熾烈な競争が世界中で続けられているのだから、これらを徹底的に使う側に回ってみたい。そうやって、世界最先端の“解放された個人”を目指そうかなって。

ホリエモンはそうなりつつありますよね(笑)。もちろん、私は社長を辞めるつもりはありませんが(笑)。

これから先の人類は、「解放された個人」を目指すべきではないだろうか。だから、リスクのない若者だったら、いきなりホリエモンを目指してみるのもいいかもしれないですよね。

自分が何かしらの意思を持てば、その場で世界の人々とつながって、新しい未来を作れてしまう。その領域に達すると、“何をしたいか”がハッキリしていれば、なんでもできてしまうんです。

私たちもしのぎを削って一人一人がエンパワーメントするためのツールを作っているので、それを使って世界最先端の人類になってほしいです」(川邊氏)

最後に山口氏は、社会で活躍する人に共通する条件は「仕事を好きでやっている」ことだと述べました。

「好きで楽しんで仕事をしている人が最強なんです。どんなに頑張って仕事をしても、どんなに努力しても、最後の最後のトップの勝負では、好きで楽しく仕事をしている人には絶対に勝てない

社会で勝ちたい、成功したいと思うならば、川邊氏、舛田氏、守安氏をお手本に、ぜひ好きなことを徹底的にやってほしい」と山口氏もアドバイスし、1時間に及ぶ濃厚なトークセッションが終わりました。

 

ARCHETYPも企業ブースを出展!

「BIT VALLEY2019」のプラチナスポンサーを務めたARCHETYPは、当日企業ブースを出展。来訪者に向けて会社説明やエニアグラム診断、そしてARCHETYP Staffingのサービス紹介を行いました。

 

ブースに足を運んでくださったのは、エンジニアやデザイナーを志望する学生を中心に、企業に所属しているクリエイターや人事担当者などなど。

やはり、クリエイティブ業界でも働き方改革が叫ばれる中で自身の働き方を模索している方が多く、「週3日勤務、副業、テレワーク」といったキーワードへの関心が非常に強かったのが印象的でした。

「派遣先に海外の企業があるとより魅力的」といった声など、今後のサービス改善の参考となる貴重な意見もたくさん伺うことができ、とても有意義な2日間となりました!

取材/文
松山 響